50代以上のX世代が求める美容ブランドは「エイジレス」、英米の事例から
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米国の美容ブランドから、主にZ世代へのアプローチとしてサブブランドのリリースが相次いでいる件については前回の記事で紹介したが、一方で、多くの企業が支持を得るのに苦戦している世代がある。現在40歳以上で、米国に約6,500万人いるといわれるX世代(1965年から1976年生まれの世代)だ。後編となる本記事では、このX世代をターゲットにしたブランド開発やキャンペーンの成功事例と課題について考察する。
40代や50代など年齢で括るのはNG
米ハフポストは2016年に「45歳以上の女性2,000人に調査を行ったところ、60%が時代は常に若い女性を向いていると感じ、また、15%の人しか歳を重ねることに自信を持てていない」と報じた。米国の多くの女性が世間から置き去りにされていると感じている状況でありながら、各企業はこの層の獲得に苦労している。彼女たちの注意を引き付けられない理由はどこにあるのか。
要因の1つとして、米国においても若さに対する信仰が根強く残っている点が挙げられる。例えば2016年に発売された『HARPER'S BAZAAR』誌の「いくつになっても美しく」というエイジング特集号の表紙を当時21歳だったモデルのジジ・ハジッドが飾り、物議を醸した件もその価値観を象徴する出来事だ。年齢を重ねることにネガティブなイメージが強いがゆえに、「ミドルエイジ女性のための化粧品」と手渡されても、多くの女性はトライするのに抵抗が生じてしまう。
たとえば、Smashbox出身のメイクアップアーティストで、自身もX世代であるホリー・モルディーニ(Holly Mordini)氏は、自分の世代にぴったり合う化粧品がないという思いから、2015年にStroke of Beautyを創業した。そして年齢層の高い顧客が多いテレビショッピングのQVCを通じてコンシーラーを発売し、その後もアイブロウペンシルやアイライナー、アイシャドウなどを相次いでリリースしラインナップを拡充させた。2016年には同年に公開された映画『バッド・ママ』とコラボしたアイシャドーパレットを発売するなど一見軌道にのっているようにみえたが、2017年にはその歴史に幕を閉じている。
着眼すべきは年齢ではなくライフスタイル
一方、想定外で、この世代にヒットしたブランドもある。M・A・C出身で、ファンデーションなどに定評のあるCoverFXの共同創始者のジェニー・フランケル(Jenny Frankel)氏は、2014年に新たにコスメブランドNUDESTIXを立ち上げた。「ショップで使い方を教えてもらっても、家に帰って自分で使用する際にはプロと同じ仕上がりにならない。だから誰でも簡単に使える化粧品が欲しかった」とモデルであり、NUDESTIXのメンバーでもあるジェニー氏の二人の娘は、同社の発足の理由をBeautyishに語った。そのコンセプト通り、ほとんどのアイテムがペンシルタイプであることから、特別なテクニックやブラシを必要とせず、その使い勝手の良さにファンが多いブランドだ。
NUDESTIX
黒を基調としたシンプルでエイジレスな
パッケージデザインも人気の秘密
出典:Sephora公式サイト
NUDESTIXは当初、メイン顧客としてティーンやミレ二アル世代を想定しており、セフォラやアパレル大手Urban Outfittersなどで販売していたが、蓋を開けてみると同ブランドのSNSのフォロワーは13歳~50歳まで幅広い層にわたっていた。そのことから、販路をQVCにも拡大したところ、瞬く間に多くのX世代にもヒットが波及し、年齢を問わず多くのファンに愛されるブランドに成長した。
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