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マインドフルネス、体感、環境をもパーソナライズ。美容領域との融合も【CES2020】

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CES2020レポート6回目、そして最終回は前回に引き続きスタートアップ企業のブースが集まるEureka Parkなどで発見した革新的なガジェットを紹介する。ストレス測定VRや体感温度調節ウェアラブル、メディテーションデバイスなど、自分の体調や周囲の環境の状態を数値で教えてくれるうえ、各自にあったソリューションからスキンケアやヘアケアまで提案するさまざまな「パーソナライズ」のアプローチだ。

脳に働きかける体感温度最適化ウェアラブル

暑い、寒いと感じたとき、ボタンを押すだけで体感温度を調整できるのが、マサチューセッツ工科大学のチームが開発した腕時計型のウェアラブル「Embr Wave Blacelet」だ。

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Embr Wave Blacelet
画像提供:Embr

冷房の効きすぎた会議室や寝室、逆にうだるような待合室など、自分にとって寒すぎる、もしくは暑すぎる環境のとき、温度に敏感な手首の部分を温める、または冷やすことで、熱感覚の心地よさと体温調節を制御する脳の領域を刺激する仕組みだ。

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実際に試してみたところ、四角いスマートウォッチほどの小さなサイズにも関わらず、ボタンを押して1分も経たないうちに温度の変化を感じられた。これは手首の内側に、最大限の効果を発揮するよう設計された「温度の波」を当てることで、正確な温度感覚とスピードを実現。濡れたソックスを履いていると寒く、ホットコーヒーの入ったマグカップを握っていると暖かく感じるのと同じ原理で、体の一部を集中的に温冷することにより、体感温度の快適性を提供する。

このEmbr Waveは、今回のCESで、AAPR Innovation Labs 内の、50歳以上の年齢の人にとくに役立つ12の革新的な技術を集めたコーナーに展示されていた。更年期のホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)の症状緩和に有効で、ジョンソン・エンド・ジョンソンの調査によれば、Embr Waveを付けることで日中のホットフラッシュによる不便や不快が16%減少する。また、脳は温度に関する情報を社会的感情と同じ神経ネットワークを使って処理するため、Embr Waveがストレスや不安の軽減にも効果がある可能性もみえてきたという。

専用アプリを使えば、スマートフォンから温冷する時間の長さの調整や、入眠に最適な温度調整モードの利用も可能。すでに日本を含む140カ国で販売しており、米国での発売価格は299ドル。

ゲーム感覚でストレスの視覚化&軽減するVRソフトウェア

Healium」は、既存の2つのウェラブルとVRヘッドセット及び専用ソフトウェアを使って、感情の変化を目に見える形で示してくれる自己認識ツールだ。

利用者は、脳波を分析するMuse社のヘッドバンドと心拍を分析するスマートウォッチ、VRヘッドセットを付けて、専用ソフトウェアを立ち上げ、楽しいことを思い出す、瞑想に入るなど、ストレスのないマインドフルな状態に自分をもっていくことにトライする。そして、脳波が穏やかになると、VRの世界では蝶が生まれて草原に飛び立ち、心拍が落ち着くとARの惑星が輝きを増したり、花が咲くといった美しい環境がバーチャルに現出する。つまり、自分の感情やストレスをコントロールする力を実感しつつ、ゲーム感覚でトレーニングすることができるデバイスというわけだ。

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Healiumブースには、大勢の来場者が集まり「最大の現代病であるストレスに、薬を使わず打ち勝つ方法」と銘打ったデモンストレーションへの興味が高いことをうかがわせる。米国で商品化も果たしており、60日ごとにアップデートされる12のコンテンツのVRソフトウェアサブスクリプションの価格は、月額29ドル。

尿から体の内部を把握、パーソナライズしたアドバイス

続いては、ユーザーの尿を分析することで健康状態を把握し、パーソナライズされた食事やライフスタイルのアドバイスを提供するサンフランシスコ発のアプリ「Vivoo」である。

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まずはアプリから性別、身長、体重、生年月日、食制限、運動量などの簡単な初期登録を行い、尿検査専用スティックに尿をかけ、2分後にこれをスマホカメラでスキャンすると、即座に利用者のウェルネスの状態、水分補給、pH、免疫機能、腎機能、肝機能、尿路感染症(UTI)、エナジーレベルを10段階で評価し、栄養士やドクターが監修したAIが各自に適したアドバイスを提供する。

実際に試してみると、「水分の取り過ぎだから体内の電解質のバランスが崩れる恐れがある。カリウムを摂取しよう」とか「体内がアルカリ性に傾いているから酸性の食品を取るべきだ。夕食に週2回ほど焼き魚を食べてはどうか」などのパーソナライズされた提案が表示される。数字の裏付けもあり、わかりやすく具体的な内容で、医師のコンサルティングを受けているような信憑性が感じられる。また、そのアドバイスに対して、疾患や好き嫌いといった理由で「できない」と答えることも可能で、AIはこうした回答を加味してアドバイスの精度を上げていく。

健康状況の変化を把握するため、1週間に1度の利用を推奨しており、価格は、4本の尿検査スティックがセットになった毎月のサブスクリプションで定額14.90ドル。

瞑想へと導くコンパクトなトレーナーデバイス

同じくサンフランシスコ生まれのウェルネス系のアイテム「Core」は、世界初のメディテーショントレーニングが可能なハンドヘルド(手持ち)・デバイスで、ヘルス&ウェルネス部門で革新賞(Innovation Award Honoree)を受賞した

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Core
画像提供:Core

「Core」は、専用アプリと連動し、選択したプログラムに合わせて、音楽と振動で呼吸のタイミングを伝えたり、集中を促して瞑想へと導いていく、いわばパーソナルトレーナーだ。また、トレーニング中にデバイスが心電図(ECG)を読み取り、集中の度合いや精神の穏やかさなど瞑想の質を評価、トラッキングする。

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ブースで実際に手にとって試してみた。両方の親指を粒状の突起部分にのせ手のひらで包み込むようにデバイスを持ち、リラックスして目を閉じ自分の呼吸に集中する。これまでの一般的な瞑想アプリと違い、音声ではなく穏やかな振動にあわせて呼吸のリズムを整えていくのが特徴で、よりスムーズにメディテーションへと導かれる。

使用後にセッションの質を数値で確認できる点もポイントだ。持ち運びに便利なコンパクトサイズでデザイン性にも優れ、ベッドサイドなどに置いておくのにも自然で生活に取り込みやすそうだ。デバイス本体は169ドルで、動画によるメディテーションクラスのサブスクリプションが毎月定額で9.99ドル。

パーソナライズコスメとも連動のウェアラブル

最後は、周囲の環境ストレスを測定し、パーソナライズされた肌や髪のビューティアドバイスを提供するウェアラブルガジェット「ieva」だ。

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見た目は腕時計やアクセサリーと見まがうウェアラブルが、大気汚染、湿度、温度、環境音(騒音)、紫外線、運動量などを測定し、連動したスマホの専用アプリで表示するとともに、そのデータに沿ったスキンケアやヘアケアアイテムのレコメンドなど、外部環境に合わせたビューティルーティンのアドバイスを提供。また、ユーザーごとに適したダイエットやウェルネス関連の記事も紹介する。

フランスのパーソナライズ・コスメブランドIOMA とも連携しており、4万257通りの処方から各自に最適化するパーソナライズクリーム「Ma Creme」の購入もできる。

フランス発の企業で、「スマート・ピース・オブ・ジュエリー」と称しファッション性にもこだわっているのも特徴だ。測定機器のパーツも一目ではそれとわからないようなデザインが施され、女性向けには、ブレスレットやネックレス風、男性向けには高級時計やアクセサリー風のさりげなく身につけやすいスタイルになっている。価格はバッグに下げるキーホルダータイプの「Twin C to Go」で134.50ドルから。

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画像提供:ieva

今回紹介したガジェットをみていくと、ビューティとウェルネスの境界がますますマージしてきている状況がわかる。同時に、個々の体と置かれている環境の正確かつ詳細なデータが採取できる技術が進み、より深く自身について知ることができ、パーソナライズがさらに深化していることもみてとれる。この傾向は今後さらに強まっていくであろう。次の段階としては、こうしたガジェットが人々の暮らしのなかにどの程度のスピードで入り込んでいくのかが注目される。

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Text & photos: 東リカ(Rika Higashi)

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