美容+ウエルネス+会員制コミュニティ。リアルな交流がもたらすビジネス価値
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美容とウエルネス領域の融合がすすむなか、欧米では、ポストパンデミックをにらみ、ウエルネス関連サービスをメインに据えたソーシャル(会員制)クラブが次々と登場し、ヘルシーでリアルな交流を欲する人々を惹きつけている。ポストパンデミックという意味でも、また、将来のメタバース社会では仕事や趣味など長時間をオンラインで過ごすようになる可能性を考えると、こういったリアルコミュニティの持つ価値はますます高まりそうだ。
リアルな体験と交流、健康を求める消費者意識がウエルネス業界を牽引
ウエルネス産業界に特化したカンファレンスを開催するThe Global Wellness Summit(GWS)は、ウエルネスの新しい方向性とトレンドを示す白書「2022 Global Wellness Trends: The Future of Wellness」をリリースした。それにあたり、GWS会長兼CEOのスージー・エリス(Susie Ellis)氏は、「人々が待ち望んでいる“パンデミック後の世界”がみえつつも、その確かな到来が繰り返し延期されている状況で、ウエルネスのトレンドを予測することは難しい。だが、我々のレポートで明らかになったのは、ウエルネスの未来は2019年の再スタートではないということだ」と述べ、今、消費者が最も必要としているもの、消費者が「真のウエルネス」として認識しているものは、パンデミック以前から大きく変化しているとの考えを示した。
ひとついえるのは、暮らしにさまざまな制限を強いられたパンデミックにより、多くの人々が孤立を感じ、ほかの人との交流を渇望し、同時に身体的&精神的な“健康”を手に入れる重要性に改めて注目が集まったということだ。その結果、美容業界においても、ここ数年でデジタルを活用した非接触のコミュニケーションやカウンセリングなどが一気に進み、また、美容領域からさらに踏み込み、医療やウエルネスの観点を取り入れた“美しさ”を追求する、R&D分野での動きも活発化している。
同白書でも、注目のトレンドワードとして「メタバースにおけるウエルネスの可能性」をあげる一方で、バランスのとれた仕事と日々の暮らしのあり方や精神的な充足を探し求める人のための「ウエルネスがテーマの旅行」や、世界の都市で建設計画が進むサウナやジャグジーを備えたレジャー施設など「ウエルネス×テーマパーク」、スポーツ医学や栄養学などのジャンルをまたぎ専門家が総合的にアドバイスをする「ウエルネスコーチング」といった、現実世界でのリアルな体験や出会いによって心と体をケアする方向性に、人々の関心が向き始めている状況を紹介している。
こうした流れに沿って興味深いのが、ユーザーの健康増進に寄与するウエルネスなサービスを核とする「ソーシャルクラブ」が、欧米で次々登場していることだ。ソーシャルクラブとは、選ばれた会員限定の社交クラブのことで、バーやレストラン、ラウンジ、ジム、スパ&エステサロン、宿泊設備などを備えたクラブハウスを所有する。
多様性と包括性が叫ばれる現代の潮流に逆行する、エリート主義や物質主義などのイメージをまとっていたソーシャルクラブだが、最近では、シャンパンを片手にDJライブ付きの派手なプールサイドパーティに興じるのではなく、ノンアルコールカクテルと瞑想セッションをはじめとするホリスティックなセラピートリートメントを仲間と楽しむ「健康的」なソーシャルクラブが人気を博しているのだ。
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