SDGsの科学的アプローチ、ロレアルR&Iが進める「グリーンサイエンス」の全容
◆ English version: L’Oréal R&I’s ‘Green Sciences’ approach applies R&D to achieve SDGs
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ロレアルグループが推進する包括的なサステナビリティプログラムの原動力となるのが、ロレアル リサーチ&イノベーション(R&I)が進める環境への負荷を減らす製品開発哲学「グリーンサイエンス」だ。実際にどのような試みが行われているのか、日本とグローバルでの事例を紹介する。
「ロレアル・フォー・ザ・フューチャー」をバックアップするグリーンサイエンス
2020年6月、ロレアルグループは、プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)を尊重して策定されたSBT(Science Based Targets / 科学と整合した目標設定)にもとづき、2030年に向けた新サステナビリティプログラム「ロレアル・フォー・ザ・フューチャー」を発表した。これは、火急の環境問題・社会問題に対する直接的な取り組みにとどまらず、サプライヤーや消費者を含む、ロレアルが携わる全ての活動において環境負荷を軽減し、包摂的な社会の実現を目指すべく具体的な数値目標を掲げるものだ。
その一環としてロレアルは、2025年末にはロレアルの世界全拠点におけるカーボン・ニュートラル(人為的な活動を行なった際に、排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同じ量であること)の実現のほか、2030年末までに、自然由来もしくはバイオベースの原料を用いた製品の割合を95%に引き上げるという、「グリーンサイエンス」による変革をするなどのコミットメントを推進している。
グリーンサイエンスとは、ロレアルの研究開発部門リサーチ&イノベーション(R&I)独自のフィロソフィーだ。3つのグローバル研究センターをはじめとして、世界に全37センターを擁するこのR&Iが、自然とサイエンスの持続可能な調和によって育まれる「美しい未来」づくりの原動力となることが期待されている。
このグリーンサイエンスの柱となるのが次の3つの項目だ。ひとつめが環境を考慮し、最新の農学知識を取り入れてバイオマス生産を行う「グリーン栽培」、環境に負荷をかけないグリーンケミストリーやバイオテクノロジーを駆使して原料や成分の開発を行う「グリーントランスフォーメーション」、そして、それらの技術によって得られた原料や成分を組み合わせ、サステナブルかつ高機能な製品を開発する「グリーン処方」である。それぞれの分野で実際にどのような施策が行われているのか、日本ロレアル株式会社 リサーチ&イノベーションセンター 原料部 三木崇絵氏に聞いた。
環境への負荷を減らす原料生産、グリーン栽培
「グリーン栽培とは、化粧品原料となる植物を環境への負荷ができるだけ少ない方法で育て、かつ収穫することを指し、植物由来の資源を再生して廃棄物を減らすバイオマス生産といえる。一例としては、2016年から仏ロレアルがマダガスカルで共同プロジェクトとして行うツボクサの栽培があげられる」と三木氏は説明する。
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