ロレアルがコロナ危機も見据え、2030年までに地球と共存できるビジネスモデルへ
◆ English version: L’Oréal accelerates the shift to an environmentally sustainable business model by 2030
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2020年6月26日、グローバル化粧品メーカーのトップを走るロレアルが、「ロレアル・フォー・ザ・フューチャー」という2030年に向けた新たなサステナビリティ・プログラムをローンチした。注目すべきは、SDGsの環境項目の基礎ともいわれるプラネタリー・バウンダリー(地球上で人間が安全に生存できる限界)の概念をもとに、ロレアルが関わる領域をさらに広げたことである。また、このプログラムにもとづく日本ロレアルのESG施策についてもとりあげる。
これまでも、ロレアルはサステナビリティの分野で多大な努力をはらってきた。2013年にグローバル・サステナビリティ・プログラム「Sharing Beauty With All(美のすべてを次の世代へ)」を発表し、2020年を目標に、さまざまな成果をあげている。
その例のひとつが、Sustainable Product Optimization Tool(持続可能な製品最適化ツール)の開発だ。これによって、傘下のすべてのブランドにおける製品の環境的・社会的パフォーマンスを評価して改善している。2019年末時点で、14の工場を含む35の拠点でカーボン・ニュートラル(排出する二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同量)を達成し、気候変動など環境問題に取り組む国際NGO組織であるCDPの「気候変動」「水管理」「森林保全」の3つの指標すべてで、AAAを4年連続獲得した世界唯一の企業となっている。
今回発表された2030年に向けてのプログラムは、これまでの自社の工場やサプライチェーンに向けていた意識を大きく広げ、コミュニティ、社会、環境、サプライヤー、消費者の意識まで含めた、すべてのステークホルダーへのインパクトを出そうとしている。
そのうえで、利益を追求して経済成長も見据えるのと同時に、新型コロナウィルス感染症と共に生きるなかで何ができるのかまで考慮されている。全世界にオンライン配信されたプログラムローンチのカンファレンスで、ロレアル CEOのジャン-ポール=アゴン氏はこう語った。
「(COVID-19パンデミックから)今後数カ月間、私たちの社会は、最も弱い立場にある人々に対し大きな苦しみを引き起こす社会的危機に直面するだろう。同時に、私たちは環境問題がますます切迫していることも十分に認識している。(中略) 世界が必要とする持続可能な変革から後退しないことが不可欠であり、我々は環境と生物多様性の保全への取り組みを再確認し、女性が直面する社会的危機の緩和を支援したい」
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