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ウルタ・ビューティの「デジタル・スタイリスト」は人間的ふれあいをもたらす

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2019年6月パーフェクト・コープの主催でニューヨークにて開催された「The Global Beauty Tech Forum」。知見に満ち多くのヒントに富んだパネルディスカッションを紹介するレポートの後編は、テクノロジーをテコに変わりつつあるリテールの姿を伝える。(前編はこちら

バーチャルメイクアップツールを活用し、販促や消費者インサイトを知り、より良い購買体験と、ひいては顧客エンゲージメントにつなげようとするブランドの試みが明かされたパネルに引き続き、フォーラムでは、化粧品小売の将来像についてもパネル討論が行われた。

ヒューマン・コネクションを重視

ウルタ・ビューティは約1年前にデジタル・イノベーション部門を設立し、テクノロジーによる顧客体験の向上に取り組んできた。同部門VPのミシェル・パチンスキ(Michelle Pacynski)氏によると、その一環として同社が重視するのが店内スタッフのビューティ・アソシエイト(BA)を活用する「ヒューマン・コネクション(顧客との触れ合い)」の構築だ。

ウルタは提携ブランドと協力し、「デジタル・スタイリスト」と呼ぶデジタル・ツールの試験的運用を6店舗で開始した。顧客が店内でヘアカラーやメイク、アイブロウをバーチャルに試せるようにし、AIによって商品を提案するのと同時に、BAが顧客に一種のコンサルテーションを提供し、顧客の好みやニーズに沿った商品選びやメイクを対面でアドバイスする。BAの専門知識とバーチャルメイクアプリを組み合わせる試みである。

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写真左から、モデレーターのGlossyの
編集者、プリヤ・ラオ(Priya Rao)氏、
SAPのインダストリー・
エグゼクティブ・アドバイザー、
マット・ガードナー(Matt Gardner)氏、
ウルタ・ビューティのパチンスキ氏、
Perchのサムナー氏


しかし、デジタル・スタイリスト導入の狙いは、商品の販売促進もそうだが、むしろテクノロジーの助けを借りて、顧客の購買体験にBAを「参加」させることにある。パチンスキ氏は「BAと顧客との新たなコミュニケーション手段」としてテクノロジーを活用し、BAを情報武装させるとともに、BAの専門知識や経験を生かして顧客体験の向上につなげたいという。

ウルタでは、売上げの9割以上がロイヤリティ・プログラム加入者によるものだ。そのため、データという意味では「実はBAが好みをわざわざ質問するまでもなく、われわれは顧客のことをすでに熟知している」とパチンスキ氏。そして、「今後ARなどの新たなツールを通じて顧客データ収集の幅を広げ、さらに顧客の感情も認識できるようになれば、それらデータをAIによって高度に分析し、その結果を顧客の利益のために生かしたい。それが最終的に競合他社に対するウルタの強みになるからだ」とその目指すところについて語る。

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