海外BeautyTechトレンド「サステナブル容器」「NFTプラットフォーム」がキーワード【2022年4月-5月】
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海外BeautyTechトレンド「サステナブル容器」「NFTプラットフォーム」がキーワード【2022年4月-5月】

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毎月1回、ビューティ業界にインパクトを与える海外ニュースを俯瞰し、注目すべきポイントと報道の裏側にある背景を解説。グローバルな視点からビジネスの潮流を紐解く。今回は、大手メーカーが主力ブランドでの実装を始めた、再利用やプラスチックの削減につながるサステナブルな容器と包装パッケージに加え、一部のコレクターのためではない、ファンコミュニティが楽しめるNFTプロダクツを発表するビューティブランドについて取り上げる。

サステナブル容器・包装へのシフトを急ぐ、LVMHやエスティ ローダーなどグローバル大手

出典:Simple公式サイト

★注目ポイント
カーボンニュートラルやSDGsの達成目標を、2025年など年次を示して掲げる大手化粧品メーカーでは、その実現のために次々と具体的な施策を打ち出している。化粧品商材のボトルや包装パッケージにサステナブルな素材を使用して環境負荷の軽減につなげる試みもその1つだ。

使用済みの製品を使い捨てる文化は、環境に確実な悪影響を及ぼしており、製造者も消費者も多くの人々がそのことを理解し、地球規模での環境保全が叫ばれている。にもかかわらず、「Circularity Gap Report 2022」によれば、過去数年で事態はむしろ悪化しており、グローバルでのリサイクル率は2018年の9.1%から、現在では8.6%に低下しているという。この現状を念頭に、大手化粧品メーカーおよびブランドは、容器や包装を4R(Reduce、Replace、Reuse、Recycle、リデュース、リプレイス、リユース、リサイクル)可能なものに転換する動きが顕著になっている。

LVMH

LVMHはオリジン・マテリアルズと複数年にわたる契約を結んでおり、LVMHグループの化粧品と香水ブランドの包装を、カーボンマイナスPET(ポリエチレンテレフタレート)を使用した新しいエコパッケージに順次切り替えていくとする。

オリジン・マテリアルズは、非食品バイオマスに含まれる炭素を回収する技術などを開発しており、同社が提供する素材は、石油由来のPETを脱却し、持続可能な木材残留物をカーボンネガティブ(温室効果ガスの排出量より吸収量が多い状態)材料に変換して作られたものだ。LVMHは従来のプラスチックをこの脱炭素素材に置き換えていくことで、CO2排出量を劇的に削減できるとして、ディオールやジバンシイ、ゲランなどのブランドで採用する予定だ。

LVMH Beautyの取締役社長兼マネージングディレクターのクロード・マルティネス(Claude Martinez)氏は、「我々はLife 360プログラムにもとづき、近い将来、すべてのパッケージで化石資源由来のプラスチックを一切使用しないことを決定した」と宣言している。

エスティ ローダー

エスティ ローダー カンパニーズ(ELC)は、2025年までにパッケージの75%〜100%において4Rを実現するという目標に向けて、PCR(ポストコンシューマーリサイクル)素材の量を最大50%増加すると述べている。あわせて、可能な限り責任ある紙製品の調達を行い、2025年までに森林由来繊維製カートンをすべてFSC認証とすることを目指す。また、2021年、ELCは素材企業イーストマンと提携。同社が持つ分子リサイクル技術や、(最大100%リサイクル素材を含む)Renew樹脂をELC傘下のブランドで採用していくことも発表した。

同じく2021年には、クリニークが、フランスのモールディング(成型)専門会社のRoctoolおよびパッケージ会社Pinard Beauty Packと提携し、容器の製造時の廃棄物の量を10〜15%削減可能なパッケージの制作に着手した。一方、ヘアケアブランドのアヴェダはXelaPackと提携し、紙ベースで作られたリサイクル可能なパウチ型パッケージを開発すると発表。2022年中に地域限定で発売を開始する。

出典:Beauty Packaging

バイヤスドルフ

ドイツを拠点とするバイヤスドルフは、4Rというサステナビリティの4原則に従いプラスチックパッケージの最適化の推進と、完全に機能する循環型経済に向けて集中的に取り組んでいる。その実現のために、2025年をめどに、2019年比で石油系バージンプラスチックの使用量を50%削減すること、プラスチック製パッケージに30%以上の再生材料を組み込むこと、すべてのパッケージを詰め替え可能、再利用可能、リサイクル可能にすることなど、具体的な目標を掲げている。

実際の製品としては、ニベアの「ナチュラリーグッドボディローション」の容器では、従来品よりプラスチックの使用量を50%削減し、100%リサイクル可能なものとした。また、「Nivea EcoDeo」には、トイレタリー分野では世界初となる、PCRアルミニウムを100%使用したアルミ缶容器を採用。あわせて、空気から抽出した窒素を噴射(スプレー)剤とするエコバルブ技術を用いて温室効果ガスを削減すると同時に、これまでより2倍長持ちする製品設計により包装廃棄物の削減にも貢献するとしている。

出典:Personal Care Insights

ユニリーバ

日用消費財大手のユニリーバは、2025年までに「プラスチック包装材の使用量を10万トン以上削減」「バージンプラスチックの使用を半減」「販売数以上のプラスチック包装材の回収と処理の支援」「プラスチック包装材の完全再利用可能化」、そして「包装材のPCRプラスチックの使用率を最低でも25%まで増やすこと」などを目指し、世界規模で取り組んでいる

ユニリーバはまた、TRESemmeやLynxなどの製品において、リサイクル工場のスキャナーで検知可能な黒色顔料を容器に使用し、分別がよりスムーズで確実になるようにしたパイオニアでもある。これにより、毎年約2,500トンのペットボトルを分別しリサイクルに回すことができるようになったとする。

現在、Simpleブランド製品の大部分が完全生分解性で、バナナやメロンなど果物の皮よりも早い約6週間で堆肥にと分解されるという。また、Simpleのスキンケアシリーズのボトルも100%PCRプラスチック製で、洗顔料のリニューアルに伴い、チューブのパッケージはプラスチック含有量を最大25%削減し、リサイクル可能なデザインに変更された。

出典:Simple公式サイト

ヴェレダ

ホリスティックなオーガニック化粧品とアントロポゾフィー医療の医薬品を扱うグローバル企業のヴェレダは、2021年、ボディローションのボトルを97%再生PETに変更。また、デオドラントスプレーとメンズケアのボトル、および洗顔料のボトルを、それぞれ再生材を使用したグリーンガラスとブルーガラスの容器に変更した。さらに、カレンドラミルクとカレンドラオイルの容器を97%リサイクル素材(残りの3%は染料)とし、スキンフードボディバターには緑のガラスポットを採用してキャップに使用していたプラスチックを大幅に削減した

2021年には、無包装のリキッド化粧品のパイロットテストとして、シャワージェルやボディオイルを店頭で顧客自身がリフィルする体験を、ドイツのオーガニックスーパーマーケットで提供。2022年には、紙箱のみの簡易包装とした4種類の固形シャワーバーを導入している。

出典:ヴェレダ公式サイト

クレカで購入可のNFTをカスタマーエンゲージメントに活用するM・A・CやNARSなど

出典:Glossy

★注目ポイント
美容業界でも、デジタルドリブンなビューティブランドを中心に、NFTマーケットに参入する動きが加速するなか、カスタマーエンゲージメントを強化する施策としてNFTを位置づけ、暗号通貨ではなくクレジットカードで購入できるような、一般消費者の参加のハードルを下げる、いわばNFTの民主化が始まっている。

2021年から2022年にかけて、ブランドオリジナルのNFTを発表するビューティブランドが相次いでいる。Mac Cosmeticsは、キース・へリング財団とコラボレーションして、2022年4月10日の米国National Youth HIV/Aids Awareness Dayに賛同し、初のNFT「Viva Glam × Keith Haring」を立ち上げた

このコレクションは同年6月1日までNFTマーケットプレイスOpeanseaで販売され、一次販売による収益は全額が、HIVやエイズにかかわる困難な状況にある若者を支援するMac Viva Glam Fundに寄付され、2023年1月までは二次販売の購入額の2.5%がキース・ヘリング財団に寄付される予定だ。

販売価格体系は、25ドルの「NFTレッド」5,000個、150ドルの「NFTブルー」250個、そして1,000ドルの「NFTイエロー」25個という3層構成とし、ブルーにはキース・ヘリングにインスパイアされたデジタルメイクアップルックのチュートリアルが、イエローにはメイクアップアーティストによる30分のカウンセリングとリアルな商品が特典として付いている。

特徴的なのは、NFTをこれまで購入したことがない消費者に届けるため、ブロックチェーン技術ソリューション企業のConsenSysと提携し、暗号通貨ウォレットではなく、クレジットカードやデビットカードで購入できるようにした点だ。Mac Cosmeticsのグローバルチーフ・マーケティングオフィサーのアイーダ・モーダシルゥ・レボア(Aïda Moudachirou-Rébois)氏は「NFTの世界に参入するにあたり、アクセシビリティは非常に重要なポイントだった。NFTに馴染みがなく、購入方法を知らない人に対して縁遠い、エリート主義的なものは作りたくなかった」と『VOUGE BUSINESS』の取材に答えている。

一説では、NFTプロダクツの所有者は米国国民の2%以下とされており、NFTは暗号通貨の世界に親しむ投資志向の強いコレクターを引きつけているのが現状だ。だが、Mac Cosmeticsのように、NFTを所有することによるコミュニティの特別感を維持しつつ、一般消費者にリーチすることを目指すビューティブランドが増えている。

2021年6月、e.l.f. Cosmeticsは3回に分けて、それぞれ3つのNFTアートをリリースするNFTシリーズを、マーケットプレイスBitskiで発表。作品はいずれも9ドル以下という気軽に買える価格帯とした。さらに、同年7月には、NARS cosmeticsが、DJ、アーティスト、ファッションデザイナーの3名がNARSのOrgasmラインにインスピレーションを得て制作したNFTアートを、マーケットプレイスのTruesyで発表している。BitskiもTruesyもクレジットカード払いを受け付けるプラットフォームだ。

また、2022年4月、Shopify対応のWeb3 EコマースプラットフォームのNovel が一般消費者向けの新NFTプラットフォームをローンチ。暗号通貨ではなく、通常の通貨で取引ができ、コーディングの知識が不要なこのプラットフォームには、メイクアップアーティストのボビィ・ブラウン氏が自身の名前を冠したブランドを離れたのち、2021年に立ち上げたJones Roadなどが、ブランドパートナーに名を連ねている。

Novelの共同創業者のアナ・マージィ(Anna Merzi)氏は、同プラットフォームの利点について、「あるブロックチェーンでは、NFTを購入するための追加手数料がとても高く、トークンそのものよりも高い場合もある」として、暗号通貨を使う必要をなくすことで、消費者に経済的な利便性を与えるとする。

あわせてマージィ氏は、ブランドのファンにとってNFTを購入することは、“NFTを所有する”という特別なコミュニティに参加する「権利」を買うことを意味し、「ブランドがInstagramなどで行うファンコミュニティへの働きかけに比べ、より強いエンゲージメントが生み出せる」と話す。

一方で、投資意識の高いユーザーが集うブロックチェーンプラットフォームを選ぶブランドもある。同じく2022年4月、ゲランはobjkt.com上で展開するNFTコレクション「1828クリプトビー」を立ち上げると発表した。

コレクションの販売は、フランス・パリから約1時間の距離にある28ヘクタールの自然保護区ミリエール渓谷プロジェクトのサポートが目的で、NFTアートのクリプトビーの売上は同地域の自然再生や生態系回復のための研究に使用される。この地区は1,828の区画で構成されており、全部で1,828点あり、すべて異なるクリプトビーがそれぞれにひもづいた1つの区画を支援する設計としている。クリプトビーの所有者は、限定イベントやコンテストへの参加や、同地域への特別なアクセスなどが可能になる。

ゲランでは、希少性の高いNFTアート作品を暗号通貨でオークション販売することで、より大きな支援額につなげる考えだ。公式サイトでは、購入のための手順をステップ・バイ・ステップで説明するのに加え、最も持続可能性が高く、消費電力が少ないブロックチェーンの1つであるTezosを採用していると明記している。

Text: そごうあやこ (Ayako Sogo)
Top image: fred tromp via Unsplash

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