美容業界への挑戦状。ユーザー起点で社会をも変革するスタートアップたち
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テクノロジーの普及によりあらゆる分野の市場構造が組み換えられている現在、美容に関しても、従来のようにメーカーが作ったものを百貨店やドラッグストアで販売するというモデルをディスラプトしようとするスタートアップが次々に登場している。彼らは、たとえば化粧品の製造コストを完全に開示し、または商品企画アイデアを消費者から募り、新たなビジネスモデルを構築している。この記事では、そのようなスタートアップそれぞれのあり方を見ていきたい。
化粧品の製造・流通コストを開示し、原価で販売するBeauty Pie
インターネットは書籍や音楽、不用品売買などさまざまな分野においてミドルマン(卸)を排除し、消費者が支払う価格を押し下げてきた。その発想を化粧品分野でラディカルに実現したのが英国発の化粧品販売サイトBeauty Pieだ。
Beauty Pieは、会員になるとWebサイトで販売している化粧品を「工場出荷価格(Factory Price)」で購入できるサービスだ。会員にならなくても商品購入は可能だが、その場合は通常のマージン込みの価格を支払う必要がある。たとえばベストセラーのコンシーラー「Incrediblur」は通常価格22ドル(約2400円)に対し会員向け価格が4.27ドル(約470円)、ファンデーション用ブラシ「SEAMLESS FOUNDATION BUFFING BRUSH」は通常価格38ドル(約4100円)に対し会員向け価格は2,94ドル(約320円)などとなっている。
サイト上には「工場出荷価格」の内訳まで開示されており、そこには化粧品の製造原価やパッケージコスト、物流・倉庫利用料、安全管理・実験費用が含まれるのみだ。このようなコスト開示はアパレルのEverlaneが先駆けとなっているが、Everlaneの商品価格は原価の「2〜3倍」とされており、価格にはある程度のマージンが上乗せされている。
生協のような仕組みで化粧品を購入する
ではBeauty Pieが原価以外の費用、たとえばWebサイトやソーシャルメディアの構築・運営費や商品開発費をどのようにまかなうのかというと、それは会員費用及び非会員が商品購入する際の通常価格で埋め合わせる構造だ。会員費用は月10ドル(約1100円)または年間99ドル(約1万1000円)であり、月ごとに払う場合は最低3カ月の滞在、つまり計30ドルの支払いが必要とされている。また会員となっても購入できる金額は月ごとに上限があり、通常価格ベースで100ドルとなっている。
そのため会員がBeauty Pieに対し実際支払う金額は「工場出荷価格だけ」というわけではなく、会員費用の占める割合が存外に高くなる。会員向け価格の平均を仮に通常価格ベースの10%とすると、毎月購入できる金額は会員向け価格ベースでは10ドル、言い換えれば「原価ベースで10ドル分の買い物をするために、会費10ドル支払う」ことになる。
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