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shiroが向かう、地域ブランドからグローバルブランドへの道

◆ English version: “shiro” takes the road from local to global brand
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北海道発のコスメとしてスタートした「ローレル」というブランドが、「shiro(シロ)」という名にリブランディングして快進撃、ロンドンやNYにも進出している。ユーザーに受け入れられているポイントはどこなのか。エトヴォスの事例に続き、その背景を探る。

1989年、北海道・砂川市からスタートしたローレル。現在はスキンケア、メイクアップ、ホームコレクションを展開する化粧品・ライフスタイルブランド「shiro(シロ)」を展開している。2016年度の売り上げは24.7億円、2017年度は39億円と、いまもっとも注目したい独立系化粧品ブランドのひとつだ。

ブランドの設立者であり社長をつとめる今井浩恵氏の理念は「世の中を幸せにすること」。日本や世界の自然の素材を最大限に引き出し、モノづくりをおこなう。これが、shiroの原点だ。

画像:初代ローレル商品

「良いモノをつくりたい、ただこれだけです」と、専務の福永敬弘氏もそう語る。化粧品事業のスタートは2000年、OEMメーカーとしてだ。無印良品など、ピーク時は130を超える企業や雑貨やスキンケア製品を手がけてきた。このときの経験が、自社ブランドづくりへ向かわせた。

モノづくりの喜びや大変さは、OEM生産を通して理解している。自分たちが毎日使いたいものを作りたい、さらに地域や生産者に貢献できるものを、ということからオリジナルブランド「ローレル(LAUREL)」が2009年に誕生した。

インフルエンサー施策の失敗から学んだこと

当時は、いい素材を使っていい商品をつくっていけば売れるはずだという思いがあった。がごめ昆布や酒粕の化粧品など、使ってみれば納得のアイテムだが、ブランディングやマーケティングという点においては広まりにくい側面があったという。

当時、著名なインフルエンサーに依頼し、タイアップ投稿として、商品を使ってポストしてもらったところ、更新された数日後にそのインフルエンサーによって削除されてしまったという「事件」が起こった。

「これは悔しかったが、よく考えるとそうなった理由は我々のほうにも原因があったのではと冷静に考えた。つまりは紹介に値しないと思われてしまったのだと。SNSなどの新しいメディアは、自発的に紹介したいと思ってもらわない限り、数字もファンもついてこない。無理して仕込んでも効果などでない。我々のブランドには時期尚早だったということがわかった」と、福永専務は当時を振り返る。

ちょうど、海外展開を考えていた時期でもあり、ローレルというブランド名では商標登録が難しいこともわかっていた。こういったさまざまな逆境をチャンスととらえ、リブランディングに踏み切った。

そして2015年に誕生したのがshiro(シロ)だ。パッケージデザインについても、ある程度商品のよさがわかってもらえたら、シンプルでエッジのきいたものに変えるという戦略もあったため、スムーズに踏み切れたという。ブランドの世界観やパッケージなどがきちんと揃ったからこそ、従来の素材の良さがさらにアピールしやすくなった。

ベストセラーの shiro がごめ昆布美容液

国内も海外展開も、同じ感覚で考える

現在、直営店は国内で23店舗。2018年3月末に開業した東京ミッドタウン日比谷の「イセタンミラー」に出店したのは記憶に新しい。海外は、ロンドン(3店舗)に続き、今年1月にはN.Yにも店を構えた。この海外進出もブランドの成長には欠かせない戦略のひとつとして組み込まれたものだった。

shiroのニューヨーク West Broadwayの店舗

「通常であれば、国内ブランドの売り上げが安定してから海外へ、かつアジアへと考えるかもしれないが、我々は国内で出店するのと同じ感覚で海外出店も考え、加えて1号店はヨーロッパと決めていた。お金はかかったが(笑)、知名度がゼロベースのところで日本のコスメを浸透させるためには、まずは受け皿となる直営店が必要と考えた」と福永専務はいう。

shiroのロンドン KINGS ROADの店舗(上)と内装(下)

ロンドンでは、9名を現地にて採用。店作りにおいても古材や廃材、鉄、タイルなど、日本の店舗と同様に素材の良さが伝わる店舗を創り上げることに腐心した結果、天井以外は全て日本から空輸した。商品名にも自信をもって素材の名前を使っている。大きな売上がとれなくても、店舗自体が「ブランドの世界観」を伝えられる場所として捉えているという。

やらないことを決めたほうが、効果が出る

プロモーション戦略は、だから、デジタルも含め「やること」以上にやらないことを決めてきた。それはインフルエンサーの一件から学んだように、自身の経験から学びながらだ。たとえば、ECでは売るためのマーケティング施策はしていない。瞬間風速でしかないデジタルマーケティングをするよりも、ネットにおける場の価値を上げるための限定品を出すなどすることで、評判形成をするようにした。たとえば桜やミモザなど、季節感のある花の香りのアイテムを限定で投入。自分たちもSNSにあげたくなるようなアイテムに絞っている。

盛大に行っていた発表会も、ブランドの思いが隅々まで伝わりにくかったため、本当につきあいたい媒体、ジャーナリストにしぼって従来の規模の1/3にしたところ、かえって伝えたいストーリーが掲載されるようになったという。また、250人ほどに増えたスタッフは、業種も勤務地もばらばらだ。メールやペーパーでの報告よりも、ブランドとしてのナレッジ、報告や進捗などについてはLINEを使うことを優先させたところ、生産性やスピートがアップしたという。

やらないことを決め、本来やりたかったことに集中するいい循環がいまのshiroにあり、それが勢いにつながっている。どこまでもブランドが成長したとしても、北海道を原点に世の中を幸せにという思いは変わらない。

shiro砂川本店

会社の発祥の地、砂川市にカフェをつくったのも地域のつながりを大事にしているからだ。グローバル展開しても、北海道に税金を収めたい。それが今井社長が志していることだ。そしてどうせやるならシャネルを超えるブランドを目指し、ココ・シャネルのような年月を重ねても色あせない思いをshiroも大事にしていくのだという。

エトヴォスもshiroも絶妙なタイミングでのリブランディングを支えたのは、「やらないこと」を決めて、やるべきことに集中して地道に重ねることだった。大手企業のようなリソースが割けないからこそ、戦術の優先度を重視する。独立系ブランドの強さは、スタートの思いを変えないことのほかに、考え抜いた取捨選択にもあるのだということを教えてくれる。

Text: 編集部 Top image: Jeffrey Blum via Unsplash

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