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アモーレパシフィックとLG生活健康の競争激化にみる、韓国化粧品業界のM&A事情

◆ English version: M&A boom expected in the Korean cosmetics industry as competition heats up between Amore Pacific and LG H&H
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条件付きながらマスク着用義務が解除されることになった韓国では、実店舗に客足が戻ることやメイクをしての外出機会が増えることが期待され、化粧品業界においても需要回復に向け先行きが明るくなりつつある。パンデミックを経て業界内の勢力図が大きく変化を遂げ、再編が進むなか、今後の動向をうらなう意味でも活発化するM&Aに注目が集まる。アモーレパシフィックLG生活健康など業界大手の事例を中心に、韓国の化粧品業界のM&A事情をレポートする。

LG生活健康は、自社とのシナジーや未来を見据えたM&Aで成長軌道に

“日常の回復”の兆しが鮮明になるなか、化粧品業界のポストコロナフェーズの競争を分析する報道が目立ってきた。各社の競争力の指針として、DXやSDGsでの動きに加えて、M&Aの動向が韓国メディアでも注目されている。

韓国の化粧品業界勢力図の変化を示すものとして象徴的なのは、アモーレパシフィックとLG生活健康の美容企業ツートップの競争激化だ。アモーレパシフィックは数十年間にわたり韓国で美容企業トップの地位を堅持してきたが、2020年の売上でLG生活健康の化粧品部門にその座を奪われることになった。2021年にはアモーレパシフィックの売上が再びLG生活健康を上回ったものの、いつどちらが首位になってもおかしくない肉薄した状況となっている。

数年前までは、LG生活健康がアモーレパシフィックの牙城を脅かすというのは考えにくいことだった。2016年の段階でアモーレパシフィックの売上は6兆6,975億ウォン(約6,880億円)。対するLG生活健康は約3兆1,500億ウォン(約3,236億円)で、その差は2倍以上だった。この5〜6年の間に、LG生活健康は着実にシェアを伸ばしてきたことになるが、その躍進の要因の1つが積極的なM&A戦略である。

LG生活健康がM&Aを自社の成長戦略の柱として掲げたのは、チャ・ソギョン氏がCEO(現副会長)に就任した2005年1月からで、それほど最近のことではない。チャ氏は米ニューヨーク州立大学、コーネル大学経営大学院、インディアナ大学ロースクールなどを卒業。財務、会計、法学知識に明るく、米国金融界に人脈を持つ人物で、1999年から韓国P&G社長を2年間、また2001年からヘテ製菓食品の社長を務めた経歴を持つ。韓国の財閥企業によくみられる血縁関係からの後継者ではなく、いわゆるプロ経営者だ。

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