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Z世代に人気の海外美容アプリ「パーソナライズ」「透明性」「複数機能」がキーワード
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Z世代に人気の海外美容アプリ「パーソナライズ」「透明性」「複数機能」がキーワード

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化粧品の消費において、Z世代の影響はますます強まっている。1995年〜2009年生まれのZ世代は既に半数以上が労働人口で、今後10年で消費の中心に成長する年代だ。国連統計によると、Z世代人口は世界人口の32%を占め(2019年時点)、とくに美容消費大国の中国では約2億6,000万人というデータもある(2022年時点)。その世代に人気の韓国や中国、米国・英国の美容関連アプリを紹介する。

【韓国】製品を撮影するだけで情報を探せるJJGUM(찍검)

2016年に設立されたAIスタートアップRocketViewが展開する「JJGUM(찍검)」はさまざまな化粧品情報が一気に調べられるアプリだ。これまで消費者は商品棚を前にしてスマホを片手に、SNSやクチコミサイトのレビュー、アプリの指標など複数のサイトやアプリの情報を検索してきたが、JJGUMは「撮って検索(찍고검색)」を略したサービス名の通り、アプリのカメラ撮影だけで化粧品情報が検索できる。店舗棚に設置された値札をアプリのOCR(光学式文字認識)カメラで撮影すると、価格比較や商品属性、成分、おすすめ肌タイプ、顧客レビューといった幅広い商品情報が表示される。

2022年3月には、韓国のヘルス&ビューティストア「オリーブヤング(OLIVE YOUNG)」を運営するCJ Olive Youngが同社を買収した。聯合ニュースによると、この買収によりビッグデータとAIを用いた商品レコメンドエンジンの装備とパーソナライズキュレーションサービスを展開する計画だという。

オリーブヤングはパンデミックをうけてデジタル化を加速しており、オフラインとオンラインを連携するオムニチャネル戦略を掲げる。1,000万ダウンロードに達したオリーブヤング公式アプリでは、Z世代からミレニアル世代向けの施策として、オンラインでギフト券を送ることができるモバイルギフトサービスの提供やライブコマース配信、ピックアップサービスを展開するほか、2021年には健康ソリューションプラットフォーム「Vi-meal(건강비밀이、日本語直訳は健康秘密)」との協業で、健康食品のレコメンドサービスも導入した。

オリーブヤング公式アプリ
出典:CHANNEL CJ

【韓国】化粧品もコンテンツもパーソナライズレコメンドのZamface

韓国スタートアップZackdangが2019年6月にリリースしたAIビューティ動画キュレーションアプリ「Zamface」は、会員数180万人を超える人気アプリに成長した。Z世代の女性がユーザーの94%を占める。

主なサービスはYouTubeにアップロードされた美容インフルエンサーのコンテンツ、そして動画内で使用されているコスメのパーソナライズマッチングだ。それ以外にも多くの機能があり、ユーザーの顔写真をAIが解析し、顔の形やタイプが近いインフルエンサーや動画を紐づける「フェイスマッチング機能」、動画の興味のあるシーンに飛んで視聴できる「タイムジャンプ機能」などがある。無数にある動画やインフルエンサーから自分に適したものだけを受け取れる手軽さが人気の秘密だ。

2021年9月には「パーソナルカラー診断機能」が追加され、導入から4カ月で100万人が診断する人気機能になった。パーソナルカラーとは髪や瞳、肌など生まれ持った色と調和する色の区分を見つけるイメージコンサルティングの一種で12の色相から診断を行う。また、Zamfaceは診断結果をもとに、商品カラーや参考になる美容YouTuberをレコメンドする。

パーソナルカラー診断100万件突破のInstagram投稿

2022年1月には、韓国のベンチャーキャピタル Hi Investment PartnersとDaesung Private Equityから45億ウォン(約4億8,000万円)を調達した。調達資金はユーザーマーケティングや機能とサービス改善にあてるとしているが、株主となった Hi Investment Partners ディレクター ノ・ギョンウク氏はメディアに対し「Zamfaceは、将来的にビジネスをECに拡大することで、韓国の主要なプラットフォームになる可能性が高い」と述べている

【韓国】海外のK-Beauty好きに支持される多機能アプリのPicky

2020年4月に韓国で設立した「Picky」は、スキンケア情報を複合的に提供するアプリで、主なユーザーはシンガポール、フィリピン、マレーシア、米国に住む20〜30代の女性だ。スキンケアに関心の高いグローバルユーザーが多いことから、企業からも注目されており、「COSRX」「Wishtrend」「PURITO」など30の化粧品ブランドがPickyと連携している。

Pickyはクチコミアプリのような形ではありつつ、製品の成分情報や、質問とディスカッションを行うコミュニティ機能のほか、パーソナライズレコメンドなども提供する。ユーザーは登録時に14の設問に答えて肌タイプを診断。これに製品カテゴリーやブランドロイヤリティといった各種データを掛け合わせ、商品紹介やインフルエンサーレコメンドなど、パーソナライズされた情報を提供する。また、皮膚科医などのスキンケア専門家やインフルエンサーが参加していることも魅力の一つとなっている。

2022年1月には、韓国コスメ流通サポートのスタートアップB2LiNKが同社を買収した。B2LiNKは毎年2〜5社の買収を目指しており、ここ数年でスキンケアブランド「SKIN1004」やOEM企業SR Biotek、流通企業BCCKOREAなどの買収を進めてきた。今回の買収によってPicky独自のデータを使用し、ユーザーの注目が高まっている新進気鋭のブランドを見つけて獲得するという狙いもあるようだ。

【中国】製品が「本物」かを見極めるアプリ 、維鑑(Weijian)

「維鑑」アプリの鑑定ページ

2019年に登場した「維鑑(Weijian)」は、製品が本物かどうかを識別するアプリだ。中国では偽物に関する問題が多く、消費者向け苦情プラットフォーム「黒猫投訴」には累計10万件以上の偽物に関する投稿が寄せられている。維鑑は美容製品を中心に、バッグや時計、靴なども鑑定している。

消費者向け苦情プラットフォーム「黒猫投訴」
出典:黒猫投訴

ユーザーは手元の商品をアプリの指示に従って撮影してアップロードすると、専門鑑定士が色や形状、ロゴ、質感などから製品の信頼性をチェックし、製品鑑定書が提示される。またオンラインだけでなく、物品を郵送して粘度やpH値、含水率などを機器で測る現物チェックを選ぶことも可能だ。こうした現物チェックが行われるのは、画像による鑑定が難しいだけでなく、本物の空容器の中にまったく別の内容物を入れて販売するといった悪質な業者が絶えないためだ。同アプリではこうした鑑定機能のほか、製品の製造日や使用期限のチェック機能や口コミを投稿するコミュニティ機能、ECモールを持つ。

鑑定アプリはほかにも「得物」「心心」「識貨」など複数存在するが、維鑑がこれらのアプリと異なるのは、美容鑑定アプリとしてスタートし、化粧品ブランドと協業した「ブランド共同識別」協力モデルを採用した点だ。こうした鑑定や情報の質の高さから、「Alibaba.com」「Tmall Global(天猫国際)」「Kaola(考拉海購)」「Douyin(抖音)」などの一時流通、および二次流通の「Xianyu(閒魚)」といった外部プラットフォームにも認証技術サポートを提供している。

【米国】脱SNSで美容ファンコミュニティとライブコマースのSupergreat

2018年にローンチした「Supergreat」は、コミュニティとライブ・動画コマースを掛け合わせた美容ファン向けのアプリだ。近年、InstagramなどのSNSではインフルエンサーによる広告投稿が増え、純粋なレビューを探しにくくなっている。これに対してSupergreatは一般ユーザーがレビューを投稿し、美容ファンの仲間とつながるというコンセプトを掲げる。

SNSではコンテンツを投稿すると、いいねやフォロワーの形で評価を受けることになるが、これ自体がユーザーにとって投稿のハードルにもなり得る。そのためSupergreatは別の方法でコンテンツの価値を示していくとし、そのひとつにアプリ内通貨がある。ユーザーのレビューに、美容製品と交換できる通貨「スーパーコイン」が付与され、デモンストレーションやチュートリアル付きなど、より詳しいレビューを投稿するとスーパーコインが多くもらえる仕組みが導入されているほか、アプリへの招待、ライブイベントへの参加、オリジナルコンテンツの視聴などでもスーパーコインが獲得できる。

また他のSNSや美容コミュニティと比較しての優位性は、ライブコマースに重点を置いているところだ。2020年7月にライブ機能をリリースすると、それ以前と比べてユーザーは毎日30%以上多くの時間を、Supergreat上で費やすようになったという。

ライブ配信のUI/UXはInstagramライブに近く、コメントや質問をしたり、ピックされた商品のページに飛ぶことができる。ライブコマースにはプラットフォームに参加するクリエイターから選ばれたホストのほか、ブランドも参加しており、「ベアミネラル」はアンバサダーのヘイリー・ビーバー氏を起用したライブ配信を行った。

【英国】ソーシャルセリングの仕組みももつAgora

英国のアプリ「Agora」も、米国のSupergreat同様に、一般消費者の投稿を重視するソーシャル・ライブコマースアプリだ。インフルエンサーが広告費をもらって行うPR投稿ではなく、一般消費者のリアルなレビューが買い物に情報の透明性をもたらすという考えで、ユーザーは登録さえすれば投稿でき、ソーシャルセラーの認定を受けると「コンテンツクリエイター」としてその投稿経由で製品が売れると収益を得ることが可能になる。2020年4月にローンチし、2021年11月には登録ユーザーは36万人、コンテンツクリエイターは5,000人を超えた。

共同創業者のリッカルド・バジーレ(Riccardo Basile)氏とエリザベス・クラフト・タウンゼント=ローズ(Elizabeth Craft Townsend-Rose)氏は、中国アリババに買収された東南アジアのEC企業・Lazadaの創業メンバーだった。2人は中国を中心とするライブコマースの成長や中国の「タオバオ(淘宝)」や「RED(小紅書)」といったSNSのUGCからインスピレーションを受け、ヨーロッパにこの手法を持ち込もうとAgoraを立ち上げた。2021年11月にオンラインマーケットプレイスをスタートし、約700ブランド、約1万6,000個の製品を揃えた。前述のコンテンツクリエイターはAgoraへのビデオレビューの投稿やライブコマースの配信によって販売金額の一部を受け取ることができる。

美容アプリに求められている「パーソナライズ」「透明性」「時短」

今回紹介したものも含めてZ世代が好むといわれるアプリにはいくつかの共通点がある。まず「パーソナライズ」は大きな要素で、そのアプローチに多少の差異はあるもののほとんどのアプリで導入されている。デジタルネイティブのZ世代にとってスマホは欠かせない存在だが、その中で膨大な情報に日々触れており、ある程度の取捨選択をする機能が必要だ。

また情報収集においては、広告ではないリアルなクチコミ、公式に承認された確かな情報など、情報の「透明性」も重視される。元々はSNSこそが透明性の高いリアルな情報交換の場だったが、それが今はアプリ内のユーザーコミュニティやライブ配信のように、より「作り込みにくい場」に移りつつある。

さらに多くのアプリの機能を一つにまとめた、複数機能を持つアプリも人気が高い。値札を撮影して検索するJJGUMは、機能としては検索がメインだが、その中で表示される情報においては成分アプリやレビューアプリなどの複数の機能をあわせ持ち、幅広い情報がひとつのアプリ内で同時にとれることが支持を得る要因となった。

パーソナライズや複数機能のアプリは効率的で時短になるだけでなく、デジタルならではの楽しみも提供してくれる。これは動画やライブコマースにも同じことが言えるだろう。こういったZ世代に人気のアプリを通じてZ世代消費者の志向や行動を知ることが、彼ら彼女たちへのアプローチのヒントにもなりそうだ。

Text: 臼井杏奈(Anna Usui)
Top image: View Apart via shutterstock

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