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中国でワトソンズやセフォラが即日配送。ラストワンマイルの無人配送テクノロジーも

◆ English version: Watsons’ and Sephora race to be first in last mile unmanned, same-day deliveries in China
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中国では即日配送が当たり前になりつつある。「ラストワンマイル」サービスでの競争が激しさを増すなかで、小売の新たな販売チャネルになりつつあるのがデリバリーアプリだ。美容業界も例外ではなく、ワトソンズやセフォラが出店し消費者の「今すぐほしい」というニーズに応えている。また各プラットフォームが急ピッチで開発を進める無人配送の現状について紹介する。

ワトソンズやセフォラがフードデリバリー大手に出店

化粧品などの即時配送を後押ししているのが、中国のフードデリバリーアプリだ。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって、外出を避けるため利用者がさらに増加し、アリババグループ傘下の「ウーラマ(餓了麼)」とテンセント傘下の「Meituan(美団)」がシェアの拡大を目指して競っており、フードのみならず、今では日用品から市販薬の配送まで行い、スーパーやドラッグストアなど小売店の商品も配達する。

美容分野でいち早く動いたのはワトソンズ(屈臣氏)で、2018年にウーラマに出店。ワトソンズはドラッグストアといっても、売り場の大半を美容関連商品が占めている。その後、競合のMannings(万寧)や化粧品専門チェーンGIALEN(嬌蘭佳人)なども相次いでウーラマに出店している。

一方のMeituanには、セフォラが2020年4月に出店。北京と上海の店舗から商品を配達している。また、ワトソンズはこちらにも参加し、中国で若い世代に人気の新興化粧品小売チェーンTHE COLORIST(調色師)なども出店している。

ワトソンズはもともと顧客への最後のリーチであるラストワンマイルを重視してきたため、フードデリバリーアプリ以外でも即時配達を行う。自社アプリから配達に対応するほか、2月からはWeChatのミニプログラム上で新たに「屈臣氏官方雲店(ワトソンズクラウドストア)」を開設した。同店から注文すると、商品のある店舗から3km以内であれば1時間以内に配達するほか、店舗での取り置きもできる。

このように美容系小売店のフードデリバリーへの出店が相次ぐなか、ブランドもフードデリバリーアプリに目をつけはじめている。アモーレパシフィックが展開する「innisfree(イニスフリー)」は2020年6月、美容ブランドとして初めてウーラマに出店した。約200の店舗から300種類余りの商品を配達。店舗から配達場所までの距離にもよるが、早ければ30分で届く。他ブランドも後を追い、現在では中国のスキンケアブランド「AFU(阿芙精油)」なども出店している。

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ウーラマのアプリ上にある
innisfreeの店舗(左)と、
Meituanアプリ上にあるセフォラの店舗

また、寝る前に使用するクリームタイプのフェイスマスクが人気のニュージーランドのスキンケアブランド「geoskincare」は10月にウーラマと戦略的提携契約を締結した。両者は新商品の発表やデジタルマーケティングなどの面で協力するとともに、geoskincareがウーラマに出店する。全国8,000店舗で順次対応する予定だが、上海、北京、広州など主要都市の約1,500店舗ではすでにサービスを開始している。

geoskincare は11月11日に開催される中国の一大セールイベント「双11(ダブルイレブン)」ではウーラマ、そして同じアリババグループである「淘宝直播(タオバオライブ)」で同時にライブ動画を配信するという。

このようにデリバリーアプリに出店する美容系企業の動きが活発化しつつあるが、現在のところは売上への貢献度はまだそれほど大きくないようだ。ウーラマの店舗検索をみると、ワトソンズは店舗によってはひと月に500以上の注文があるが、ブランドの場合は対応する店舗がまだ数少なく認知度も低いためか、どの店舗も2桁の利用にとどまっている。

Meituanが無人配送車を活用した小売店をオープン

フードデリバリーアプリは競争の激化に伴い、差別化のために積極的に新しいテクノロジーを取り入れている。ウーラマは2018年、上海市郊外の金山工業区内の一部エリアでドローンによる配達を開始した。

一方、Meituanは2016年から無人配送車の研究を始め、2018年にオフィスビル内で試験運転をスタートした。また、北京市順義区の一部でコロナ禍の2月、無人配送車「魔袋(MAD)」による配達を行った。同社のチーフサイエンティスト 夏華夏氏は7月10日に開催された「2020世界人工智能大会」で、現地メディアの取材に対し、遅くても3~5年の間には無人配送車の導入規模を拡大させると答えている。

さらにMeituanは、10月に無人配送車を活用した小売店「MAI Shop」を2022年冬季五輪の会場となる北京市の首鋼園内にオープン。専用アプリを通じて来園客が注文し、店舗システムで受注が確認されるとMADが自動で商品をピックアップして配達。利用客は、スマートフォンに送られた認証コードを入力することで商品を受け取る。

ウーラマではまだ無人配送車導入の発表はないが、アリババグループは9月に開催されたアリババクラウドの年次イベント「Apsara Conference 2020」でクラウド・コンピュータとともに配送ロボット「シャオマンルウ(小蛮驢)」を発表した。

アリババグループのグローバル研究機関DAMO(達摩院)が開発した同ロボットは、標準サイズの荷物を50個搭載することができる。1日に10回出動すれば最大500個を配達できる計算だ。1回の充電で100kmの走行が可能で、安全性が高く、0.01秒で危険を察知して停止可能という。

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アリババが開発したシャオマンルウ
出典:DAMO

無人配送で先行する京東集団

いよいよ動き出したアリババだが、実は無人配送で先行するのは「JD.com(京東商城)」を運営する京東集団だ。2016年から農村部でドローン輸送を開始。2017年には無人配送車を投入し、エリアは限定的ながら、現在20都市で稼働している。

2019年には、楽天が京東集団のドローンと無人配送車を導入することで合意した。楽天が持つドローン配送の運用ノウハウやECアプリなどのITソリューションと、京東のドローンや無人配送車を組み合わせることで、使用用途や場面に柔軟に対応する楽天の無人配送サービス提供に向けて連携を進めるとしている。

COVID-19の爆発的感染で武漢がロックダウンされた際にも、京東集団の無人配送車が活躍し、患者の対応にあたっていた武漢第九医院への物資の配達にも活用された。

さらに10月22日に開催された「第5回グローバルスマート物流サミット」で京東物流の王振輝CEOは、江蘇省常熟市との提携により「無人配送シティ」を構築することを明らかにした。

同市では市内での無人配送車の運用が許可されているが、すでに30台以上が稼働しており、年内に新たに100台を投入するという。無人配送車の車種は5種類あり、用途によって使い分ける。最も大きいタイプは2平方メートルのサイズの荷物を搭載することも可能なほか、車種によっては1回の出動で500個以上の標準サイズの荷物を配達することができるという。

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ドローンを使った無人配送で
一歩先を行く京東集団
出典:京東物流

現在の無人配送は、荷物が近づくと受取人のスマートフォンに通知があり、受け取るためには家の外に出なければならない。人間の配達員のように玄関まで届けてくれない不便さはあるが、その解消を試みる新たなサービスも誕生している。2020年3月に設立された南昌楽取智能科技が提供する「楽取到家」だ。マンションのベランダにエレベータ式の専用レールを設置する大胆な発想で、ユーザーは家にいながらにして荷物の受け取りができる。

無人配送の拡大を促す5Gと中国のGPS

5Gの普及で無人配送はますます拡大することが予想されるが、それを後押しするテクノロジーがもう1つある。それは衛星測位システム「BeiDou(北斗)」だ。

米国の全地球測位システム(GPS)の中国版ともいわれるBeiDouは、6月にシステムを構成する最後の衛星となる55基目の人工衛星が打ち上げられた。これにより、1基目が打ち上げられた2000年から20年かけ、BeiDouの衛星測位システムが完成したのだ。これで中国は米国のGPSに依存する必要がなくなった。

位置精度の誤差を1.2mまで縮め、米国のGPSを凌ぐ精度を実現したとしている。現地の報道によると、コロナ禍の北京でMeituanのMADが野菜などを配達した際に、北斗の衛星測位システムが利用された。

5GとBeiDouシステムの普及により、無人配送は当たり前のサービスとして急拡大する可能性がある。当然、フードデリバリーアプリも同システムを取り入れていくことになるだろう。化粧品の即日配送、いや注文後30分〜1時間以内の受取りが中国で日常になる日も遠くない。

Text: チーム・ロボティア(Team Roboteer)
Top image: Besjunior via Shutterstock

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