【CES2024】美容ブランドがリンクしはじめているメンタルヘルス、Z世代の高い関心
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米ラスベガスで2024年1月9日〜12日に行われた「CES2024」では何が語られ、どんな未来像が提示されたのか。ビューティテックやリテールテックを含むイノベーションの方向性を占う意味でも重要ないくつかの基調講演を軸に、現地取材したBeautyTech.jp編集長の矢野貴久子が3回に分けてレポートする。3回目はCES2024年の大きなテーマのひとつとなったデジタルヘルス、なかでも注目が高まるメンタルヘルスについての議論を取り上げる。
メンタルヘルス重視の潮流で美容ブランドも連携を強める
メンタルヘルスとのつながりを明示する欧米の美容ブランドが増えている。
コティの「Philosophy」はその先駆けだ。2014年に、売上の1%を自社の「Hope & Grace(希望と恵み)基金」に寄付することで女性のメンタルヘルスの改善を支援するイニシアチブをスタートし、調達した資金は過去9年間で580万ドル(約8億5,900万円)とされ、毎年、メンタルヘルスと幸福の促進やメンタルヘルスの悪化に関連して起こる問題の防止と治療などを目的とするさまざまな組織に、財政的なサポートとして助成金を授与している。
最近ではケイト・モス氏の美容ブランド「COSMOSS」が2024年から、心と体のスピリチュアルヒーリングを推進する非営利組織のチョプラ財団と一連のイベントで協力し、同団体のプラットフォーム「Never Alone」において発信を共有していくことが発表されている。
パンデミックを機に、自身を見つめ直しメンタルヘルスの重要性に気づいた人も多いとされるが、生まれながらにデジタルネイティブでありSNS時代を生きるZ世代はとくにその傾向が強い。CESで行われたセッションのひとつ、「Speaking Gen Z(Z世代について語る)」では、調査会社ミンテルのコンサルティングディレクター ビージェー・ピッチマン(BJ Pichman)氏が登壇し、Z世代の消費者の3つの特徴について語ったなかで、最初にあげたのが「精神的な健康」を非常に重視しているという側面だった。
ミンテルの調査によれば、Z世代の健康全般に関しての姿勢は、運動や(たとえばヘルシーな食事をするなどの)肉体的なケアよりも、心の健康を最優先しているという。あわせてZ世代は、ほかのどの世代よりも感情的に聡明(emotionally intelligent)で、自分の感情を理解して管理し、他者の感情も正しく認識する能力を持っているとする。人生の早い段階からメンタルヘルスを意識することで、今現在だけでなく、生涯を通じて自身の行動を変えていくことができると考えているという。
Z世代の当事者としてこのディスカッションに参加した、起業家で南カリフォルニア大学の学生でもあるディラン・ヒューイ(Dylan Huey)氏は、同時に100 万人を超えるフォロワーを持つソーシャル メディアのコンテンツクリエーターとして、自身のフォロワーがメンタルヘルスについて深い関心をもっているのを肌で感じてきたと述べている。
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