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「コンシャスビューティ」「AI活用パフューム」がキーワード【海外トレンド 2022年5月- 6月】
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「コンシャスビューティ」「AI活用パフューム」がキーワード【海外トレンド 2022年5月- 6月】

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毎月1回、ビューティ業界にインパクトを与える海外ニュースを俯瞰し、注目すべきポイントと報道の裏側にある背景を解説。グローバルな視点からビジネスの潮流を紐解く。今回は、サステナビリティなど環境問題のほか、多様性やインクルーシブなど社会課題への美容ブランドの対応をみて、支持や購入を決める消費者の増加に伴い、台頭する「コンシャスビューティ」を取り上げる。加えて、香水業界に新しい可能性をもたらすとして、拡大するAI活用の動きをみていく。

ウルタ、「コンシャスビューティ」カテゴリーを強化

出典:Glossy

★注目ポイント
クリーンビューティの次のキーワードとして「コンシャスビューティ」に注目が集まっている。サステナビリティなど環境問題にとどまらず、透明性やインクルーシブ、倫理性にも目を向けて製品やブランドを判断する“意識の高い”ユーザーが消費の中心に増えていることが背景だ。こうした消費者の要望に応えるコンシャスな製品づくりの姿勢を明確にすることは、メーカーや小売にとって必須の施策になりつつある。

全米に1,300超のショップを展開する米大手化粧品専門店Ulta Beauty(ウルタ・ビューティ、以下ウルタ)は先ごろ、2020年10月に発足した同社のコンシャスビューティ諮問委員会の幹部メンバーとして、P&Gのグローバル・サステナビリティ、シチズンシップ、ブランド・コミュニケーション担当のVP アニトラ・マーシュ(Anitra Marsh)氏や、クリーン&ナチュラルなヘアケアブランドBriogeoの創業者兼CEO ナンシー・トゥイン(Nancy Twine)氏、ウルタの企業戦略・変革担当VPのクリスティン・ウルフ(Kristin Wolf)氏ら、5名のビューティ・エグゼクティブを追加したと発表した。

ウルタのコンシャスビューティ・プログラムは、「クリーンな成分」「サステナビリティ」「ヴィーガン」「クルエルティフリー」「ソーシャルインパクト」の5つの柱を掲げ、近年、高まっているクリーンビューティや持続可能なコンセプトの製品に対する消費者需要に応えるための、美容小売業者による取り組みのなかで生まれたものだ。現在、この5つのカテゴリーのうち1つ以上に該当する288の化粧品ブランドが参加している。同社の公式オンラインショップや店舗では、コンシャスビューティ・コーナーが設けられ、各カテゴリーに表示マークを付与することで、ユーザーが“コンシャスな”製品やブランドを見つけやすく、購入しやすいようにしている。

出典:ウルタ公式サイト

同時にウルタでは「Made Without(不使用成分)」リストを作成し、ウルタのコンシャスビューティ・プログラムの参加ブランドが使用を排除する成分を公表することで、ユーザーが商品を選ぶ際の助けとなる情報を提供している。

ウルタのウルフ氏はまた、今後について「ダイナミックな成分検索など高度なデジタル機能」の導入も計画していると明かす。加えて、SNSを通じた消費者エデュケーションにもさらに力を入れる予定だ。ミレニアル&Z世代がコンシャスビューティの需要を押し上げている状況で、こうしたユーザーのコンシャスビューティに対する知識レベルは日々上昇しており、もっと知りたいという要望が寄せられているからだという。

このように、美容小売が成分やサステナビリティの基準を自社のショピングカテゴリーに追加する例は増えており、セフォラでも2018年に立ち上げたClean at Sephoraに「Planet Positive」指定を2021年に加えている。

ここ2年ほどで、美容業界における“バズワード”になっているコンシャスビューティは、環境問題をはじめ、人権や人種、動物愛護に関わる社会課題に対して「意識の高い(コンシャスな)」消費者に歓迎されることを狙い誕生した。定義の不確かな「クリーンビューティ」から一歩踏み込み、コンシャスビューティが含むべき具体的な特徴を明らかにしている。

そこでは、リサイクル可能なパッケージや環境負荷の削減などのサステナブルな製造方法はもとより、透明性やエシカルであることが求められる。たとえば、原料も植物など自然由来のものを使用しているだけではなく、その原料の採取方法が人道的であるか、不当な労働や低賃金を強いていないかどうかまでが問われる。こうした意味で、よりSDGsの概念に沿った美容製品やブランドを積極的に選びたいユーザーと、それに応えるメーカーや小売などが一体になった業界の動きが、コンシャスビューティ台頭の裏側にはある。

化粧品ブランドにおいても、M・A・Cなどのように、コンシャスビューティをうたい、原料や処方、製造方法について開示する事例が出てきている。また、新製品ラインの開発にあたり、コンシャスビューティを念頭にしたコンセプトを採用したことを公表する資生堂EMEAの例もある。

ジボダンやフィルメニッヒ、大手香料メーカーが主導するAIによる香水の革新

出典:BeautyMatter

★注目ポイント
香水メーカーによるフレグランスの新しい可能性を発見するためのAI活用は、すでにさまざまなレベルで始まっている。新奇な仕掛けで衆目を集めるための“ギミック”ではなく、香水業界におけるクリエーションそのものを変革し発展させていくテクノロジーとしてAIが用いられている。

2021年、パコ ラバンヌがローンチしたメンズフレグランス「Phantom(ファントム)」は、デジタルインタラクティブな「話しかけると喋る」ロボット型ボトルと、神経科学的アプローチ、そしてAIを用いた香料組成で話題を呼んだ

パコ ラバンヌでは、香水成分によってもたらされる感情的な効果を特定できる「Science of Wellness」プログラムを開発、ある香りを嗅ぐことで脳のどの部分が活性化するのかを特定することに成功した。加えて、ファントムの調合に使用されたのは米香料大手IFFのAIプログラムで、予想外の香りの組み合わせを試し、香水をつけたときに起こる感情効果を強めるための斬新なレシピや調合量がAIにより提案されたという。

同ブランドの担当者は、調香師チームの1人であるロック・ドン(Loc Dong)氏の「酢酸スチリルを(一般に適正と考えられる量より)過剰に使用して未来的なアロマを生み出したい」とのアイディアに対し、AIが現在の市場にある香水の10倍の量の酢酸スチリルを勧めたことを明かし、結果、クリーミーなラベンダー3.0と組み合わせることで、たぐいまれなセクシーさを備えた香りが創造されたと語っている。実際に、ファントムをリリースする前に、脳内でどのような感情が呼び起こされるのかを18歳〜35歳の男性でテストしたところ、香りによって引き出される3つの主要な感情として、セクシー、自信、エネルギーが感知され、つまり“ムラムラする”香水であることが確認された。

出典:I-D

エイボンでも、メンズフレグランス「Full Speed Gamer(フルスピードゲーマー)」の制作にAIを活用している。エイボンのフューチャーイノベーション担当エグゼクティブディレクターのジーナ・グーラ(Gina Ghura)氏は「お気に入りのゲームで勝ったときの高揚感を演出したかった」とそのコンセプトを語る。そこで、世界最大の香料メーカーのジボダンと協働し、AIを使ってアドレナリン放出を感じさせるフレグランスノートを組み合わせた。この香りを男性ゲーマーのチームでテストし、刺激、エネルギー、モチベーションの感情に対する効果を評価した。

グーラ氏は「フレグランスの世界では、遊び心を持ってAIを活用し、求めている気分を引き出す香りを作ることができる。AIがエキサイティングなのは、その柔軟性にある」として、今後、完璧なフレグランスを作るためにAIを利用するブランドはますます増えるだろうと予想。ウィメンズフレグランスにもテクノロジーを使ったストーリーの余地があると考えている。

香水分野では、処方や調合以外にもAIが活用されている。なかでも、大手フレグランスメーカーは調香師を支援するためにさまざま方法でAIツールを使用している。たとえば、フィルメニッヒでは、ビッグデータをもとに、トレイルやブルームと呼ばれるフレグランスの特定の属性を強調する香水の制作に加えて、消費者の好感度や利益の予想にもAIを活用。消費者データにもとづき、どのフレグランスがどの消費者グループにアピールするか、またその理由を予測している。あるいは、特定の製品カテゴリーへの香りの適用性を測ったり、顧客がフレグランスに求めている機能にあわせて製品をレコメンドし、マッチさせることも可能だとする。

あわせて、フィルメニッヒは、スタートアップや独立系ブランド向けに、フレグランス製品の開発プロセスをシンプルかつスピーディにするデジタルプラットフォーム「Scentmate」を2021年にリリースしている。ユーザーは質問票への回答やビジュアルを確認し、自分が作りたい香水プロファイルを組み立て入力することで、AIによる最適な調合ソリューションがレコメンドされる仕組みだ。さらにScentmateは、制作した香水のオンラインでのサンプルの請求と発注、数量設定、オンライン決済にもワンストップで対応でき、サプライチェーンの簡素化を支援する。フレグランス分野への新規参入のハードルを下げるものとしても期待される。

Scentmateイメージ図
出典:Scentmate公式サイト

一方で、香水を噴霧するアトマイザーの仕組みは、1950年代に現在の香水ボトルで採用されている方式が発明されて以来、大きな変化はなかった。そこに着目し、AIを活用した香りのパーソナライズにあわせて、香水を吹きかけるシステムをデジタル化したのが、スロバニア出身の2人の共同創業者が立ち上げたNinu Perfumeだ。

同社が開発した電子的に駆動するスプレーボトルには、香りのベースとして3つのカートリッジが組み込まれており、単体でつけたり、ベースを混ぜ合わせたり、香りの強弱をつけることが可能で、約100種類の香りをオンデマンドで提供する。連動するアプリはユーザーの香りの好みや傾向を把握するとともに、仕事、デート、会議、スポーツなどのシーンに応じた香りのレコメンドをする。自分で好きな組み合わせを作ることも可能だ。現在、ユニセックス、マスキュリン、フェミニンの3種類のセットを用意。2022年6月中には、クラウドファンディングでの予約注文者の手元に商品が届く予定とする。

Text: そごうあやこ (Ayako Sogo)
Top image: Rajshri Bharath KS via Unsplash


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