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中国“乙女”コスメ「Flower Knows」、異色のブランディングとマーケ戦略で世界へ

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2016年に創業、Kawaii(可愛い)を意識した中国の新興カラーコスメブランド「Flower Knows(花知暁)」が、競合ブランドのなかでいわば空白地帯を埋めるように成長している。日本にも上陸し、ロマンチックで華やかな“乙女風”デザインコンセプトが若い世代に人気だ。「KOLのライブコマースもダブルイレブンも必要ない」と言い切り、新製品発売前の15日を最も重要なプロモーション期間と位置づける、同社CEOら経営陣が考える戦略をひもとく。

化粧品・トイレタリー用品の中国からの輸出は堅調

近年、中国からの化粧品・トイレタリー用品の輸出が伸びている。中国海関総署(税関総署)によると、2020年は数量ベースで前年比4.3%増の99万9,000トンとなった。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が影響し、金額ベースでは前年比10.6%減の294万6,000元(約4,920万円)と振るわなかったが、単価の低い商品の輸出が増えたことがみてとれる。

これには、価格帯の低い中国化粧品ブランドの貢献も大きいとみられる。老舗ブランドだけでなく、以前紹介した「Perfect Diary(完美日記)」や「Florasis(花西子)」など海外展開を意識する新興ブランドが増えているのも要因で、「Flower Knows(花知暁)」もそんなブランドの1つだ。

コスプレイヤーにターゲットを絞って2016年にローンチ

Flower Knows を運営するのは2016年創業の杭州花知暁電子商務で、楊子楓氏ら2人の「90后(1990年以降生まれ)」男性によってローンチされた。現地メディア新商業情報NBTの報道によれば、コスプレにハマっていた彼らは、中国のカラーコスメにおいて、レースやフリルを多用し少女らしさを強調した日本の「ロリータ系」スタイルが空白地帯だったことに目をつけ、同ブランドを立ち上げたという。コスプレや日本のいわゆるKawaii系ファッションには昔から一定数のファンがいるが、その服装や雰囲気に合うコスメが中国市場に必要だと考えたようだ。

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出典:Flower Knows公式サイト

楊氏によると、新規の化粧品原料を見つけたり、使用感を高める技術的な障壁を乗り越えるのは難しい。しかし、パッケージなら比較的簡単に差別化を図れるため、2年かけてデザインの研究に取り組み、ビジュアルでユーザーの心をつかむ戦略に打って出た。それがヒットにつながった。

競合でもある新興ブランド2強のうち、Perfect Diaryのデザインは欧米市場を意識しており、Florasisは中国の伝統的モチーフを取り入れている。それに対して、Flower Knowsは「可愛い」「コスプレ」「ロリータ」といった、世界中に濃いファンのいるカテゴリーに特化し一線を画している。中国ではアパレルブランドとのコラボにも力を入れ、ロリータブランドの「Bacio Bouquet(榛果可可花束)」や「Pretty Rock Baby」などと組み、パッケージには花やハート、星などのモチーフをちりばめてガーリーな世界観を表現している。

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