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完美日記を猛追する、花西子やZEESEAなど中国の新興4ブランド、海外志向も

◆ English version: Four up-and-coming Chinese Cosmetics brands hot on the heels of Perfect Diary
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中国で近年、数多くのカラーコスメ系の新興ブランドが誕生している。急成長を遂げ、飛ぶ鳥を落とす勢いの「Perfect Diary(完美日記)」がその代表例だが、同ブランドの成功を受け新興ブランドが続々登場。瞬間風速的にPerfect Diaryを凌ぐほどの人気になりつつある「花西子」や、また、巨大な中国市場のみならずスタートから日本や欧米など海外展開を積極的に仕掛けている4つのブランドを紹介する。

7月GMVが完美日記を超えた「花西子」

中国化粧品市場において、Perfect Diaryは今や、オンラインの世界ではグローバルブランドをしのぐ存在になっている。中商産業研究院によると、6月18日に各プラットフォームで行われるセールイベント「618」の今年の総合売上は、並みいる強豪を抑えPerfect Diaryが1位となった。現地の報道では最近、新たに資金調達をし企業評価額は40億米ドル(約4,160億円)まで上昇しているという。同社にはすでにセコイアなど世界トップランクの投資会社・投資家が出資しているが、今回もウォーバーグ・ピンカスや、カーライルといった名前が並ぶ。早ければ年内に米国市場で上場することになるだろう。

そんなPerfect Diaryを脅かす存在が現れた。浙江宜格企業管理集団が2017年にローンチした「Florasis(花西子)」だ。両ブランドは同じ時期に誕生しているが、Perfect Diaryが大きく話題になった陰で、Florasisは当初はそれほど注目されてはいなかった。しかし、アリババグループ傘下の「Tmall(天猫)」での2019年の売上が15億元(約231億円)を突破し、急速にプレゼンスを高めている。

現地の報道によると、アリババ系プラットフォームでの7月のGMV(流通総額)は前年同月比165.5%の1.94億元(約30億円)で、Perfect Diaryの1.56億元(約24億円)を上回った。扱っているアイテム数はPerfect Diaryの方が圧倒的に多いが、1カ月の販売数が1万個を超えたアイテムの割合は、Perfect Diaryが13%だったのに対し、Florasisは34%を記録した。

Perfect Diaryは1カ月の販売数が1万個を超えたアイテムが28あったが、うち26アイテムの単価が100元(約1,540円)以下で、残りの2アイテムも130元(約2,000円)以下だった。一方、Florasisは1万個を超えた18アイテムのうち10アイテムの単価が100元以下であるものの、8アイテムは139~449元(約2,140〜6,960円)と、Perfect Diaryより圧倒的に高い。Florasisの方が価格帯にバラエティがあり効率的に売上を上げているといえるだろう。

Florasisは “伝統的な中国” のイメージを強調したブランディングが特徴で、広告塔にも “古風” な印象のタレントを起用し、クリエイティブも色使いやモチーフが中国の古典絵画などを連想させる。その一方で、いま中国でもっとも影響力のある男性KOL(キーオピニオンリーダー)李佳琦(Austin)との関係を深めている。

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中国や東洋の古典的イメージを
前面に押し出すFlorasis
出典:Florasis公式サイト

昨年9月には、李を起用して花模様の刻印を施した口紅のプロモーションを展開したほか、今年1月から7月にかけて李はライブコマースで45回もFlorasisの商品を紹介している。1月から2月の旗艦店での売上の4割は、李のライブコマースを経由したものだ。Florasisの特徴でもある、口紅やカラーパウダー部分に花鳥風月を彫り込む、趣向を凝らした商品デザインが注目されがちだが、SNSでは口紅の使用感に対しても「塗ったときに潤いが感じられ、色も暖かみがあって好き」「色落ちがしにくい」など評価は上々だ。

日本とタイでも展開する「VENUS MARBLE」

最近では早い段階で海外を志向し、グローバルブランドになることを意識している新興ブランドも増えている。

米国留学経験のある陳建邑氏が2017年、香港に設立した美国威蔓化粧品がローンチした「VENUS MARBLE」もその1つだ。西洋アートのようなデザインが特徴的で、デザインディレクターの陳羿勲氏はナイキやアディダス、コンバースなど有名ブランドのデザインチームに参加した経歴を持つという。

価格帯は60~160元(約920〜2,460円)と低めな設定ながら高級感を演出。Instagramで背景に大理石柄を敷くことが流行っていたことからヒントを得て、大理石柄のアイシャドウパレットを2017年8月に発売した。これがヒットし、わずか4カ月でGMVは6,000万元(約9億2,000万円)を突破。販売数は1年で140万個に達した。2018年の売上高は2.6億元(約40 億円)を超えた。

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アイシャドウの新シリーズ「エデンの園」
出典:VENUS MARBLE Tmall旗艦店

こうした実績を足がかりに、2019年から日本やタイでも販売を開始。今では海外売上が全体の10%を占めるという。日本ではECだけでなく、@cosme STOREローズマリーの店舗でも販売されている。なかでもアイシャドウパレットは「発色が良すぎてビックリ」「発色がよくラメ感もすごくて個人的にはだいすきです!」などネットでの評価が高い。タイではすでに模造品が出回っており、Facebookの公式アカウントを通じて注意を呼びかけているほどだ。

同社は6月、シリーズAラウンドで約1,000万元(約1億5,000万円)を調達した。今後、中国国外での展開がさらに加速しそうだ。

日本人フォロワーが1.6万を超える「ZEESEA」

ほかにも日本で展開し人気を博す中国新興ブランドがある。杭州莱菲化粧品が2012年にローンチした「ZEESEA(滋色)」だ。ZEESEAは、大英博物館とコラボしたアイシャドウ「不思議の国のアリス」やピカソをモチーフにした口紅など、斬新なコンセプトの商品を次々と発表することで中国国内での話題をさらってきた。手間をかけ創意工夫しているにもかかわらず、価格帯は40~150元(約620〜2,310円)程度で手頃だ。

Tmall旗艦店では、大英博物館とコラボしたパウダー・ファンデーションのシリーズが累計668万個以上も売れている。古代エジプトをイメージした刻印などが特徴的だが、使用感も「パウダーが細かくて色が自然、塗ると肌にフィットする」「肌がものすごくなめらかになる感じがする」など好感されている。

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古代エジプトやピカソを
モチーフにした商品が人気
出典:ZEESEA日本語公式サイト

日本では自社ECサイトを開設しているほか、9月からはPLAZAの全国の店舗で取り扱いを開始。運営しているTwitter公式アカウントの日本語は若干不自然ながらも、フォロワー数が1.6万を超え、一定のファンを獲得しているのがわかる。

Twitterでの日本人ユーザーの感想は「乾けば全然ヨレないシャドウなのでアイラインみたいにも使える」「梱包がすごくキッチリしてるし、鏡に保護フィルム貼ってあるし、成分表示めちゃめちゃ細かい。 中国化粧品の品質もずいぶん変わってきてるんだなぁと感じた」などとおおむね評価は高い。

欧米市場を攻める「MilletPepper」

他方、欧米マーケットを重視するブランドも現れた。美雅化粧品(広州)が2018年にローンチした「MilletPepper」だ。

現地の報道によると、郭亮CEOは2008年、ECの運営を代行する広州百庫電子科技を設立。2014年に同社をロレアルに4億元(約61億6000万円)で売却し、ロレアルEC事業部の副総経理を務めた。その経験をもとにMilletPepperを立ち上げ、TmallJD.com(京東商城)をメインに展開している。

同社は2019年9月に正式に販売を開始すると、大した宣伝広告をしていないにもかかわらず、同年12月には月商100万元(約1,540万円)を突破。その理由の1つは、客単価の高さにある。

次から次へと中国ブランドが誕生する状況をみた郭氏は、価格が全体的に上昇傾向にあると分析し、129~500元(約1,990~7,700円)の中〜高価格帯で勝負することを決断。商品からパッケージデザインに至るまでラグジュアリーを意識するとともに、若者の間で流行っているトレンド要素を積極的に取り入れた。

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Webサイトも
欧米ユーザーを意識した作り
出典: MilletPepper公式サイト

たとえば昨年は、ロックやエレクトロニックミュージックなど、ターゲットとするユーザー層の音楽の嗜好に合わせた化粧品にニーズがあると考え、各音楽ジャンルのイメージに沿ったアイシャドウを発売した。SNSでは「使いやすい機能的なカラーと鮮やかなカラーがあるので、さまざまなシーンに対応でき、無駄な色がない」など実用面への評価が高かった。

海外マーケットにおいては、すでに自社のグローバルECサイトで販売しているほか、報道によると、アマゾンなどのプラットフォームを通じ、25の国と地域で展開しているという。同社は欧州でのマーケティングに力を入れており、イタリア在住の人気美容系インフルエンサーMaipuがYouTubeで商品を紹介したところ、再生回数は2.4万回を超え話題になった。また、スペインの人気インフルエンサーHelen GrubeもYouTubeで商品を紹介し、ECに誘導している。

主導権争いのステージは海外へ

世界的な規模では新型コロナウイルス感染症の収束が未だみえないなか、グローバルブランドが回復基調にある中国市場に攻勢をかけているが、そうしたなかでも中国新興ブランドは遅れをとることなくプレゼンスを高めている。オンラインを主戦場とする新興ブランドにとって、コロナ禍で消費者のEC利用率が増加したことも好調の一因だろう。

とはいえ、中国国内マーケットでの競争は今後、ますます激しくなっていくのは必至だ。新興ブランドが早くから海外を志向するのは、ブランド力を強化するほかに、収益を多角化する狙いもある。

アジアのなかでは韓国のK-Beautyや日本のJ-Beautyのように世界的な知名度がまだなく、海外ではまだニッチな存在である中国コスメにとっては、新興ブランドと老舗ブランドに大きな差はない。つまり、海外市場ではスタートラインが変わらないことも、新興ブランドが出ていきやすい要因だろう。主導権争いのステージは中国国外へ広がろうとしている。

Text: チーム・ロボティア(Team Roboteer)
Top image: Susii via Shutterstock

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