生成AIが飛躍的に変えるバーチャルメイク体験、課題は厳密性の担保【美容業界における生成AIのインパクトを考える(3)】
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テキストや画像、動画の生成AI(Generative AI)は、日本政府のAI戦略会議で「産業革命やインターネット革命よりずっと大きなものになる」と分析されるほどの社会へのインパクトが想定されている。美容業界のビジネスパーソンとしてどのような展望を描けばよいのか、イノベーション・AI関連分野に知見をもつ識者に、「生成AIがもたらすインパクトとすぐそこにある近未来の社会」についての洞察を聞くインタビューをシリーズで掲載する。第3回は、AIを活用しブランド向けにARバーチャルメイクをはじめとしたプラットフォームを展開する、パーフェクト株式会社 代表取締役社長 磯崎順信氏だ。
よりリアルに近いARトライオン体験が、画像生成AIで実現
「美容&ファッションのバーチャルトライという観点から考えると、画像生成AIが一番得意な部分は、これまで我々がずっと追求してきている“より本物に近いもの”を創りだすことといえる」と磯崎氏は話し、パーフェクトが生成AI技術を取り入れ、より自然な表現で幅広いスタイルバリエーションに対応できる自社AIの開発を進行中だと明かす。
2014年に「YouCamメイク」をリリースしているパーフェクトでは、早い段階から、AIベースでユーザーの顔を認識して、目や唇など各パーツの上にメイクを施したり、髪色を変える、メガネやアクセサリーをのせるなど、実際に装着したときにどのような感じに見えるのかをデジタルで表現する各種サービスを提供してきた。
今、同社が実用化を目指して開発している生成AIベースの技術の一例では、試してみたい髪型をユーザーの顔にフィットさせるにあたり、ただその髪型を顔にはめ込むのではなく、ユーザー自身の髪質や髪色を考慮して、現実世界でヘアスタイリングをしたらどのようなルックスになるのか、限りなくリアルに近いトライオンを実現する技術がある。たとえば“80年代カントリーロック風”のボリューム感のあるカーリーヘアなど、何パターンかのスタイルをあらかじめ作っておき、ユーザーが好みのものを選択して試すのだが、同じ髪型でも、各自の髪の特徴によって少しずつ見え方が変わってくる。それをどのくらい自然な見ために表現するかがポイントとなる。
そのほかにも、タキシード姿のモデルの半身画像をもとに、別のユーザーの全身画像にタキシードを着せるのはもちろん、オリジナルのモデル画像には写っていない靴もタキシードに合うタイプの靴に着せ替えてくれる技術や、室内で椅子に座っているユーザーの画像をもとに、ユーザーの顔とポーズだけはそのままに、背景から髪型、服装、メイク、色調や明度まで、まるごと変更した画像の生成技術も検討中だという。
「これまでは、たとえば、ヘアスタイルのトライオンをリリースして実際にユーザーに使用してもらうまでに、ヘアスタイル一つひとつをAIに認識させて機械学習させる必要があり、実は結構な時間がかかっていた。それが、画像生成AIがどんどん出てきて、その時間が大幅に短縮され、開発プロセスが非常に効率化した。それは、いちいち教師データを与えなくても、生成AIが世の中にあるヘアスタイルの膨大な情報をもとに、プロンプトに適合する画像を自分で学習して自動で作ってくれるからだ」(磯崎氏)
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