新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。またコロナワクチンに関する情報は首相官邸のウェブサイトをご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
見出し画像

J-Beautyを世界へ。大手OEMトキワの成長戦略と2回目のアクセラプログラムの意味

◆ New English article
◆ 新着記事をお届けします。以下のリンクからご登録ください。
Facebookページメルマガ(隔週火曜日配信)
LINE:https://line.me/R/ti/p/%40sqf5598o

カラーコスメ製造で国内大手企業のひとつ、株式会社トキワが2020年に続き第2弾となる第2回アクセラレータープログラム「TOKIWA Lab.」をスタートする。大きなテーマはJ-Beautyを世界へ広める共創パートナーの募集だ。パンデミックによりカラーコスメを取り巻く環境は激変し、トキワ自体の長期的な事業再編の視点もその背景にある。

長期的かつサステナブルな事業計画の再編を実施

2020年はCOVID-19感染拡大の影響で、OEM企業も打撃を受けた。巣ごもり美容の需要増加で、スキンケア、ボディケア、ヘアケアを手掛けるOEM企業は好調だったが、プレステージのカラーコスメの製造に強みをもつトキワは、新製品企画がペンディングや中止になるなど影響範囲が大きかったという。そういった状況のなかで「数年先を見据えた長期的な事業計画の再編や体力回復のためのコスト見直しを、全社をあげて取り組んだ」と同社 COO 金井博之氏は語る。

「プレステージやマステージ*ごとに品質管理基準の見直しを行ったほか、容器についても、毎回新しく金型を起こすのではなく顧客のニーズに合致した候補をある程度絞り、部品数の平準化を行い加飾で差別化することでコスト削減やリードタイム短縮に繋がる提案を行えるようにした。また、サプライヤーの皆様とも数年先を見据えた戦略的なコスト削減についてディスカッションや提案ができるように、社内に構造改革本部を設け、戦略的な購買を実現する体制への移行を進めた」(金井氏)

* マスとプレステージを組み合わせた造語で、プレステージ商品をマス化粧品のように、セルフで販売する売り方のこと(出典:MD NEXT

こうした事業再編の背景には、近年勢いを増す中国や韓国のOEM企業の台頭もある。「OEM企業もソリューションプロバイダーになっていかないとグローバルでは勝負できない時代に突入している。同時に国内では、スタートアップ企業への認知拡大を強化し、OEM企業としてのプレゼンスを高めていく必要がある」と金井氏はいう。

その取組みのひとつが、2020年12月にローンチしたOEMプラットフォーム「COSMAKE」で、登録会員数も堅調に推移しているという。COSMAKEは、トキワがこれまで得た知見やノウハウを集積し、カラーコスメ製造のプロセスをシンプル、かつシステム化させたサービスで、Webサイト上でわずか7ステップで自社製品をつくることができる。しかも、1アイテム500個からという小ロットで注文でき、ブランドロゴデザイン提出後、最短30日で商品が完成する。

2021年7月には、小ロット生産専用のAPD Lab.を埼玉県川口市に設立し、そこで得たノウハウを蓄積し、既存の量産工場にも活かしていくという。将来的には、スタートアップだけでなく、大手企業も利用できるサービスへとブラッシュアップしていきたい考えだ。

「たとえば、人気カラーは通常のロット数で生産し、新色やアソートカラー、テスト販売製品は小ロットでアジャイル生産するというように組み合わせることで、需要予測に即した製品供給が可能になり、結果として、在庫管理や廃棄のコストを抑えることができる」と金井氏はそのメリットを説明する。

画像1

7月から稼働するAPD Lab.

スタートアップから大企業まで、化粧品づくりのパートナーとして伴走しグローバル市場進出の後押しをする。オートメーション化で大量生産というこれまでの化粧品づくりの考え方を変え、サステナブルなものづくりで事業成長戦略を描くトキワにとって、その方針のもとJ-Beautyを世界に広めていくミッションが長期事業計画の大きな柱でもある。

そのなかで、もうひとつの重要な取り組みがOEM企業としては珍しいアクセラレータープログラムの開催だ。

トキワのアクセラプログラムは「共創」が大きなテーマ

2020年に開催された第1回アクセラレータープログラム「TOKIWA Lab.」は、「初回は応募が20社あれば大成功」の予想を大幅に超える46社からの応募があり、十分な手応えを感じる結果になったという。

同プログラムを担当する 同社 センターオブイノベーション部 尾中朋麿氏は、「OEM会社はこれまで表舞台に出ることがなく、認知や信頼感といったものがほとんどない状態でのスタートということもあり、プログラムの意図を正確に理解してもらい、応募につなげていく作業が非常に難しかった。共創パートナーとしての信用、信頼を獲得するために、プログラムの制度設計、運営には細部まで注意を払った」と振り返る。

画像2

株式会社トキワ
センターオブイノベーション部
尾中朋麿氏

尾中氏によれば、「TOKIWA Lab.」はトキワならではの4つの特徴があるという。

「1つ目が、主催者である我々と応募者の方々がフラットな関係で事業化を目指せる『共創プログラム』であること。そして、2つ目が多様なバックグラウンドを持つ審査員7名による、化粧品製造からマーケティングまで多岐にわたったアドバイスを受けることができる点だ。3つ目が、トキワの強みを生かしたOEM企業としての支援だ。採択企業には、最大1社1,000万円相当の製品を無償で生産する。浮いた資金をマーケティング施策に回して、ビジネス初期のキャッシュフローを改善できる。そして4つ目が、グローバルで活躍する大手メーカーへの製品提供技術と、200以上の特許を持つトキワのリソースをフル活用できるところだ」(尾中氏)

第1回の応募企業46社のなかには、パーソナライズコスメやサステナビリティを意識した事業プランなど、時代を反映した企画が目立ち、また異業種から化粧品業界へ参入を目指す企業も多かったことから、化粧品業界の市場活性化の可能性を感じたという。採択した3社には、トキワの担当コーディネーター1名と開発メンバーを複数名アサインして、製品開発を進めている。

2020年の採択企業3社への支援も継続中

無痛で中空部分から薬剤の注入が可能な「微小中空型マイクロニードル」の開発を進めるシンクランド株式会社は、毛髪に関する総合サービスを提供する株式会社アートネイチャーや、プロポーションづくりの総合コンサルティング企業として全国に約750サロンを展開する株式会社ダイアナからの資金調達を実施。化粧品向けにマイクロニードルの商品改良を進めながら、ユニークかつ効果性のある新たな顧客価値創造を目指して、頭皮ケア、エステなどのBtoBモデルも含めた包括的なビジネスモデルの検討を進めている。

人、社会、地球が抱える7つの課題解決を目指して7つのフリーをうたい、ベースメイク、アイブロウ、アイシャドウ、チーク、リップ、ハイライトが1本で完結するオールインワンカラーコスメを考案した株式会社メディアジーンは、ターゲットとなる消費者インタビューを実施し、具体的な商品計画に移行している。近日中に、研究開発担当者と処方や容器の打ち合わせを行うことになっており、早ければ年内、遅くとも来春までには商品化を目指す。

打ち合わせ風景

埼玉県川口市にある研究開発拠点
(グローバルテクノロジーセンター)
での製品開発ミーティング風景

皮膚常在菌叢解析にもとづくパーソナライズドスキンケアサービスの事業化をすすめる株式会社UBLOME(ユーブローム)は、代表の東京理科大学薬学部3年生の柴田未央氏が、学業と両立しながら資金調達の準備を進めている。並行して、皮膚常在菌検査の内容や、適切な化粧品選び、ケアのアドバイスをおこなうためのサービス設計を、研究室のバックアップを受けながら進めている段階だ。

情報発信やPRをさらに強化。アイディアだけでも応募が可能なプログラム

そして、昨年に引き続き開催される第2回アクセラレータープログラム「TOKIWA Lab.」のテーマは、「∞infinity 『美しさ』に、ゴールも限界もない」である。このアクセラレータープログラムの情報発信やPRを担当するインターンによって考案され、最終的に決定した。

画像4

出典:トキワ プレスリリース

「2020~2021年はパンデミックの影響で、資金調達や人材確保、流通網の整備などに大きな影響が出て、異業種やスタートアップが化粧品業界に新規参入するハードルがさらに上がったが、カラーコスメ受託製造国内シェアNo.1のトキワが、その限界をとり払うためのサポートができるという発信をしたかった。また、時代にあった美の多様性を認め、単一的な美の価値規範に従う必要はないという意味で『ゴールの設定をやめよう』という思いを伝えたかった」とインターンの平内茉莉氏はその背景を語る。

今回は、オープンイノベーションプラットフォーム「Creww」やFacebookTwitterなどのSNSに加えて、公式LINEnoteを立ち上げて情報発信を強化した。募集締め切りまでに、昨年の採択者や審査員をゲストに招いたWebinar開催も予定している(2021年7月9日、26日開催予定)。最終的な採択企業は10月下旬に発表となる予定だ。

「いま事業化していなくても、アイディアだけでも応募できるのがこのアクセラプログラムの特徴だ。自分のアイディアがどこまで通用するか、これでよいのか、と迷う方も多いかもしれないが、不明な点は公式LINEで質問もできるのでどんどん活用して、チャレンジの一步を踏み出してみて欲しい」(インターン・水野清香氏)

画像5

提供:トキワ プレスリリース

昨年に引き続き、トキワは新たにチャレンジする人の縁の下の力持ちとして支えていきたい、と尾中氏はいう。「社会と消費者、従業員を含めたステークホルダーが幸せになる事業モデルと情熱を持った企業からの応募に期待している」

Text: 小野梨奈(Lina Ono)
Top image: Gligoric via shutterstock
画像提供: トキワ

ありがとうございます!LINE@で更新情報配信中です。ぜひご登録を!
美容業界の国内外のイノベーションを発信するメディア。2021年7月19日より月・水・金の週3回配信となり、9月1日にリニューアルを予定しております。詳しくは → https://goo.gl/7cDpmf