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資生堂が買収した「ドクター デニス グロス スキンケア」、その革新的な処方を体験レビュー

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買収により資生堂の傘下に入った2000年設立の米ドクターズコスメ「ドクター デニス グロス スキンケア(Dr. Dennis Gross Skincare)」は、皮膚科医が開発した「毎日行うピーリング」という画期的な処方で注目を集め、米国の幅広い年齢層のユーザーから高い支持を集める。代表的な商品を実際に使用してみたレビューとともに、同ブランド誕生の背景、さらに今回の買収を通じた資生堂のねらいを、美容コーディネーターの弓気田みずほ氏がひも解く。


皮膚科医による革新的なピーリング処方で名高いドクター デニス グロス スキンケア

資生堂は2023年12月、米ニューヨーク発のプレステージスキンケアブランドの「ドクターデニス グロス スキンケア」を手掛けるDDSスキンケアホールディングスを買収すると発表した。買収金額は4億5,000万ドル(約676億円)とされる。資生堂は、ドクターデニス グロス スキンケアが既存のポートフォリオを強く補完するとともに、自社の強みとの相乗効果を生み出せるブランドと位置づける。あわせて「皮膚科医などの専門家が開発に関わっている、または監修した化粧品」、いわゆるドクターズコスメの市場は世界で大きな成長が期待されるとして、北米をはじめ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアでもドクター デニス グロス スキンケアの販売網を拡大するとしている。

ドクター デニス グロス スキンケアは2000年、皮膚科医であるデニス・グロス博士と妻のキャリー・グロス氏が「健康的な肌を実現し、全世界の全ての人々の生活に変化をもたらすこと」をミッションとしてスタートした。当初はエステティックサロンを中心に、トリートメントを受けた顧客のホームケアとして販売を行っていたが、現在では、セフォラのほか、ノードストローム(Nordstrom)、コールズ(Kohl’s)などの大型販売店でも取り扱われ、全米で1,000を超える拠点で展開されている。商品価格は、詳細は後述するシグネチャー商品の「アルファ ベータ デイリーピール(Alpha Beta® Daily Peels)」30枚入りが92ドル(約1万3,800円)、また、美容液「ダームインフュージョン フィル+リペアセラム(DermInfusions™ Fill + Repair Serum)」が75ドル(約1万1,250円)と高価格帯に位置する。

デニス・グロス博士は、皮膚がんの研究者を経て、90年代にニューヨークのフィフス・アべニューでクリニックを開業。アンチエイジング治療を提供していたが、当時の施術は強いピーリングやレーザーが中心で、患者には2~3週間のダウンタイムが必要とされていた。こうしたことから、グロス博士は複数の酸を組み合わせることで、肌を傷つけることなく効果的なピーリングができないかと考え、5年近くにわたり製品化に取り組んだ末にブランドを誕生させた。

白人の皮膚はアジア人などに比べて角層が厚い構造で、欧米などの乾燥した気候ではシワが刻まれやすい傾向にあるとされる。また、肌のごわつきや不均一感、ニキビの悩みが多いのも、角層が厚く古い角質が残りやすいことから起こるものと考えられている。スキンケアのルーティンも日本とはかなり異なり、複数のスキンケアアイテムを重ねて使うより、保湿クリームだけで肌を保護するという考え方が強いという。日本では多くの人が保湿目的で化粧水を使うが、欧米には「保湿化粧水」という概念があまりないことは、美容のエキスパートの間ではよく知られている。

こうした欧米特有のスキンケア事情において、すばやく高い効果を感じられる施術としてポピュラーになったのがケミカルピーリングだ。ダウンタイムのリスクなく、自宅で毎日のルーティンとしてピーリングを行うという、ドクター デニス グロス スキンケアの画期的な提案は驚きをもって迎えられ、その実効性でも高く評価された。

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