美容サロンを逆転の発想で誰もが幸せになる。創業者たちの描くエコシステム
◆ English version: BeautyTech MeetUp Tokyo: The rise of savvy salons
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サンフランシスコ発の美容スタートアップと投資家をつなぐコミュニティ、BeautyTech MeetUp SFの一員であるTokyo支部が、2018年11月30日に開催した第2回ミートアップ・イベント。前編に続き後編は、美容サロンのビジネスモデルの転換を推進するスタートアップ3社が登壇したパネルディスカッション#3「サロンとユーザーに新視点を提供する」を紹介する。
サロンビジネスの概念を覆す発想
モデレーターのベンチャーキャピタリスト東明宏氏が指摘するように、美容室などのサロン予約といえばリクルートの「ホットペッパービューティ」一強の美容業界。そのなかで、サロンの空き状況ではなく、顧客サイドの都合や要望を優先する、全く逆の発想のサロン予約アプリで業績を伸ばしているのがリクポだ。代表取締役社長の木崎智之氏は、その仕組みを同サービスのキャッチフレーズ「自分が主役の“わがまま予約”」という言葉で表現する。
ベンチャーキャピタリスト 東明宏氏
リクポでは、顧客が希望する日時やメニュー、エリア、金額などをリクエストすると、複数の美容師から提案が送られてくるので、気に入ったものを選ぶだけで予約が完了する。提案を待つだけで検索の手間がいらない。ユーザーには、いくつものオファーという選択権が楽しめて、美容師が自分を奪い合うというプライドをくすぐられる体験を与え、サロン側では見込み客を獲得し、“提案アプローチ”という形の予約の空き時間を埋める積極的な手段が得られる。
リクポ 木崎智之氏
「自分自身は検索するのが当たり前のようになっているが、リクポの利用者は違うのか」と東氏が問いかけた。これに対し木崎氏は、リクポのメインの利用者層である10代後半から20代前半の女性の間では、予約サービスで検索をせず、Instagramで好みのヘアスタイルを見つけて、その投稿をしている美容師に直接DM(ダイレクトメッセージ)で予約するユーザーも増えてきているとする。その意味で、リクポの自分好みのリクエストをし美容師から提案をもらうスタイルは、ユーザーがSNSで投稿をしてリアクションをもらうのと等しい感覚でできるだろう。
木崎氏はさらに「ユーザーの承認欲求を予約体験に落としこむことで、一般的には面倒と思われている予約作業を、エンターテイメントにした」と説明する。加えてそこには、音声コマンドに従いAIが作業を代行するスマートスピーカーと同じ、「お願いしてやってもらうコミュニケーション」の一種が生まれていると分析する。Z世代の心をつかんだリクポ の成功の秘密の一端は、この新しいコミュニケーションの形を示した点にあるようだ。
リクポがユーザーファーストなら、いわば、美容師ファーストのサービスと呼べるのが、フリーランスの美容師のための個室シェアサロンを展開するGO TODAY SHAiRE SALONである。
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