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生理用品に不満足は44%、フェムテックイベントで浮かぶ若い世代のインサイト

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2019年10月9日、BeautyTech.jpがBuzzFeed Japanとの共催で、女性の身体について、生理からフェムテック(FemTech)まで、登壇者がざっくばらんに語り、参加者とも交流するイベントを開催した。会場には大学生や20代30代の女性、フェムテック起業家などが参加。当日の様子やアンケートから見える彼女たちのインサイトを探る。

イベントタイトルは「からだのことを知れば、もっとわたしが自由になる 〜フェムテックがもたらす新しい発想〜」で、2019年3月に実施したフェムテック記事キャンペーンに続くコラボ企画第二弾のイベントとしてに、約70名の参加者が集まった。

イベント第1部では、BuzzFeed Japan ニュース編集長 小林明子氏とBeautyTech.jp編集長 矢野貴久子が登場。小林氏は、「女性特有の問題をテクノロジーの力で解決するフェムテックという領域があると聞いたとき、とても興味をもった。体のことに限らずとも、たとえば『家事で食洗機を使うのは甘えだ』とか『出産は陣痛を経験して産むべきだ』というように、日本では女性が最新の技術に頼ることを“悪”とされる風潮がある。今まで仕方がないと思っていたものが、テクノロジーやアウトソーシングによって解決できることを多くの人に知ってもらいたい」と話し、矢野からはBeautyTech.jpでの過去記事をもとにフェムテックの解説や海外市場での広がりなどが語られた。

続く第2部では、Instagramなどでマルチな表現活動が注目されているフリーランサー はましゃか氏と、生理にまつわるメディアコマース「ランドリーボックス」を運営するランドリーボックス株式会社 代表取締役CEO 西本美沙氏が加わり、「生理」「妊活」「セクシャルウェルネス」の3つのテーマについて活発な意見交換が行われた。

10月11日の国際ガールズ・デーにちなんだイベントということもあり、参加者は若い世代が多く、BeautyTech.jpでは当日、来場者に対してアンケート調査を実施した。日本で着実にムーブメントになりつつあるフェムテックにいち早く関心を示しているのはどのような人々なのか、調査結果にもとづき紐解いていく。

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BuzzFeed Japan ニュース編集長
小林明子氏(左)
BeautyTech.jp編集長 矢野貴久子(右)

ビューティテック度が高い人は、ウィメンズヘルスケアの関心も高い

BeautyTech.jp編集部は2018年秋、「生活者はどのくらいBeautyTechを利用しているのか」、「利用レベルの各段階でどのような考え方をしているのか」の実態を知るために、ユーザーの美容度とテック度を数値化し、ビューティテック度(以下BT度)という指標を作成し、@cosmeメンバー9,176 名を対象に行った調査結果を発表している(2019年度版も年内発表予定)。

※BT度は、ビューティ・テクノロジーに対する設問を各7問用意し、それぞれの設問のスコアから算出する。ビューティ度 Low(7~24点)、Mid(25~31点)、High(32~35点)、テック度 Low(7~15点)、Mid (16~25点)、High(26~35点、うちSuper High(32~35点))とし、この2つをかけ合わせて、以下のようにBT度とした。

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BT度を測る質問項目を今回のイベント参加者にも回答してもらったところ、ビューティ度とテック度がどちらも高い人(HH)は17%だった(有効回答数52名)。

昨年の結果では、HHは全体の約7%だったことと比較すると、フェムテックに関心を持つ人たちは、BT度が高い傾向があるといえよう。BeautyTech度調査2018によると、BT度が高い人はBeautyTechアプリの認知や使用率が高く、他の人からビューティ商品やサービスに関する相談を多く受けるクチコミの発信源ともなる人たちが多いことがわかっている。

次に、関心のあるビューティテックやフェムテックにまつわるキーワードについて聞いたところ、「肌診断」が1位、続いて、「フェミニン(デリケートゾーン)ケア」「生理トラッキングアプリ」だった。見た目の印象を左右するヘアケアやボディサイズ計測、ネイルプリンターではなく、ウィメンズヘルスケアにもつながるフェミニンケアへの関心の方が高いという結果になった。これらはイベントの主旨からして自然な流れであるが、そのなかにおいても肌診断への人気の高さがうかがえる。

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グラフ:関心あるキーワードに
ついてのアンケート(複数回答)

また、今回のイベントへの参加動機を聞いたところ、「今回のイベントのような情報をまさに発信したいと思っている」「女性の性を生きやすくしたい」「ウィメンズヘルスケアに関心があり、大学でジェンダー、セクシャリティ研究を学んでいて、その観点からもとても興味があった」「女性の月経に関するサービスを構想しており、サービスの参考、ネットワーキングの機会にするため」など、ウィメンズヘルスケアの研究をしている学生や、フェムテック関連事業の立ち上げに関心があり、具体的なアクションを起こしたいと考えている積極的な参加者が多かったのも特徴としてあげられる。

女性の44%が生理用品に満足していないという事実

第2部は「生理」をテーマにしたディスカッションからスタートした。冒頭で、イベントに先駆けてBuzzFeed Japan上で実施したアンケート結果がスライドで紹介され、現在使用している生理用品に「満足していない」と答えた人が44%もいることがわかった。この結果には、「日本の紙ナプキンは海外製よりも品質がよいといわれているのにもかかわらず、とても意外だ」という声があがった。

会場で休憩時間に流れていたBuzzFeed Japan制作の動画コンテンツ『あなたはナプキン派? タンポン派』では、「タンポンは一回も使ったことがない」「タンポンは出産経験がある人が使うものと思っていた」というエピソードが紹介されている。参加者のアンケートの中でも、「タンポンは、プールのときしか使わないと思っていた」といった回答もあり、不満足ながらもナプキン以外の生理用品を使用している人は少なく、かつタンポンの正しい使い方があまり知られていないことも浮き彫りになった。

フリーランサーのはましゃか氏も
登場するYouTube動画

国内外の生理用品に詳しい西本氏は「日本は紙ナプキンが非常に進化しているが、海外では月経カップや布ナプキン、吸水型サニタリーショーツなど、紙ナプキン以外の生理用品の選択肢が多い。生理用品を変えるときは、すべてを変えなければいけないと考えがちだが、それぞれの良さがあるので、1日のスケジュールや体調にあわせて組み合わせて使うのをおすすめしたい」と話した。

また矢野からは、米国の吸水型サニタリーショーツブランド「THINX」がトランスジェンダーの男性も違和感なく使える観点から開発されたというエピソードも紹介され、そうした視点に共感する感想がアンケートで多かったのも、多様性を重視するミレニアル・Z世代特有といえよう。

会場には、ランドリーボックスで取り扱っている月経カップや吸水型サニタリーショーツ、セックストイなどの展示コーナーもあり、パネルディスカッションがブレイクの際にはたくさんの人が集まり、実際に手にとって見る姿が多く見られ、「月経カップに初めて触りました!」という声があちこちで聞かれた。

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会場のテラスに設置された展示コーナー

また、議論は生理用ナプキンのCMにまで及んだ。「経血がブルーのさらさらの液体で表現されていて、女性は生理になると青いものが出てくると誤解している子どももいる」というエピソードに会場がどよめいたほか、はましゃか氏は、「(生理用品のCMには)野原で快適にバレエを踊っているようなさわやかなイメージのものが多いが、実際は生理痛でお腹は痛いし体も辛いし、イメージとは大きく異なる。このような偏った情報発信により、生理の実態が世間に正しく知られていないのではないか」と指摘した。

人生の選択肢を広げるフェムテックの活用方法

続いて、「妊活」のテーマでは、妊活を「産みたいと思ったときに産める体づくりをしておくこと」と定義し、早めにかかりつけ婦人科を持つことの重要性や、自分で妊娠リスクをコントロールし、女性のQOL向上、そして人生の選択肢を広げるツールとして、低用量ピルやIUS(子宮内避妊器具)、卵子凍結を選択することが話題になった。矢野は、「最近は、卵子凍結を企業向けに福利厚生サービスとして提供する企業も出てきている。また、テクノロジーはツールとして、悩みを可視化したり、悩みと解決法をマッチングしたり、効率化したりしてくれるもの。それにより、コミュニケーションが深まり、人のつながりが増えていく」と話した。

イベント後のアンケートは、約88%の参加者が「とても満足」「満足」と回答しており、その理由として、はましゃか氏の歯に衣を着せないセクシャルウェルネストークをあげる人が多く、「普段、人とは話せない性に関する深い話を聞くことができた」「誰もがもっている女性の悩みに共感でき、新しい知識が増えたので、大変勉強になった」「性のことを安心して話せる雰囲気がよかった」という意見が多く寄せられた。

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ランドリーボックス株式会社
代表取締役CEO 西本美沙氏(左)と
BeautyTech.jp編集長 矢野貴久子(右)

セクシャルウェルネスに関しては、生理のこと以上に他人とオープンに話しづらいトピックだが、西本氏は「性欲があるのは普通のこと。最近は、女性目線でデザインされたおしゃれなセックストイやセルフプレジャーアイテムが登場している」と話す。TENGAが展開する女性向けセルフプレジャーアイテムブランド「iroha(イロハ)」が、11月に大丸梅田店に初の常設店をオープンするなど、実際に手にとって購入できる場所も増えてきている。

社会ではタブー視されがちな女性の性について、もっとオープンに話したいという潜在的なニーズがあり、アンケートでも「フェムテックを通して、自分の性事情に上手に向き合っていきたいと感じた」「性についてオープンに話すことで、自分のフツウと他人のフツウに気づけて興味深かった」という意見が目立った。

女性一人ひとりの意識改革が、市場成長のカギ

最後に、フェムテック市場の可能性について議論が展開された。「日本でフェムテック市場がさらに盛り上がっていくためには、一人ひとりの意識改革が必要だ。生理は恥ずかしいことではない、自分の性欲と向き合いセックストイを使うのはかっこいい、と女性自身が自己肯定して意識を変えていくこと、そして男性側も女性への先入観をなくして、お互いにリスペクトすることが大事」と西本氏は語る。

矢野は「フェムテックは女性だけでなく、社会の課題を解決するもの。社会性不妊の問題についても、たとえば、低用量ピルで排卵をコントロールしたり、卵子凍結を試みるときに、テクノロジーが大きな助けになる側面がある。女性が働きたいときに仕事ができれば、経済への効果も高いはずだ。海外では、フェムテック系のサービスに保険が適用される国もあるが、日本は、低用量ピルの認可ひとつをとっても海外と比較して時間がかかりすぎるなど、女性活躍と声高にうたいながら非常に遅れている。美容企業もフェムテックに注目してもらいたいと思うし、女性側としては、もっとルールメーカーになっていかなくては社会はなかなか変わらない」として、イベントを締めくくった。

アンケートでは、妊活の意味の捉え直しや、社会性不妊をもっと考えてみたいという新たな気づきについての回答も多くみられた。同時に、こんなふうにオープンに話せる場がもっとほしいという声も多く、彼女たちのニーズを深く掘り下げれば、課題解決型のビジネスの余地はまだまだあると感じさせた。

当日の様子をレポートしたBuzzFeedの記事はこちらから。

Text: 小野梨奈 (Lina Ono)

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