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「Lovense」が日本上陸、遠隔セクシャルコミュニケーションがもたらす人の幸福感

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女性にとっても心身の健やかさに欠かせない領域として成長を続けるセクシャルウエルネス市場。コロナ禍においてはとくに、人との非接触を保ちながらも、テクノロジーによる「セックステック」が躍進した。2021年のCESでも複数のセックステック企業が出展。日本にも、欧米で知名度の高いセックステックブランド「Lovense」が本格参入した。世界、そして日本のセクシャルウエルネス市場を俯瞰しつつ、進出の背景をさぐる。

CES出展も可能に。欧米のセックステックは表舞台へ

まずは、世界最大級のテクノロジーショー「CES」におけるセクシャルウエルネス領域と、その市場について解説したい。2019年に、ヘルス&ウエルネス展示カテゴリーに、正式にセックステックを含むという決定がなされている。その決定を推進したのは、バイブレーター商品でCES革新賞を受賞したにも関わらず、後日取り消しと出展禁止を通達された米国のセックステック企業「Lora DiCarlo」からあがったジェンダーバイアスへの抗議と、それをサポートする消費者の声だ。

以前は、性行為、性的嗜好に関わる発言が表舞台のスポットライトにあたることをタブー視する地域や国が多かった。しかし近年、国連の世界保健機構(WHO)が、すべての人は「性と生殖に関する健康と権利(SRH)」を有するとし、性の喜びがウエルビーイングの一要素であることが認識され、セクシャルウエルネスをより肯定的に受け入れていくべきだとする風潮がとくに欧米で強くなってきている。CESもこの一連の出来事ののちに、セックステック企業の出展を正式に認め、セクシャルウエルネスは表舞台で注目されるようになった。

たとえば、Lora DiCarloは、2021年のCESでも新しい3種類の生物模倣とロボティクスを応用したバイブレーターを発表。 また、女性起業家によるセクシャルウエルネス企業「Lioness」は、ユーザーのオーガズムをデータとして可視化する世界初のスマートバイブレーターとリサーチプラットフォームを提案した。

そして、リモート環境でもパートナーとともにセクシャルコミュニケーションを楽しめる「Satisfyer」のアプリと連動するバイブレーター「Love Triangle」は、ソフトウェア&モバイルアプリ部門とヘルス&ウエルネス部門で革新賞をW受賞した。

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CES2021でイノベーションアワードを
受賞したSatisfyer
出典:CES2021

Lovenseが提供する遠隔セクシャルコミュニケーション

このように、欧米では5年ほど前から遠隔でセクシャルコミュニケーションを楽しむセックステックのメーカーが続々と登場しているが、コロナ禍でその流れが加速しているようだ。フランス・パリにある性玩具販売チェーンでは、バレンタイン商戦に向けて売上が前月比68%増だったというニュースもある。

2020年度のCESで注目を浴びた「Lovense」も、そういった潮流を牽引するブランドの1つであり、満を持して日本上陸を果たした。2011年に香港で創業し、現在はシンガポールに本社を構え、既に世界50カ国で展開するセックステック企業だ。

創業のきっかけは、創業CEOのダン・リュー(Dan Liu)氏が遠距離恋愛中にパートナーと触れあえず、苦しかったという実体験である。エンジニアとしての知識を活かして、IoT技術による「離れた場所にいる者同士でも遠隔操作で一緒に使えること」と、「実際に触れる肌感」にこだわり、いくつもの製品を開発してきた。たとえば「Nora2」や「Lush2」、「Max2」をはじめとするLovenseの製品は、アプリの連携によってお互いのバイブレーターの動きが連動し、遠距離でセックスを楽しめるものだ。

この「遠隔でもリアルに近いセクシャルコミュニケーションを得たい」という需要が、感染防止のため非接触が求められるコロナ禍で急増するのは自然な流れで、実際に同社の2020年4月の売上は前年同月比で250%増加。それ以降、2021年2月現在まで、毎月100%以上の成長を続けているという。

この成長を支えているのは、遠隔操作で恋人同士が使うのはもちろん、特定のパートナーがいなくても、だれかと遠隔でつながりながらセルフプレジャーを楽しむツールにもなる点だ。

新型コロナウイルスの感染が拡大する2020年4月、「みんなで一緒にバイブレーションしよう!」という呼びかけのもと、ウエルネス向上を目的に開催されたオンラインイベント「Lovense Orgy」には、世界各国から2万人を超える Lovenseユーザーが参加。参加登録したユーザーが Lovense 製品を専用アプリに接続すると、24時間限定で#LovenseOrgyもしくは#LovenseのハッシュタグをつけたTwitter上の投稿に合わせて、参加者全員の製品が自動的に振動する仕組みで、参加者は世界中の人と一緒にセルフプレジャーを堪能したという。

この事例から、コロナ禍の不安はもちろん、孤立化が進む現代社会において、多くの人が非接触でも人間同士のつながりを求めているというインサイトがみえてくる。

欧米での成功と日本の現状

Lovenseが、香港創業の企業でありながら、中国、日本などアジアではなく、まず欧米市場を先に開拓したのは、グローバルブランドをつくるという目標達成のためには、すでにセクシャルウエルネスに理解が深い欧米から攻めるのが効果的だという判断からだ。

欧米では既に100万人以上がLovenseを愛用しており、その成功を後押ししたのは、アダルトライブチャットでの「Lush2」をはじめとする商品使用だ。

セックステックの最も大きな市場である北米のアダルトライブチャットでは、「カムガール」と呼ばれるプロのパフォーマーが活躍している。インフルエンサーであるパフォーマーの多くが表現手段としてLovenseの商品を採用しているのは、Lush2であれば、視聴者がチップを払うことで、その金額に合わせてパフォーマーの使用するLush2のバイブレーションをコントロールするといったライブインタラクションが可能だからだ。そして、パフォーマーが実際に使用するのをみせることで、それを見た視聴者の購入が促進され、市場拡大につながってきたという。

また、パフォーマー側からは、アプリの操作性やバッテリー寿命、モーターの強度、接続性、大きさ、形などについてさまざまなフィードバックが寄せられるという。Lovenseは社員の半数がエンジニアであり、自社工場も持っていることから、パフォーマーから寄せられた要望は即座に吸い上げられ、短期間で機能や性能の改善が可能だ。

一方、日本では、欧米に比べて法規制が厳しく、インターネット上で局部をモザイクなしに露出することが禁止されているため、欧米のライブチャットのように商品を使用する様子を見せられるプラットフォームが存在しない。

そのため、日本の市場開拓は、まず生身の人間ではなく、VチューバーによるCGモデルに、アダルトライブチャットでLovenseの商品を使ってもらうことから開始した。この形であれば、モザイクの問題はない。「VチューバーたちはITリテラシーが高い人が多く、無料公開しているAPIから新しい楽しみ方を自由に開拓している。開発側にとっても、的確なフィードバックを得られるメリットがある」と、Lovense日本市場マーケティングマネージャー 久幾田真紀氏は話す。

2021年1月には、国内ライブプラットフォームで、Vチューバーによる国内初の投げ銭(チップ)とLush2のバイブレーションを連動させたライブチャットが試験的に実施された。1時間で11万円の売上を計上したVチューバーがいたことからも、久幾田氏は今後の市場開拓に向けた手応えを感じている。

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Lovense日本市場
マーケティングマネージャー
久幾田真紀氏

顧客ニーズを反映した商品づくり

また、日本では家が狭い、子どもや親など同居者がいるといった環境から、なかなか製品を使用できないという事情もあるが、こうした消費者ニーズを反映した商品開発も行われている。

例えば、「Lush」と並ぶ日本市場での注力製品「Ferri」は、強力なマグネットキャップによって下着に装着できる新しい小型バイブレーターだ。軽量で音も静かなため、誰にも知られることなく、例えば家事をしながらや外出中でも楽しむことができるという。また、局部を露出することに規制のある日本のライブチャットでも、下着にしのばせるかたちで使用できるため、パフォーマーからの需要もあると見込んでいる。

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Ferri
提供:Lovense

現在、日本での顧客は、20代、30代の若い世代が圧倒的に多いという。その理由について久幾田氏は、スマホ世代でアプリ操作などに慣れていてテクノロジーとの親和性が高く、アーリーアダプターとしてLovenseの製品を使用しているからだ、と分析している。

今後もテクノロジーに強い関心を寄せるアーリーアダプターに楽しんでもらえるようなデジタルイベントを中心にプロモーションを進めていく予定で、一例としては、バレンタインデーにアプリからバレンタインメッセージと当日限定バイブレーションをプレゼントするキャンペーンを展開。また、日本時間で4月25日には昨年同様、ハッシュタグと連動して、世界のLovenseユーザーが一斉につながるLovense Orgyイベントを実施する予定だ。

セクシュアリティを含めて自分のニーズと向き合うためのテクノロジー

コロナ禍で家にこもり、いままでよりも社会との距離が生まれ、改めて自分が求めているものは何かを見直す機会が増えている。久幾田氏は、人々の「こんなことができたらいいな」をテクノロジーをもって実現させ、生活に満足感をもらたし、ウエルネスの向上をサポートする存在としてLovenseが介在できればと考えているという。

Lovenseの本格参入により、まずは遠距離恋愛で互いに触れ合うことは無理だと諦めていたカップルに、ボディコミュニケーションが提供できるようになる。また現在、協業を進めているVチューバーとの仮想空間でのライブ配信では、相手はもちろん、自分の性別や見た目も思い通りに作成することができるため、すべての制限から解放されて、自由に自分の性的嗜好や可能性を探求できるという。自分が本当に欲しいセクシャルコミュニケーションを手に入れた時に得られる強い幸福感が、ウエルネス向上に貢献するのは間違いない。

Text: 東リカ(Rika Higashi)
Top image: Olga Strelnikova via shutterstock

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