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「期待を上回った米ホリデー商戦」「ヴィーガンコスメ原料のイノベーション」がキーワード【海外トレンド 2022年11月- 12月】

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毎月1回、ビューティ業界にインパクトを与える海外ニュースを俯瞰し、注目すべきポイントと報道の裏側にある背景を解説。グローバルな視点からビジネスの潮流を紐解く。今回は、物価高が進むなかでも好調だった米ブラックフライデーセールにみる消費者行動と、動物由来原料の代替原料の開発が進み、拡大するヴィーガンコスメの現在地を紹介する。

ブラックフライデー&サイバーマンデーは好調。米国のホリデー商戦の行方

Roman Amanov via Shutterstock

★注目ポイント
グローバルで進行する物価高をかんがみ、消費者の財布の紐が固いのではと懸念された米国のブラックフライデーセールだが、オンライン販売では前年を上回り過去最高額となる売上だった。割引率が高かったことや、後払い決済が普及してきたことなどが要因に挙げられる。

米国では、毎年11月第4木曜日はサンクスギビングデーの祝日であり、この週は学校などが休みになるほか、翌日のブラックフライデーと土日をあわせて多くの企業が4連休となる。よく知られているように、サンクスギビングデーから翌月曜のサイバーマンデーまでの期間は、オン/オフラインを通じて大規模なバーゲンセールが行われ、クリスマスに向けた年内最大のホリデー商戦の幕開けとなる。

米国のみならず世界的にも高いインフレや不況、景気後退への懸念から、当初は、例年を下回るのではないかという悲観的な予測が大勢を占めていた2022年のブラックフライデーだったが、蓋を開けてみると期待を超える売上を記録した。

2022年12月4日現在、対面セールスの売上結果の数字はまだ出ていないが、セール期間のオンライン販売は前年比2.3%増で、過去最大の推計91億2,000万ドル(約1兆2,483億円)に達した。全米小売業協会(NRF)によれば、全買い物客の67%が実店舗でショッピングをしており、この5日間でオンラインと実店舗をあわせて延べ1億9,670万人の消費者が買い物をしたという

また、ECプラットフォームのShopifyは、ブラックフライデー当日、米国東部時間12時01分にピークを迎えた際、1分あたり350万ドル(約4億8,000万円)の売上があったと報告。TikTokは、ハッシュタグ「#blackfriday2022」がアプリで2億4,750万ビュー、同じく「#blackfridaydeals」は8億1,990万ビューに上ったことを明らかにしている

決済方法では、クレジットカードの利用率が前年比マイナス12%となったのに対し、Apple Payが同58%増と伸びた。あわせて、“今買って、後で支払う”方式のBNPL(後払い決済)を利用した人は、前年同期比81%増だった。

一方、2022年のサイバーマンデーの売上高は116億ドル(約1兆5,878億円)とAdobe Analyticsはみており、これは2021年の107億ドルを10億近く上回るものだ。

また、企業・ブランド向けにマーケティング支援ソリューションを提供するBluecoreが発表した「ブラックフライデー&サイバーマンデー2022 リテール・マーケティング・インサイト・レポート」によれば、ブラックフライデー当日のサイトトラフィックは前年比で11%増となり、同じくサイバーマンデーのトラフィックは8%増だった。

さらに、買い物客は購入前に平均6つの商品をチェックし、それぞれ約12回ページを遷移することがわかった。ヘルス&ビューティカテゴリーでは平均14回閲覧しており、購入を決める前に商品を細かく調べ、レビューを読んでいることがうかがわれる。

出典:Bluecore公式サイト

商品の入手後に支払いができる、無利子で手数料無料の分割払いオプションを提供するショッピングアプリ「Klarna」は、価格比較サイト「PriceRunner」を買収して自社アプリに統合している。そこでのビューティカテゴリーにおけるブラックフライデーセール中のユーザー動向を分析した、同社の消費者インサイトレポートによれば、米国の買い物客に人気が高いのは、スキンケアとヘアケアであるという。

また、ウィッシュリストに含まれる美容関連アイテムとサービス(トリートメント)のトップ5は、マッサージ(38%)、スキンケア(38%)フレグランス(36%)、美容室バウチャー(31%)メイクアップ(29%)で、体験を重視する顧客意識に加えて、プレゼント需要が反映された結果とも考えられる。同時にKlarnaのサーベイでは、73%の消費者が、ブラックフライデーとサイバーマンデーのセール期間中にホリデーギフトの購入を増やしたと回答しており、これは、クリスマスに向けて消費者が節約を始めている現れかもしれない。

売上高が増加した2022年のブラックフライデーだが、パンデミックの影響でサプライチェーンの各所で商品が滞留し品薄のため値引き率が低く抑えられた2021年に比べ、サプライチェーンの問題が緩和された今、小売業者が割引をすることで過剰在庫の一掃を目指したのが売上増の一因との見方もある。クリスマスまでの残りの期間、消費者が買い物を続けるか、購入を控えるかはまだ分からず、小売業者はセールの好調を喜んでばかりはいられない状況といえる。

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