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米小売業界はセルフレジの進化、仮想通貨決済、ドローン配送などイノベーション実装も【NRF2022】

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2年ぶりのリアル開催を果たしたNRF (全米小売業協会)Retail's Big Show 2022(以下NRF)は、強い回復基調にある米小売業がその進化と成長戦略を提示する場となった。3日間にわたり現地取材したレポートを3回に分けて掲載する。1回目はパンデミックを経て変化した消費者意識の今と、購入体験における顧客の要望に応えるために、小売の現場や流通で導入が進むテクノロジーについて紹介していく。

強い回復力をみせる米小売業界、コロナを越えて進化を目指す

全米小売業協会(NRF)による世界最大規模の小売ビジネスショー「NRF2022:Retail’s Big Show」が米ニューヨークのジャビッツセンターで2022年1月16日~18日の3日間開催された。リアルでの開催は2年ぶりとなる。オミクロン株の世界的感染拡大を受けて、キーノートスピーカーや出展者のキャンセルが相次いだものの、主催者のNRFはこの2年間で小売業が導入してきた衛生管理やオペレーションを今回の展示会でも徹底。困難な状況でも柔軟な対応と適切な対策により回復する力があるレジリエントな小売業を示す場として、リアルでの開催を成功させようという強い意志が感じられるビジネスショーとなった。

毎年4万人を集客する展示会だが、NRF2022には約1万5,000人の来場者と750の出展団体が参加した。開催にあたっては、コロナ感染拡大を防止するための新たなガイドラインが敷かれた。ワクチン接種ポリシーとして、ワクチン接種証明書およびIDの提示、もしくは、モバイルワクチンパスポートであるCLEARアプリにIDおよびワクチン接種情報を登録し会場でQRコードの提示を義務付けた。そして、確認証明としてリストバンドを配布した。また、会場でのセーフティガイドラインとしては、常時マスク着用義務や無料のPCRテストの実施、シャトルバスでのソーシャルディスタンスの確保などの措置がとられた。

今回の全体テーマとして「ACCELERATE(加速)」が掲げられたNRF2022のオープニングスピーチにおいて、NRFのプレジデント兼CEOのマット・シャイ(Matt Shay)氏は、「小売業にとって2021年は、パンデミックのどん底からの急速な回復と成長を遂げた年になった。予測不能な状況が続くなか、今後も顧客に満足してもらうためにさらなる努力を続ける必要があり、対応のスピードをあげていくことが求められている」と語った。

シャイ氏の言葉の背景には、現在の米国小売業が20カ月連続で前年比売上増を達成し、20年以上ぶりとなる高成長率を記録している事実がある。また、チャネル別の売上をみると、実店舗売上が対前年比14%増と、eコマースのみの成長ではないことがわかる。リアル店舗へのトラフィックは、2021年夏には対前年比で80%以上増加となり、米国の小売店舗数は過去10年間で最高水準を記録している。

パンデミックとインフレで変化した顧客が購買体験に求める価値

キーノート「The Visionary 2022」に登壇した米国の大手小売店ターゲット(Target)のCEO ブライアン・コーネル(Brian Cornel)氏も、「数年前には小売の実店舗は終焉に向かっていると誰もが言っていたが、昨年のホリデーシーズンには多くの消費者が店舗を訪れ、人々はリアル店舗でショッピングを楽しみたいと思っていることが証明された」と述べるとともに、「消費者は店舗での購買体験にインスピレーションを求めている。同時に、安全性を重要視する意識はますます高まっている。また、インフレが進むなか、消費者は車の走行距離を減らし、買い物をする場所を分散せずに集約する。そして、外食ではなく家で食事をするようになり、ナショナルブランドの値上げに伴ってプライベートブランドで代替えする」と、現在の米国の消費者行動を解説した。

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