見出し画像

ロレアル、ユニリーバ、エスティ ローダー。2020年下半期デジタル施策総まとめ

◆ New English article
◆ 新着記事をお届けします。以下のリンクからご登録ください。
Facebookページメルマガ(隔週火曜日配信)
LINE:https://line.me/R/ti/p/%40sqf5598o

2020年下半期の化粧品売上上位6社のデジタル施策と事業開発をまとめた。2020年下半期はパンデミックによる変化への対応が素早く、柔軟にできた企業が大きな成果をあげた。ロレアルはトップ企業らしくコロナ後の世界を見据えた戦略を発表、エスティ ローダーは迅速なデジタルシフトが好結果を生んだ。今回は6社のうち1位~3位企業のロレアル、ユニリーバ、エスティ ローダーについて紹介する。4位~6位企業については次回に紹介する。
※ランキングは、BeautyPackaging のTOP20 GLOBAL BEAUTY COMPANIESより

コロナ禍とその後へ、それぞれの積極的な攻めがみえた3社の動向

2020年上半期デジタル施策総まとめ」にもあったように、2020年上半期の化粧品業界は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応モードに突入した。そのなかでも迅速に課題を特定しながら戦略シフトをし、すべてのステークホルダーへの真摯な対応をした企業と、対応に遅れが目立った企業で、売上・シェアの明暗が分かれた。2019年から引き続き、「持続可能性」「社会的責任」は当たり前のものとなり、各社とも気候変動対策などを粛々と進めつつ、売上アップのためのデジタルシフトを積極的に行った。

スクリーンショット 2021-03-09 10.04.20

ロレアル、ユニリーバ、
エスティ ローダーの株価の動き
出典:Yahoo Finance

株式市場では、上半期と同様エスティ ローダーが高く評価された。S&P500指数の2020年下半期の平均上昇率が19.31%で、ナスダック総合指数が26.24%だったのを上回る、35.14%という結果を出している。エスティ ローダーが好調な理由は、パンデミック下でスキンケア製品の需要が急増したためで、それ以前から営業利益に大きく貢献してきたスキンケア部門が同社を支えた。

グローバル市場では、ロレアルとエスティ ローダーが高品質化粧品とみなされ、ほかに大きなプレーヤーがいないこともこの2社が好調の理由だと評価されている。だが、コルゲート・パルモリーブなどが買収を通じて収益性の高いスキンケア領域の拡充を図り、資生堂やバイヤスドルフなどもスキンケア領域を強化するなど競争は激化するとみられている。こうした理由により、エスティ ローダーは高く評価されすぎているという指摘もある。

ロレアルもエスティ ローダーも、地域及び製品ポートフォリオの両面から全方向戦略をとっていることで知られるが、特にロレアルは中国、インドなどの新興国マーケットへも積極的な拡大を進めた。

ユニリーバはプレミアムやナチュラル製品へのシフトを進めているものの、やはりCOVID-19の影響で2020年12月決算は売上高前期比2.4%減だった。

エスティ ローダーは2020年6月からCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)を置き、デジタルシフトを素早く進めた結果、2021年の第2四半期(2020年12月末)は対前年同期比5%増の売上を記録した。また、中国などアジア市場に積極的に投資を重ねて存在感を高めようとしている。

1位 ロレアル: パンデミックでも下半期は売上成長を実現、コロナ後を見据えた戦略を発表

スクリーンショット 2021-03-11 20.26.30

2021年2月12日にロレアルが発表した2020年12月決算は、売上高が前期比4%減の279億9,210万ユーロ(約3兆5,600億円)、営業利益は、前年比6.1%減少。どちらもアナリストの予想を大きく上回った。

売上の増減を四半期別にみていくと、第1四半期に4.8%減少し、第2四半期に20%近く減少したあと、第3四半期に1.6%増加し回復基調に入った。第4四半期は堅調で2019年の同時期から4.8%増の79億ユーロ(約1兆円)と、売上を加速させている。ロレアルが堅調な下半期を終えられたのは、パンデミックのなかで、オンラインに移行する力と、主要マーケットである中国市場での回復力だ。Eコマースの売上高は2020年は62%増加し、全売上高の26.6%を占める。中国での売上は27%伸び、その原動力もEコマースである。 

「中国ではすでにすべてのカテゴリーが正常に戻り、ビューティ市場では2桁のプラス成長を遂げている」とニコラ・イエロニムス(Nicolas Hieronimus)副最高経営責任者は2020年決算説明会で語った

また、ロレアルは、パンデミックの先をみており、2021年は引き続きその影響が出るものの、将来的にはビューティ市場は必ず戻ると断言している。その証拠として、決算説明会では、米国でもフレグランス市場は回復しつつあり、この12月には4%増という結果になったと説明した。また、2019年と比較して、プレミアム製品が中心に売れたことから、ロレアル製品の単価の上昇がみられた。米国ではヘアケア製品は5%、中国のスキンケア市場では19%の単価増だった

パンデミック以前からの兆しがあり、かつCOVID-19の感染拡大で加速した「5つのトレンド」をベースに、ロレアルはパンデミック後の世界を見据えた中長期戦略を掲げた。

パンデミック後のトレンド
1. デジタル化の加速:COVID-19で、オンラインの購買が加速したが、ロレアルはデジタル化の次のステージとして、オンラインとオフラインをシームレスに統合していく
2. サステナビリティ:COVID-19で人々はよりサステナビリティを意識するようになった。ロレアルは、プラネタリーバウンダリーの概念をもとに、2030年までに地球と共存できるビジネスモデル構築を進める
3. ヘルスと透明性:消費者の安全性を考え、原料情報を公開している
4. 企業・ブランドのパーパス:消費者はパーパスのある企業・ブランドを選ぶようになっている。 ロレアルは2019年アニュアルレポートで”Our Sense of Purpose”をリリース。
5. サイエンスとテクノロジーの重要性:COVID-19によりサイエンスとテクノロジーの力が不可欠だと改めて学習し、これまで通りR&Dへの投資を行っていく。売上高の3.4%をR&Dへ投資し、グリーンサイエンスのR&Dに力をいれていく。

これらのトレンドを踏まえ、2021年は以下の4領域に戦略的に注力する。

1)カテゴリー戦略はスキンケアを第一優先に、ヘアケア・ヘアカラー、フレグランスへ力をいれていく。スキンケアの強化は以前から行っており、2020年下半期はタカミを買収。今後も積極的に強化していくとみられる。
2)メイクアップは必ず復活するとみており、コロナ後を見据え、メイクアップも引き続き注力する。
3)Eコマースに注力し、世界各地でのシェア向上を図る
4)P&Lの効率化を図る。コロナ禍でP&Lの見直しを迫られた結果、効率化の方向に向かっていることを踏まえ、2021年はさらなる効率化を進める。たとえば、B2Bのデジタル化やデータやAIを活用することで、R&Dの効率化を図る。

10年連続増益増収を達成してきたロレアルにとって、2020年は手痛い1年となったが、パンデミックであっても素早く状況に対応できる組織力を見せ、レジリエンス(回復)力の高さが際立った。素早く予測をたて、パンデミック後の世界を見据えて明確な戦略をとっている。

ロレアルのデジタルでの主な動き

■ 2020年10月13日
“Beauty Tech for Good Challenge”の優勝者を発表: デジタル広告でエシカルな寄付のシステムを提案するカナダのスタートアップWhatRocks、スペインのカーボンオフセットサービスを行うReforestum、廃棄プラスチックを科学的にリサイクルするスイスのDePolyの3社が受賞。

■ 2020年12月10日 
Eコマース加速戦略の一環として、コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)であるBOLD(Business Opportunities for L’Oreal) を通じて米国系ソーシャル販売プラットフォームReplika Softwareへの少額投資を発表

ロレアルの事業開発での主な動き

■ 2020年10月27日 
米ベンチャー企業ランザテック(LanzaTech)、フランス大手エネルギー企業トタル(Total)、ロレアルの3社パートナーシップで、産業排出の炭素ガスを回収、再利用した世界初の持続可能な化粧品用プラスチック容器を開発

■ 2020年10月29日 
オランダのバイオテクノロジー企業ミクレオス(Micreos)と化粧品分野の活性タンパク質の1種であるエンドリシンのライセンス契約を締結

■ 2020年12月23日 
日本の美容皮膚科タカミクリニックがライセンス供与するプレミアムスキンケアブランドのタカミ株式会社を買収する契約を締結(2021年2月1日に買収が完了している)。

ロレアルその他の動き

■ 2020年8月12日 
5年連続で世界の環境リーダーとしてCDPからトリプルAスコアの評価を獲得

■ 2020年9月16日 
Refinitiv 2020 Diversity & Inclusion Index(金融市場情報サービスのRefinitvによる多様性と包括性指標評価)のトップ10にランクイン

■ 2020年10月1日 World’s Most Attractive Employersにランクイン

■ 2020年10月8日 役員人事の発表。2021年2月1日から新設するリサーチ・イノベーション・テクノロジー部門のトップにエンジニア出身のバーバラ・ラヴェルノ(Barbara Lavernos)氏が就任

■ 2020年10月14日 ジャン・ポール・アゴン(Jean-Paul Agon)氏の後継者を発表。2021年5月1日付でニコライ・イエロニムス氏がCEO就任予定。イエロニムス氏は、2017年6月からすべての部門を統括する副最高経営責任者の役割を担っている。2021年2月に新設するリサーチ・イノベーション・テクノロジー部門のトップに就任するバーバラ・ラヴェルノ氏が2021年5月1日付で副最高経営責任者に就任する。

2位 ユニリーバ: コロナで手指衛生の重要性が増し、ビューティ分野は堅調

スクリーンショット 2021-03-11 20.26.40

2021年2月4日に発表されたユニリーバの2020年の決算結果は、対前年比2.4%減の507億ユーロ(約6兆4,300億円)。営業利益率は18.5%(対前年比-0.6%)。ビューティ・パーソナルケアは210億ユーロ(約2兆6,600億円)、ホームケアは105億ユーロ(約1兆3,300億円)、フード&リフレッシュメントは190億ユーロ(約2兆4,100億円)の売上高となった。

ビューティ・パーソナルケアは、COVID-19の蔓延により、手指衛生の重要性が増し「Hand is for Handwashing」という教育キャンペーンを実施したことも奏功し、Lifebuoyブランドの売上は50%以上成長した。プレステージビューティはロックダウンの影響を受けたものの、Eコマースへ50%以上シフトし、1ケタ台前半の減少におさまった。

この結果を受けて、アラン・ジョープ(Alan Jope)CEOは、「不安定で予測不可能な年に、COVID-19のパンデミックを通じて、ユニリーバの回復力と敏捷性を実証した。ボラティリティ(変動の激しさ)と予測不可能性は2021年を通して続くが、急速に変化する環境に適応する能力に自信を持っている」とコメントした。5つの領域への戦略的選択を行っているユニリーバだが、2021年も引き続き同じエリアにフォーカスする。

5つの戦略的選択
● 積極的にポートフォリオ・マネジメントをし、高成長分野のカテゴリーを選択して、プレステージ・ビジネスを構築する
● パーパス(存在意義)とイノベーションを軸に、「善」としてのブランドになる
● 米国、インド、中国、途上国での拡大を加速する
● Eコマースやデジタル化に投資し、未来のチャネルでのリーダーとなる
● パーパスと未来志向の組織と成長する文化を築き上げる

とはいえ、ユニリーバにとっては、コロナ禍における個人防護具生産や追加輸送などのコスト負担は今後も続き、またロックダウンが定期的に行われている間は、消費者は低価格製品を使用する傾向があるため、利益率がさらに低下するリスクもあり、株式市場での評価は今ひとつで、株価が伸び悩んでいる。

コロナ禍でも、「徳のある企業」として、気候変動行動計画の株主承認を求める意向を発表するなど、今期は積極的に気候変動問題に対応していることをアピールしている。

ユニリーバの事業開発での主な動き

■ 2020年7月29日 オランダのバイオテクノロジー新興企業Algenuityと提携し、微細藻類タンパク質の使用を検討すると発表。微細藻類で作られた食品を市場に投入する方法を模索する。

■ 2020年9月1日 米国の栄養およびウエルネス企業であるLiquid I.V.を買収

■ 2020年11月25日 米ロサンゼルス発のサプリメント企業SmartyPants Vitaminsを買収

■ 2020年12月23日 植物性代替肉ブランドのベジタリアンブッチャーがバーガーキングとの提携を拡大し、ラテンアメリカ、カリブ海、中国で植物ベースのWHOPPERを発売

ユニリーバのその他の動き

■ 2020年9月2日 2030年までに洗浄剤中の化石燃料を排除すると発表

■ 2020年9月14日 中国合肥にある製造拠点が、世界経済フォーラムとマッキンゼー・アンド・カンパニーが共同で設立した「グローバル・ライトハウス・ネットワーク(Global Lighthouse Network)」に認定されたと発表。ユニリーバにとっては、ドバイの工場に次ぎ2拠点目の認定。(注:グローバル・ライトハウス・ネットワークとは、2017年に結成された「グローバルの製造業コミュニティのイノベーションの開発、再生およびスケールアップのプラットフォームとして、企業の枠を超えた学びを連携する機会と、新たなベンチマークを設定する機会を創出」する場)

■ 2020年10月27日 持続可能なパッケージングの目標を達成していることを発表。再生プラスチックの使用を大幅に強化している。

■ 2020年11月18日 FutureFoods目標を設定し、5~7年以内に、植物ベースの食肉及び乳製品の代替品から10億ユーロの売上を目指すと発表。ベジタリアンブッチャー、調味料ブランドのヘルマンズ、アイスクリームブランドのマグナム、ウォールズの傘下ブランドからヴィーガン代替品の増加を推進する。

■ 2020年12月14日 気候変動行動計画の株主承認を求める意向を発表

3位 エスティ ローダー: 一気にデジタルシフトを実現し、売上回復

スクリーンショット 2021-03-11 20.26.48

2020年8月20日に発表されたエスティ ローダーの2020年度決算(2020年6月30日)によると、2020年度の売上高は142億9,000万ドル(約1兆5,600億円)、対前年比4%減だった。COVID-19の影響が大きく、特に世界中で2020年2月から6月にかけて多くの店舗が閉鎖したことが響いたが、2020年度下半期は、オンラインシフトの効果と中国の規制が最初に解除されたことで、第4四半期の売上は回復基調となった。

9月30日までの2021年第1四半期の純売上高は、COVID-19に起因する一時的な小売店の閉鎖などの影響を受け、35億6,000万ドル(約3,900億円)で、前年同期比で9%減少。純利益は5億2,300万ドル(約570億円)だった。

ブランドの公式ECサイトの売上は60%増加し、サードパーティープラットフォームや小売業者のウェブサイトを通じて販売された製品の推定売上を含むオンライン売上は総売上の35%以上を占めた。

2021年度第2四半期(2020年12月31日末)によると、エスティ ローダーとラ・メールブランドの2桁成長に牽引され、売上高は対前年同期5%増の48億5,000万ドル(約5,300億円)となった。Dr. Jart+を擁するHave&Be買収による売上への影響は約3%。純益は8億7,300万ドル(約950億円)となった。

世界中で100万を超えるバーチャルトライオンセッションをホストし、消費者はセッションに平均30分以上を費やしていると、ファブリツィオ・フリーダ(Fabrizio Freda)CEOは決算発表で述べた。これまではオンライン化の遅れを指摘されてきたエスティ ローダーだが、パンデミック下で一気に加速。2020年6月には創業者の孫娘であるジェーン・ローダー(Jane Lauder)氏がCDOに就任して指揮を執り、下半期は売上増を実現した。

クリニークのスキンスクールでは、オンデマンドのライブストリーミングを通じて顧客とつながりを作るだけでなく、今後の製品は、ビューティコンサルタントとインフルエンサーを組み合わせてプログラム開発を行っている。

2020年の夏と12月に行われたライブストリーミングイベントGet Ready with Eimila Clarkeでは、ゲーム・オブ・スローンズのスターで、グローバルアンバサダーのエミリア・クラークが使用しているクリニーク製品について言及中に、製品が画面にポップアップ表示され、視聴者がクリックして購入できる設計が好評だった。

この様子はフォーブスの「Why Live-Streaming Is The Next Big Trend In Beauty, From Clinique To Beautycounter」に詳しく紹介されている。

ボビィブラウンでは、ビデオコンサルティング、ライブチャット、マスタークラス、ライブストリーミングを追加した。相談はブランドのWebサイト、WhatsApp、WeChat、Instagramで行われており、バーチャルサービスにおけるコンバージョン率は平均の10倍であり、平均購買額も高くなっている。

これらを可能にしているのは、過去及びリアルタイムの消費者行動にもとづいてAI主導のレコメンデーションを活用していることと、世界中のソーシャルメディアを調査し、機械学習をしながら、消費者動向を調べてオンラインサービスに活用していることだ。

また、米国ではUberが買収したフードデリバリーサービスのPostmatesと提携して 、M・A・Cなどのブランドの即日配送を開始するなど、デジタルにおいて多面的に新しい取り組みを導入しながら、売上に繋げている。このほか、アジア地域に積極的に投資し、競争力のある商品ポートフォリオを拡充する構えだ。

また、中国を含むアジアの消費者からのスキンケアとフレグランスの需要が加速しており、そのために3つの大きな投資をしている。2019年に韓国を拠点とするスキンケアブランドのDr. Jart+を買収し、東京近郊に最先端の製造施設を建設中で2022年後半に稼働を予定している。2022年春に上海イノベーションセンターを開設する。

エスティ ローダーのデジタルでの主な動き

■ 2020年10月1日 
2020年乳がんキャンペーンをデジタルイベントを中心に展開日本語リリース

■ 2020年10月16日 
オンライン部門のリーダーシップ変更を発表。2001年にテクノロジー担当副社長として着任し、2003年からELC Onlineの初代社長を務めていたデニス・マケリニー(Dennis McEniry)氏が退任を発表。後任は、2020年11月16日付で、ギブ・トーマス(Gibu Thomas)氏が就任。同氏は、コンピュータサイエンスの博士号と、スタンフォード大で経営管理学の修士号を取り、シリコンバレーのシリアルアントレプレナーでもあり、ペプシコやウォルマートでEC戦略を主導。5年前にエスティ ローダーに入り、上級副社長兼Eコマースのグローバルヘッドを務めている。 

エスティ ローダーの事業開発での主な動き

■ 2020年10月14日 
エスティ ローダーグループが化学メーカーSABICとパッケージ企業ALBEAとの戦略提携を発表。循環プラスチック経済を推進するためにバリューチェーン全体で必要な開発を行う。化学メーカーのSABICの革新的で高度なリサイクル技術を活用し、今まで難しいとされてきたリサイクルが困難なプラスチックを再生する。またエスティ ローダーは2025年までに100%の循環プラスチック採用を約束しており、ALBEAの最新美容パッケージング技術でリサイクル樹脂を使用したチューブパックを製造し、2021年からオリジンズがClear Improvement Active Charcoal Maskで使用する。

エスティ ローダーのその他の動き

■ 2020年9月18日 
NASAと協業し、アドバンス ナイト リペア SMR コンプレックスを宇宙に打ち上げることを発表

■ 2020年10月14日 
イランの計算生物学者Samira Asgari氏とアルゼンチンの非営利団体Chicasen Technologiaが、エスティ ローダー、Nature Researchが主催するNature Research Awardの受賞者に選ばれた

■ 2020年11月2日 ネットゼロエミッションを達成したことを発表

■ 2020年12月8日 気候変動対策リーダーとして、CDPのAリストに認定

まとめ:骨太な戦略を掲げるトッププレイヤー3社は積み重ねとドラスティックな舵取り

ビューティ上位3社は、気候変動や多様性の問題に真摯に向き合い、企業としてやるべきこととして粛々とプロジェクトを進めながら、自身の生き残りをかけて、ドラスティックにデジタル化へ舵を切った。ロレアルは以前からデジタル化を推し進めてきたこともあり、デジタルとリアルを融合した“美の体験”を次のステージに掲げて動いている。コロナ後も見据えた戦略は、ビューティを牽引していくトッププレーヤーだからこそといえる。

ユニリーバは美容分野よりもヘルシーフード領域での活動が目立ったが、COVID-19で手洗いが推奨されるなか、教育プログラムなどを積極的に展開することで、幅広い世代・地域で衛生製品を中心に売上を伸ばし、ビューティ全体をプラスに着地させた。一方で主戦場であるスキンケアで目立った動きはなかった。

エスティ ローダーは、新設されたCDOのポジションで創業者の孫娘がリーダーシップを発揮し、各ブランドで様々なデジタル施策を極めて早いスピードで実装し、売上につなげた。これまで遅れが指摘されていたデジタルトランスフォーメーションを一気に進めた形となり、2020年末には売上アップを実現している。

ロレアルやエスティ ローダーでは、消費者が店舗の閉店で仕方なくオンラインで買い物をするというよりも、オンラインの購買体験を楽しみ、「Sticky User」(リピーターとなるファン層)となっていることがIRでも強調されている。デジタルトランスフォーメーションは、顧客の体験を主軸に、エンターテイメント性を持ったものにすることが何よりも大切なのだと、この2社の2020年後半の動きから学ぶことができるだろう。

Text: 秋山ゆかり(Yukari Akiyama)
Top image: 3DJustincase via Shutterstock

ありがとうございます!LINE@で更新情報配信中です。ぜひご登録を!
30
美容業界の国内外のイノベーションを発信するメディアです。詳しくは → https://goo.gl/7cDpmf  BeautyTech.jp(English)move to https://medium.com/beautytech-jp