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三井物産が米化粧品ODMを完全子会社化、日本の原料をグローバル展開する仕組みづくり

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三井物産株式会社は2023年8月、米ニュージャージー州に拠点を持つODM企業Dermaceutical Laboratories, LLC(ダーマシューティカルラボラトリーズ社)の全株式を取得し、100%子会社化した。同社がODM買収に至った背景には、商社の事業アセットとネットワークを活かして日本発の原料をグローバルで展開していこうという目論見がある。その詳しい内容を三井物産株式会社 コンシューマープロダクツ推進室長 小林裕司氏に聞いた。


日本の原料メーカーの課題を解決し、J-Beautyの素材、処方を強みとするODM拠点に

化粧品事業に力を入れる三井物産グループが、ダーマシューティカルラボラトリーズ(以下、D-LAB)を買収した背景には、日本発の化粧品原料の世界でのポジショニングを引き上げたいという思惑がある。すでに、化学品商社である三井物産ケミカルでは、化粧品をつくりたい企業と日本のOEM・ODMをつなぎ、三井物産グループの持つバリューチェーンで生産から販売までを支え、高品質の“ジャパンプレミアム”を世界へ発信するプラットフォーム「Jビューティ・テクノロジープラットフォーム(J-Beauty Technology Platform)」を2021年4月に設立している。

今回のD-LAB買収の目的について、三井物産株式会社 コンシューマープロダクツ推進室長 小林裕司氏は「日本の原料メーカーが抱えている課題の解決にある」と話す。J-Beautyの強みである日本発の化粧品原料や処方を使って米国でも製品開発・製造ができる体制をつくるのが大きな目的だという。

「米国企業と取引する日本の原料メーカーにとって、米企業に素材サンプルを送ったあとの混合・配合といった工程部分、つまり、その後どのように使われているのかという部分がブラックボックス化しているという課題認識があった」(小林氏)

つまり、原料を納品した後、どういった製品に使われたのかなど、クライアント側でのプロセスや評価・検討結果がほとんど共有されず、原料メーカーは次の素材開発にも生かせないというジレンマだ。また、原料メーカーが海外の新規ブランドやODM企業といった顧客に販売する場合には、単品の素材だけでは買い手側もそれがよいのかどうかの判断が難しく、あらかじめその素材を使った試作化粧品を作って営業・提案する必要があったという。

「そこで、我々が開発・製造拠点を米国に持つことで、J-Beautyの素材や処方を生かした製品をスピーディに開発・製造することが可能になり、米国をはじめ、世界にJ-Beautyを広めていけると考え、今回の100%買収に至った。製造メーカーを100%買収するというのは商社である我々にはチャレンジであるが、我々の思いや戦略をすばやく実行に移すためにはハンズオンでの取組みが不可欠と判断した」(小林氏)

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