「高品質&リュクスなエコ容器」「MoCRA」がキーワード【海外トレンド 2023年9月-10月】
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毎月1回、ビューティ業界にインパクトを与える海外ニュースを俯瞰し、注目すべきポイントと報道の裏側にある背景を解説。グローバルな視点からビジネスの潮流をひも解く。今回は、包装・容器などのパッケージメーカーが集う国際見本市「LUXE PACK Monaco」で注目を集めた製品の紹介と、まもなく発効されるMoCRA(米FDAの化粧品現代化規制法)についてレポートする。
LUXE PACK Monaco 2023 サステナブルかつ高級感を備えた包装・容器の最前線
★注目ポイント
ヨーロッパをはじめ、プラスチックの使用を段階的に削減していく動きがグローバルで主流になるなか、環境に配慮した製品やサービスの提供は、化粧品業界にとって必須の取り組みとなっている。それは、ラグジュアリーブランドにとっても同様だ。むしろ、そうした姿勢を示すことは、ブランドの付加価値を高めることや若い世代を呼び込むことにもつながるため、製品そのものの設計に加えて、容器や包装などパッケージにもサステナブルな仕様を積極的に取り入れるブランドが増えている。
2023年10月2日〜4日の日程でプレミアムパッケージの国際見本市「LUXE PACK Monaco 2023」が開催された。LUXE PACKは、化粧品をはじめとする、高級ブランド向けの包装・容器を開発するメーカーが一堂に集まり、その最新の製品や技術を発表するイベントとして広く知られている。近年では、プラスチックの削減やリサイクル、回収、リユースできるなど持続可能性の高い設計に加えて、ラグジュアリーな高級感を兼ね備えた提案がメインテーマとなっており、今回もさまざまな新しいアイディアが登場した。
化粧品業界誌『Cosmetics Business』や『Cosmetics Design Europe』の報道ほか、出展企業のレポートなどをもとに、注目の化粧品パッケージにフォーカスして紹介する。
●Albéa
ユーザーフレンドリーなリフィル容器「Twirl」
化粧品用容器製造に特化したメーカー仏Albéaは、2022年に発売した詰め替え可能な化粧瓶「Twirl」を、今回フルラインのサイズ(15ml、30ml、50ml、200ml)で発表した。グローバルなガラス製造メーカーVerescence によるポストコンシューマーリサイクル(PCR:市場で使用済みの製品を回収、再生資源化すること)ガラスを20%配合したベース容器は、色づけが可能な組成とし、ブランドのデザインの自由さに応えるとしている。キャップ、インナー容器、シールはAlbéaが製造し、いずれもリサイクル可能なポリプロピレン(PP)で作られている。インナー容器の詰め替えの手間を簡単かつスムーズにした設計も特徴だ。
Albéaはまた、メイクアップ用パッケージのリサイクルの可能性を高めるための、すでに行われているリサイクルの方法やプロセスに適合する技術ソリューションを追求する「RecyMAKEUPプロジェクト」で、CSRイニシアチブ部門のLuxe Pack in Green Awardを受賞した。
●Aptar
完全リサイクルが可能なエアレス容器「Future Airless PET」
また、ヨーロッパを中心に世界20カ国に拠点を構える容器メーカーAptarは、自社が持つ単一素材ポンプの知識と技術に、同業の容器メーカーPinard Beauty Packと協業することで、同社の得意分野のエアレス(真空)技術を掛け合わせ、全てのパーツがリサイクル可能なエアレスパッケージソリューション「Future Airless PET」を開発した。Aptarのポリエチレン(PE)100%のポンプに、Pinard Beauty Packの特許取得済みのエアレスPET(ポリエチレンテレフタレート)ボトルインボトルを組み合わせたもので、デリケートな化粧品処方の品質保護に適していると同時に、ポンプ部分はロック/ロック解除リングと360度自由に回転する装置により、輸送中の破損の可能性を最小限に抑えてeコマースに最適化をしたとする。
Aptarは、そのほかにもPP樹脂100%で完全リサイクル可能なリップスティックケースなども製造している。
●Cosmogen
取り外し可能なチューブヘッド「Mini Squeeze’n」
化粧品アプリケーターとツールのスペシャリストである仏Cosmogenが発表した「Mini Squeeze’n」シリーズは、チューブの先に回転オン/オフシステムと取り外し可能なアプリケーターヘッドを備え、リサイクルを容易にする設計としている。たとえば、「Mini Squeeze’n Fresh」は目の周りのケアのため、肌に優しいパフとマッサージのためのステンレス製のヘッドチップを備えている。また、「Mini Squeeze’n Ball」は、プラスチックの使用を抑え、先端のボールをステンレスやセラミック、あるいは水晶の一種のローズクォーツ製としたロールオンだ。Cosmogenでは、このMini Squeeze’n Ballを史上初の取り外し可能なボールチューブと称している。
●Dow
廃棄物から生成したアップサイクル合成樹脂「SURLYN REN / SURLYN CIR」
2023年10月2日、グローバル大手化学企業のDowは、再生可能な合成樹脂原料として、使用済み食用油などのバイオ廃棄物から作られた「SURLYN REN」と混合プラスチック廃棄物から作られた「SURLYN CIR」を発売した。これにより、ビューティブランドやメーカーが持続可能で高品質な化粧品パッケージを作成することに貢献するとしている。DowはLVMHのビューティ部門とのコラボレーションを同年1月に発表しており、この2つのSURLYNがLVMH傘下のメゾンで活用されることが予想されている。
SURLYN RENは、食用油のような他分野の産業製品の廃棄物や残滓、副産物を利用しており、原料を得るために土地資源を消費したり、食物連鎖に関与したりしないクリーンな素材とする。一方、SURLYN CIRは化学リサイクル技術によって生成される。これまでリサイクルが難しかった、単一ではなく混合した廃プラスチックを化学元素に分解することで原料化する、いわば、プラスチックに第二の生命を与える技術だ。化石由来のバージンプラスチック原料と同等の質の原材料の生成ができ、プラスチック廃棄物が埋め立てや焼却されるのを防ぐのに役立つという。
●Silgan Dispensing
香水を素早く補充し自動停止するディスペンサー「Replay」
フレグランスや美容、パーソナルケアなどの市場において、ポンプとスプレー容器のリーディングカンパニーの1つであるSilgan Dispensingは、自社特許技術LifeCycleテクノロジーを使用した、ユーザーが香水を容器に補充する際のこぼれに対処するディスペンサーシステム「Replay」をLUXE PACK Monacoでデビューさせた。これは同社のスクリューポンプPirouetteシリーズと一緒に使用する設計となっている。
Replayは50mlボトルを約20秒で補充でき、補充が終了すると自動的に停止し、注ぎ口に液体を残さない。また、プラスチックの使用量を少なくし、重量を従来より33%削減。さまざまなボトルネックに使用できる。Silgan Dispensingでは、Replayにより、香水やフレグランスの詰め替え製品の普及が期待できるとしている。
●Quadpack
花や模様で中身が絞り出されるスティック「ShapeUp Stick」
スペイン発のQuadpackの新しい詰め替え式スティック「ShapeUp Stick」は、開口部にデザインした切り込みを入れることで、スティックをひねると花や模様の形状で中身が絞り出される仕組みだ。視覚的にも楽しく遊び心がある設計でZ世代の間で人気を高めているという。容器は100% PPを使用し、キャップとベースはPCR PPで作ることもできる。モイスチャライザー、ファンデーション、チーク、ハイライターなど、中・高粘度の素材であればさまざまな製品に利用が可能だ。絞り口のデザインプレートはカスタム対応で、ロゴや幾何学模様、シンボルなど自由に作成できる。
●Pibiplast
好みの2つの製品をコンパクトにセット「Snap & Go」
イタリア企業のPibiplastが提案するのは、軸物の2種類の製品を自由に組み合わせて1つにできるデュアルパッケージだ。ブランドがマスカラやリップグロス、アイブロウなど多種類の製品を用意することで、ユーザーはその時の目的や気分に合わせ必要なアイテム2つを選んで1本にして使用できるパーソナライズを意識した設計だ。コンパクトで持ち運びに適している点も活動的な若い世代に適している。容器は単一素材プラスチックで完全リサイクル可能とし、接着剤も使用していない。
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