世界トップクラスの特許数、メナードの幹細胞技術と人工皮膚モデルが示唆する未来
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日本メナード化粧品株式会社(以下、メナード)は、これまでに幹細胞を利用して独自に三次元培養皮膚モデル(※)の開発を進めてきた。今回、この三次元培養皮膚モデル(以下、人工皮膚モデル)にゲノム編集技術を組み合わせることで、さまざまなレベルのバリア機能を持つ人工皮膚モデルの開発に成功し、Japan BeautyTech Awards 2021大賞を受賞した。この技術により、異なるバリア機能の肌を試験管レベルで再現することが可能となり、それまで困難であった肌荒れや敏感肌に関する研究や化粧品成分の評価が安定して行えるようになるだけでなく、将来的には、一人ひとりの肌状態を再現し、効果的な成分を配合した化粧品を提案するなど究極のパーソナライズサービスも可能になる。この研究を率いた同社 総合研究所 研究技術第2部門 部門長 長谷川靖司氏に、人工皮膚モデルの可能性について聞いた。
(※三次元培養皮膚モデルとは、細胞が平べったく培養された二次元での培養とは違い、細胞が自然な皮膚の構造に近くなるような三次元で培養された人工皮膚モデルのこと)
2003年に着手、業界を一歩リードするメナードの幹細胞研究
メナードの幹細胞研究の歴史は、2003年にさかのぼる。藤田医科大学病院との共同研究で、傷が治るメカニズムを解明するために幹細胞に着目。「当時は、幹細胞という言葉がまだほとんど知られていなかったが、私たちの身体を再生する幹細胞の働きをうまく制御することができたら、傷の治療だけではなく美容にも応用できるのではないかという思いで研究を始めた」と長谷川氏は当時を振り返る。
まず着手したのは、皮膚組織から採取したさまざまな細胞から、幹細胞だけを取り出す技術の開発だった。「フローサイトメーター」という高性能な分析装置を導入し、2005年に、幹細胞特有のタンパク質「p75NTR(CD271)」を指標に、皮膚の細胞から幹細胞だけを効率的に分離することに成功して特許を取得した。このことにより、幹細胞にアプローチする研究が飛躍的に進展したという。
そして2012年に、幹細胞のひとつの分類であるiPS細胞で京都大学の山中伸弥教授がノーベル医学・生理学賞を受賞したのを機に、幹細胞研究が一躍脚光を浴び、大学やその他の研究機関でも再生医療や幹細胞の研究がさかんに行われるようになった。
2018年に特許庁が発表したヒト幹細胞関連技術の特許出願数世界トップ50のうち、メナードは世界で13位、日本国内では京都大学に次いで2位となっており、幹細胞研究においてトップクラスの技術をもつことがわかる。
幹細胞関連技術特許出願数
世界トップ50
出典:平成29年度 特許出願技術動向調査報告書
「メナードが、幹細胞領域で他社を大きくリードできたのは、2000年前半からいち早く研究に取組み、かつ粘り強く続けてきたからだ」(長谷川氏)。研究を始めた当初は、まだ何ものともわからない幹細胞に取り組むこと自体が珍しがられたという。それは裏を返せば、早くからその可能性を信じ、研究への投資を決めたメナード経営陣の先見性でもある。
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