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中国ブランドのスキンケアは、天然・自然志向がますます高まる【中国美容博覧会2019】

◆ English version: 4 trends seen at China Beauty Expo 2019: naturalism, lipstick, Korean styles, and men’s makeup
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中国はもとより各国の美容商材・サービス企業が集結する、世界最大規模の国際化粧品美容展示会「中国美容博覧会(China Beauty Expo)」が、2019年5月20日から3日間、中国上海で開催された。今年で23年目を迎えた同イベントには、世界数十カ国から約3,000社が出展、約48万人が来場した。中国ブランドのスキンケアの傾向とその他のトレンドについて2回にわたりレポートする。

まずは「中国美容博覧会」の概要についてだが、出展企業の業種、国、規模は多岐に渡り、中国企業だけではなく海外企業も多く見られた。日本からは300を超える企業が参加。日本企業における中国美容市場への関心の高さがうかがえる。

ビジターは世界各国の美容系代理店や、リアル店舗およびECサイトオーナー、美容系企業に就職を検討している学生、一般消費者など。ちなみに2018年度におけるビジターの地域別割合は、76.45%がアジア、10.68%がヨーロッパ、8.81%が米国から。中国国内以外の国別では、韓国、日本、タイ、米国、フランス、インドネシアなどが上位を占めている。

イベントは盛況でどこのエリアも混雑している印象だったが、商談とは関係のない一般ビジターが関心を示していたのは、有名ブランド製品を体験できるブースや景品をもらえるブースで、常に多くの人が集まっていた。

多くのビジターが関心を寄せた
中国大手ブランド
Inoherb(相宜本草)」のブース

消費者意識は「メイクよりスキンケア」が主流

さて、今回は「中国美容博覧会」で顕著だった、中国ブランドのスキンケア商品のトレンドをレポートする。とくに中国ブランドに着目した理由は、それらが、欧米に端を発して今や世界的な潮流である「ナチュラル」「オーガニック」の概念に近いようでいながら、ユニークな差異があると感じたからだ。

その前に、中国のスキンケア分野の現状について確認しておこう。

現在、中国の美容市場でスキンケア製品が大きな割合を占めていることは以前の記事で論じている。そこで述べたように、中国での消費者意識はまだ「メイクよりもスキンケア」という段階にある。

中国の消費動向においては、特にフェイスマスクの人気が高く、その後に乳液や化粧水が続く。アリババグループ(阿里巴巴集団)が2018年に発表したデータによると、スキンケア系商品におけるアリババでの総売上数では、フェイスマスク(面膜)が2016年から2年連続で首位となっている。

阿里大数据のレポート
出典:linkshop.com

また、フェイスマスクは、中国スキンケア商品市場総額の10%を占めるまでに成長したという別のデータもある。

2018年面膜行业前景大数据分析
出典:美妆Tou条

さらに、アリババグループの展開するBtoC向けECプラットフォーム「Tmall(天猫)」のレポートによると、メディカルコスメブランドの伸びが著しく、売れ行きが良いスキンケア製品の商品名には、「新鮮高活性」「珍しい天然成分(稀有天然成分)」「高濃度(高浓度)」「高度な化学理論(艰涩化学理论)」に関する単語が含まれている傾向があるという。

出典:天猫《美妆个护品类趋势报告》

「天然」「自然」が中国スキンケアのトレンド

このような傾向を踏まえたうえで、今回の博覧会を見学した。

まず、多くの中国ブランドのブースで目立っていたのが、植物成分を前面に押し出したスキンケア製品だ。これは後述するが、「天然」「自然」をうたう商品は多かったものの、世界的なトレンドでもある「オーガニック」を打ち出したものはわずかであったことは興味深い。

例えば、2001年にJALA(伽藍集団)によって立ち上げられた「CHANDO(自然堂)」と、1931年に上海富貝康化粧品が創設した「PECHOIN(百雀羚)」は自然派スキンケアコスメブランドとして広く知られている。同時に近年は、比較的新しいブランドにおいてもコンセプトにナチュラル感を取り入れ、洗練されたパッケージデザインで勝負する企業が多く登場している。

CHANDO(自然堂)の公式サイトより

そのひとつ、2011年創業の「SASELOMO(三草两木)」は、自然成分配合を打ち出しているブランドだが、マダケエキスを配合した「竹」、美白効果を狙える「雪」というように、その製品を象徴する漢字一文字をデザインしたシンプルなパッケージで人々の心を引きつけている。

「SASELOMO(三草两木)」のプロダクト

また2015年創業の「BOTANIERA(植然方适)」は、デンドロビウム(洋蘭の一種)などの珍しい植物を使い、中国の伝統的な製法を用いて成分を抽出したスキンケア製品を販売している。

「BOTANIERA(植然方适)」のプロダクト

BOTANIERAのブースには
成分素材の稀少植物が
いくつも展示されていた


「植物成分スキンケア」に関心が高い中国Z世代

このような植物由来の成分を打ち出したブランドは、中国では特にZ世代(90年代後半以降に生まれたエイジグループ)に人気が高い。前述のCHANDOと同じくJALA(伽藍集団)が2017年に立ち上げた「Spring Summer(春夏)」は、15〜25歳の若年層をターゲットにした新興ブランドで、「植物成分スキンケアブランド」として人気を集めている。

世界中から集めた植物を
配合成分に使用している
(出典:Spring Summerと
KANTERによる調査レポート

Spring Summerと大手調査会社のKANTERが発表したレポートによると、Z世代がスキンケアに求めることは、機能面では「補水保湿」が83%でトップ。理念面では「植物成分スキンケア」が54%でトップだったという。このことからも、年齢が若い層の植物成分スキンケアへの関心の高さがうかがえる。

出典:Spring Summerと
KANTERによる調査レポート

ケミカルへの嫌忌傾向も深く関係

さて、中国市場で「自然」「天然」志向が受け入れられる理由はどこにあるのだろうか。2つの要素が推測できる。

まず、中国には古来から漢方(中医学)という伝統医学があるため、「天然」「自然」の力を利用するという考え方は、中国人の志向と相性が良い点があげられる。今回の博覧会でも、「漢方成分」「伝統的な薬効」を押し出した製品を提案する企業があちこちに見受けられた。

もう1つは、「ケミカル(化学合成)」を嫌忌する傾向も関係している。中国では、様々なプロダクツに関して、化学有害物質を含むことによる健康被害が数多く報告されており、化粧品に関しても人々は敏感になっているようだ。真偽は不明だが、顔を白く見せるための蛍光成分が入ったパックを使い続けた結果、顔が暗闇で青白く輝くようになってしまった、というニュースが世間を騒がせたこともある。

「化学スキンケアは避けています」
と書かれたパンフレット

オーガニック意識は時期尚早

ここまで自然や天然への意識が高ければ「オーガニック(有機)」にも興味が向きそうなものだが、今回の出展を見る限りにおいては「オーガニック」をメインのコンセプトに打ち出した中国ブランドの美容関連製品はあまり多くなかった。

同博覧会と近い時期に上海で開催されたオーガニックに関する展示会「 BIOFACH CHINA 2019(中国国際有機産品博覧会)」では、中国ブランドの「オーガニック」関連商品は食品関連が主であり、化粧品を出展していたブランドは、フランスのオーガニックブランド「Acquadax」の輸入業者であるOUYUNSI ORGANIC BEAUTY(欧韵思法国有机护肤品)のみであった。担当者によると「中国ブランドでは、まだオーガニックを冠する化粧品ブランドは数少ない。これからではないか」とのことだった。

オーガニック展示会
BIOFACH CHINA 2019」における
食品ブランドのブースの様子

中国では「オーガニック」は「有機」と訳され、食品分野においては健康意識が高い若い世代を中心に関心が高まってきている。今後、こうした消費者意識が美容分野にも広がれば、中国発の新興化粧品ブランドも次々に登場するのではないだろうか。

少しずつではあるが、有機(オーガニック)認証制度の普及や、韓国と同様に成分のクオリティ重視の傾向も強まってきており、加えて動物実験廃止を目指す法整備も徐々に整いつつある。欧米並みのエシカル、クリーンビューティ支持に向けて、途上段階にあることを感じさせる中国スキンケアブランドの展示だった。次回は、そのほかのトレンドを紹介する。

Text: 滝沢 頼子(Yoriko Takizawa)

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