中国美容機器市場が拡大、COSBEAUTYやMESMOOTHなど、新興5ブランドの台頭
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中国美容機器市場が拡大、COSBEAUTYやMESMOOTHなど、新興5ブランドの台頭

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近年、中国の化粧品業界では多くの新興ブランドが台頭しているが、こうした波が美容機器業界にも訪れている。2021年に入って資金調達が相次ぎ、投資家も注目している。話題の育毛デバイスを手掛けるCOSBEAUTYをはじめ、注目度の高い5ブランドを紹介する。

LLLT技術を活用した「発毛帽」でも注目の「COSBEAUTY」

2021年7月17日~25日に上海で開催のビジネスショー「第6回淘宝網(タオバオ)工藝祭」で公開された、深圳可思美科技の「COSBEAUTY」ブランドによる育毛デバイス「電激光生髮儀(電気レーザー発毛器、通称『発毛帽』)」が、中国で話題を呼んでいる。

帽子状の機器を頭に装着するとレーザーが毛根を刺激し、発毛を促進する仕組みの商品だ。中国国家衛生健康委員会によると、国民の6人に1人が抜け毛の症状があり、その数は2億5,000万人を超えるという。こうした背景から、近年では毛髪ケアや育毛製品が多数販売されており、消費者からの注目度も高い。

発毛帽は、帽子の内側に装置があるため、一見すると育毛デバイスにはみえない。COSBEAUTYの新技術であるLLLT(Low Level Laser Therapy, 低出力レーザー)を搭載。81のノズルから照射した650nmの波長の低エネルギーレーザーが3~5mmの毛根に到達し、眠っている毛根を目覚めさせ、ダメージを受けた毛根の状態を改善、新しい毛髪の成長を活性化させ、かつ毛根が成長するための栄養分を供給するとうたう。

あわせて医療機器としての認可を受けており、使用は週3回までと決められている。臨床試験ではユーザーの80.9%に効果がみられ、1平方センチメートルあたり平均18本の毛が生えたという。USBでの充電が可能で、場所を選ばずに手軽に利用できる。

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出典:COSBEAUTY JAPAN
プレスリリース

発毛帽は元々、2020年にシャオミ(小米科技)の家電製品ECプラットフォーム「YOUPIN(小米有品)」でのクラウドファンディングを通じて1万8,000台が販売された。プレスリリースによれば、3,002万元(約5億円)を集め、淘宝網工藝祭で公開された商品はその進化版だ。

発毛帽はさまざまなプラットフォームで購入できるが、アリババグループの「Tmall(天猫)」では割引価格の2,999元(約5万円)で販売され、3,000個以上が売れている。COSBEAUTY日本法人のWebサイトでも現在、「光美髪器」の名称で商品を展開しているが、こちらは雑貨という扱いでの販売で別製品となっている。

機器に付属する帽子の色は黒で、商品写真には男性モデルが起用されているが、中国でのユーザーのコメントをみると、女性ユーザーもかなりいるようだ。すぐに効果が現れるたぐいの商品ではないため、「まだ効果がわからない」という声も多いが、使用感は「温かくて気持ちいい」などまずまずだ。併用が推奨されている生薬配合のエッセンスは別売りで、899元(約1万5,000円)となっている。

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出典:COSBEAUTY JAPAN
プレスリリース

発毛帽を手掛けるCOSBEAUTYを運営する深圳可思美科技は2013年5月に創業。同年に東京にデザインセンターを設立し、深圳と東京の双方を本部と位置付けている。

同社ウェブサイトによると、創業者の黄万富氏は日本での留学経験があり、日本の品質・デザインと深圳のイノベーション力との融合をブランドコンセプトに掲げる。COSBEAUTYは発毛帽のほかにも、ウォーターピーリング、リフトアップ、ラジオ波やプラズマを活用するなどの多種多様な美顔器を揃え、プラズマ美顔器の日本での累計販売台数は100万台を突破している。

米国にも支社を置き、現在では23カ国で販売。シャオミとの関係が深く、2021年1月にはシャオミがリードするシリーズB+ラウンドで1億元(約17億円)弱を調達した。

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出典:COSBEAUTY タオバオ旗艦店

深圳可思美科技は研究開発に力を入れており、2020年に深圳にR&D機関「精准医学研究院」を設立し、AIやビッグデータを活用した皮膚や頭皮の研究を行っている。また、2021年7月には中国科学院蘇州生物医学工程技術研究所らと共同で「光生物医学聯合実験室」を開設した。微生物ゲノミクスや免疫組織化学などの応用分野における共同研究により、革新技術とデバイスのイノベーションに取り組むとしている。

医療美容企業が開発した育毛デバイスブランド「HairPro」

ほかの育毛デバイスブランドとしては、医療美容を展開する半島医療集団が手掛ける「HairPro」がある。中国メディアによると、同社は2011年に家庭用のレーザー発毛器を発売し、今では300以上のクリニックにも製品が導入されているという。

HairPro製品も帽子内に装着するタイプで、標準タイプのスペックは81のノズルからLLLTレーザーを照射するなどCOSBEAUTYの発毛帽とほぼ同じだ。価格は、現在は特別価格の1,999元(約3万4,000円)でCOSBEAUTYより安い。ただし同ブランドでは、272個のノズルがついた上級モデルもあり、Tmallでの販売価格は7,980元(約13万5,700円)だ。

イスラエルに研究開発拠点をもつ「MESMOOTH」

上海宸也科技が運営する美容機器ブランド「MESMOOTH」は、海外との結びつきが強い。同社の公式サイトによると、MESMOOTHはイスラエルがルーツで、もともとはライフサイエンスやITなどさまざまな事業を展開していた。上海宸也科技とMESMOOTHの関係性は明らかにされていないが、研究開発拠点がイスラエルにあり、イスラエル人の専門家が顧問を務める。

2019年に中国の美容機器市場に参入し、2020年4月に美顔器をリリース。毛穴ケアやアイケアなど多機能を備えている点が好評で、これまでに80万台を販売したという。Tmallでの2021年1〜6月の成約額は9,300万元(約15億8,000万円)で、美容機器部門の4位にランクインした。同7月には、シリーズAラウンドで5,000万元(約8億5,000万円)を調達している。

2021年の売上高は5〜6億元(約85〜102億円)に達する見込みで、創業者の李海涛氏は、将来的には日本や韓国、欧米の市場を開拓したいとしている。

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MESMOOTHが販売する美顔器
出典:MESMOOTH公式サイト

シャオミが出資する新興ブランド「inFace」と「AMIRO」

最近はこうした美容機器ブランドの資金調達が相次いでいるが、際立つのは投資側としてのシャオミの存在だ。美容機器ブランド「inFace」を運営する深圳市米谷智能も2021年7月、シャオミらがリードするプレシリーズAラウンドで数千万元(数億〜十数億円)を調達した。

2017年創業の同社は、ホームケアブランドとしてinFaceをローンチしたが、翌2018年には美容機器へと業態を転換する。YOUPINで音波洗顔器を販売するためのクラウドファンディングを実施。340万元(約5,800万円)以上を集め、達成率は600%を超えた。

現在では洗顔器だけではなく、毛穴吸引器やマイナスイオンブラシなども販売している。同社の首席デザイナーはかつてシャオミのスマートフォンやノートパソコンをデザインしていた経験を持ち、シンプルでスタイリッシュなデザインが特徴だ。報道によると、中国セールイベント「618」では、電動ヘアブラシカテゴリーでの成約額が1位だった。

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「inFace」が販売する美顔器
出典:inFace公式サイト

今回の資金調達によって同社はシャオミのエコシステムに正式に加わり、調達した資金で新商品の開発やプロモーション、海外市場の開拓などを進めるという。inFaceはすでに世界28都市で販売されているが、シャオミのネットワークを利用することで、さらに販路を広げていくと思われる。

メイクアップミラーや美顔器などを製造・販売する「AMIRO」を運営する深圳市宗匠科技は最近、シリーズCラウンドで数億元(数十億〜百数十億円)を調達したが、同社も2017年にシャオミらがリードするプレシリーズAラウンドで資金調達をしている。このことからも、シャオミはかなり早い段階から美容機器市場を注視していたことがうかがわれる。

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メイクアップミラーで名高い「AMIRO」
出典:AMIRO Tmall旗艦店

2015年にローンチされたAMIROは、LEDで顔をライトアップし、鏡面の明るさなどを調整でき、一般に女優ミラーなどとも呼ばれるLEDメイクアップミラーや脱毛器などを販売している。報道によれば、AMIROのメイクアップミラーの累計販売台数は2020年11月のセールイベント「ダブルイレブン」までに100万台を突破し、3年連続でメイクアップミラーカテゴリーの1位だった。

日本でもシャオミなどの販売代理店であるTJCを通じて製品を販売しており、ハンディミストは2019年にグッドデザイン賞を受賞した

低価格の新興ブランド台頭が美容機器市場を底上げへ

中国の調査会社 前瞻産業研究院によると、2019年の美容機器市場規模は前年比30%増の65億元(約1,079億円)と急激に伸びている。その要因の1つは、アンチエイジングニーズの高まりにあるとみられている。

CBNData(第一財経商業データセンター)のアンチエイジングに関するレポートによると、女性のスキンケアに対するニーズはアンチエイジングが最も多く、34%に達した。美容に年間1万〜3万元(約17〜51万円)を消費する中国人女性は23.6%、3万元(約51万円)以上は3.9%だが、これら全体の約3割を占めるユーザーが最もお金を使う先はエステサロンやスパで、2位が医療美容、3位が半永久的/永久的なメイクアップ、4位が美容機器だった。

また、一般の消費者にも手が届く価格になってきたことも大きい。美容機器はこれまで海外ブランドが強く、価格も高額で、美容への消費金額が大きい女性は美容機器をアンチエイジングのための選択肢にあげるが、可処分所得がそこまでない層には、興味はあっても簡単に手が出せないのが実情だった。

そこに中国発の新興ブランドが次々登場することで、価格破壊が起きている。たとえばinFaceの音波洗顔器は200元(約3,400円)程度で、フィリップスやパナソニックの低価格帯アイテムが600〜800元(約1万〜1万3,000円)程度で販売されていることから考えると、消費者の感覚としては3分の1〜2分の1ほどになる。こうした低価格帯製品が普及することで、これまで買いたくても買えなかった層が購入できるようになり、市場が底上げされているのだ。美容機器市場は当面のあいだ高い成長が見込まれている。

Text: チーム・ロボティア(Team Roboteer)
Top image: COSBEAUTY JAPANプレスリリース

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