AIに振り回されないために、企業は自社パーパスの浸透が必須【美容業界における生成AIのインパクトを考える(2)】
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テキストや画像、動画の生成AI(Generative AI)は、日本政府のAI戦略会議で「産業革命やインターネット革命よりずっと大きなものになる」と分析されるほどの社会へのインパクトが想定されている。美容業界のビジネスパーソンとしてどのような展望を描けばよいのか、イノベーション・AI関連分野に知見を持つ識者に、「生成AIがもたらすインパクトとすぐそこにある近未来の社会」についての洞察を聞くインタビューをシリーズで掲載する。第2回は美容業界とそのイノベーションに詳しい事業開発コンサルタント 秋山ゆかり氏だ。
生成系AIだけでなく従来の識別系AIを組み合わせて考える
「OpenAIの『ChatGPT』の登場が社会に大きな衝撃を与えたことから、テキスト生成系AIに注目が集まりがちだが、その全体像をまずは把握するのには、4つのタイプを理解すればよいと思っている」と、秋山氏は説明する。
「1つめがChatGPTに代表されるテキスト生成系で、Webのテキストボックスに質問や要望を書きこむと、AIがその内容を解析して適切な答えを返してくれるもので、自然言語でやり取りができる。2つめはMidjourneyなどで知られる画像生成系だ。こんな画像が欲しいという指示(プロンプト)を出して欲しい画像を作らせたり、既存の作品を10枚からときには数百枚読み込ませて似たパターンの絵を制作させたりができる。3つめは、RunwayのGen1(2023年6月アップグレード版Gen2を発表)というAIモデルのような動画生成系で、たとえば、夏の草原を帽子をかぶった女性が歩いている30秒のショート動画など、求めているイメージを伝えると1分ほどで制作してくれる。4つめが音声生成系で、音声データを入力することによって、その音声の特徴を学習して新しい音声データを生成できる。この分野はマイクロソフトが以前から力を入れており、VALL-E を開発して、女子高生AIりんなに歌を歌わせたり、VTuberとしてデビューさせたりしている」(秋山氏)
これらの異なるタイプの生成AIを組み合わせることで、シナリオを自動生成、背景やモデルも自動生成、動画撮影も自動生成、そこに、誰かの声をもとにAIが作った音声をかぶせることで、AIがまるごと1本のCMなどを作ることができる世界が待っている。広告産業や映画産業の現場が大きく変貌することが予想される。
ただし秋山氏は、「企業やブランドが生成系AIを実装するだけでは不十分だ。これまで使われてきた画像や音声認識といった識別系AIなど、ほかの技術と組み合わせて、どこまで質の高いサービスを構築してユーザーに提供できるかが、企業が成功するための肝となる」とする。
識別系AIとは、AIにあらかじめデータを与えて正しい答えを学習させておくことで、入力されたデータに対して、「合っている」「間違っている」かを識別する。製造現場で、製造した製品が規格に合致しているか、不具合はないかなどを判定したり、契約書の文章などにミスがないかを判断するほか、トレーサビリティの可視化といった用途に識別系AIは力を発揮する。
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