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「Co-Learning」、企業向けアプリで学べるデジタルマーケティングのAtoZ

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進化の早いデジタルマーケティングのスキルは、継続的かつ効率的に学ぶ必要がある。ドクターシーラボでの経験をはじめとして美容業界のデジタルマーケティングにも精通した株式会社シンクロ代表取締役社長の西井敏恭氏が、誰でもデジタルマーケティングを初歩から学べるアプリ「Co-Learning(コラーニング)」を開発した。ユーザーと導入企業のそれぞれのメリットを探る。

もはやデジタルマーケティングは、商品やサービスの販売だけでなく、HRやIR分野でもマストの知識だ。属人的あるいは独学になりがちなこの分野を、アプリで誰でも学べるようにしたのは、西井氏の知識と経験によるところが大きい。

2019年9月7日。デジタルマーケティングを学べるe-Learningアプリ「Co-Learning(コラーニング)」の提供が開始された。デジタルマーケティングのスペシャリストである西井氏の試みは、コンサルタントなど外部に頼るだけでなく自社で「マーケターを育てる仕組みづくり」があれば、組織は自走でき、さらに伸びるという実体験からだ。

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シンクロの代表取締役社長・西井敏恭氏
撮影: 編集部

西井氏は、自ら起業したシンクロでマーケティング支援・教育事業などを展開するかたわら、オイシックス・ラ・大地株式会社で、チーフマーケティングテクノロジスト(CMT)として従事している。前職ではドクターシーラボに在籍しており、化粧品など美容業界のマーケットにも明るい。そんな西井氏率いるシンクロがコラーニングの提供をはじめた理由は何か。

「シンクロを起業して約6年が経過しようとしているが、これまでコンサルティング業務でご一緒したクライアントの方々には成果を実感してもらっているとの自信があった。また、いろいろな業種に関わる機会があった結果、現場が強い企業は絶対に伸びるという確信が生まれてきた」(西井氏)。

このように、現場スタッフのマーケティングの意識が高く、能力が高い人がいればいるほど業績が上がることを日々の業務を通して再認識した西井氏だが、一方でデジタルマーケティングを専門分野にする人材に対しての課題も感じたという。

まず、デジタルマーケティングの分野には“20年プレイヤー”がほとんどいない。大企業などでは担当者が異動することも少なくなく、現場のノウハウが溜まらないケースがしばしばだ。それゆえに、ほとんどの企業が新入社員や若い社員をスキルアップさせたいと考えていても、教える人材がいないという実情がある。

しかも、デジタル分野では一発のアイデアだけで商品が爆発的に売れるということはそう多くない。良い商品を、継続的なデジタルマーケティングによって支えられるチームをつくる必要がある。そこで、西井氏をはじめとするシンクロが蓄えてきたノウハウを、安価かつ効率的なフレームワークとして提供しようと考え、形にしたのがコラーニングだという。

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写真提供:シンクロ

「デジタルマーケティング周りの人材不足は日本全体の問題。しかも、そのルールやトレンドは数年で劇的に変わってしまう。私たちのような会社がコンサルティングできる範囲も限られており、属人的ではなく、継続的にアップデートできる仕組みにできないかと考えた。経営者がいかに優秀な戦略を立てても、しっかりとした戦術が組めないと成果が出ない場合が往々にしてある。逆に戦術をしっかりと現場が理解していれば、立てられる戦略に幅が出る。各企業の現場で戦術を体系的に学べるアプリをつくり、日本のマーケティングを底上げする。そのような意気込みで開発を続けている」と西井氏は語る。

マーケターを育てるコミュニケーション型学習アプリ

では実際、コラーニングはどのような中身なのか。まずコンセプトとしては、名称にもあるように「ともに学ぶ」ための機能が多く取り入れられている。コンテンツは「デジタルマーケティング業界のトッププレイヤーたちから提供してもらったもの」(西井氏)で、その内容は常に最新版にアップデートされる。一方で、「このコンテンツが面白かった」「ここが分かりづらい」などの意見、またNPS(ネット・プロモーター・スコア)などを含むアンケート結果など学習者のフィードバックも随時取り入れていく。システムの裏側では細やかにデータが収集されており、その分析結果がコンテンツに反映されていく仕組みだ。

西井氏は「詰込み型の教科書的な教育アプリではなく、“拡散型の学習”を可能にする仕組みを充実させていきたいと考えている。学習者が知りたい内容、知らなければいけない内容をすぐに学べる学習効率が高いアプリが目標だ」とする。そのため、UIには、LINEなどメッセンジャーアプリのように、相互コミュニケーションを促すデザインを取り入れた。

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コラーニングの画面キャプチャー

また、学習効果を高める工夫として、各所で覚えておきたいことをクリップして自分自身のToDoを書き込むこともできる。

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ユーザーからのフィードバックを汲み取り、常にアプリに最新のコンテンツとして反映するためには、本や動画などのメディアには限界がある。その点、コラーニングではコンテンツの追加もスピーディで、内容を充実させていくことができる。また、社内で各学習者の進捗を確認・可視化できる機能も組み込んだ。上司が部下のスキルを把握したうえで学習を促すなど、組織として能力を高めるためだ。

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それぞれの経験値、学習時間、
修了コンテンツ(チャプター)数
などからランキングが社内で見られる

西井氏は、デジタルマーケティングの知識はいまや「英語」のようなものだと表現する。どの企業にあっても、そのスキルは歓迎・重宝されるだけでなく、もはや必須になってきているからだ。しかしながら、英語の「TOEIC」のように学習状況を数値化できる基準がまだない。「コラーニングをデジタルマーケティングのTOEICのような位置づけにしていく」というのもシンクロが掲げる大きな目標のひとつだ。

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コンテンツ改善のため、内部では
NPSスコアを集積していく

美容業界にも不可欠なデジタルへの理解

デジタルに対する理解、またその戦術や知識は、マーケター以外の現場担当者にとっても必要不可欠になっていると西井氏は話す。たとえば、人事など採用部門において、その傾向は顕著だ。昨今、優秀な人材は人材派遣会社などに登録せず、自ら情報を収集して興味がある企業に直接応募してくる。そうなると、採用側も人材と接点を設けるためには“デジタル空間での付き合い方”を学ぶ必要がある。また、ネットの情報で株価が大きく上下する現代においては、IR担当者にとってもデジタルマーケティングの知識は必須となる。

「通勤時間を利用して毎日15分などの隙間時間を効率的に活用でき、今後はTOEICのように600点の人が800点、0点の人が200点をそれぞれ目指して、デジタルマーケティングを学んでもらえるサービスにしていきたい。もちろん最終的には英語と一緒で、現場で実践するしかないが、まずは入口でマーケティングの楽しさを実感してもらいたい」と西井氏は考えている。

美容業界においても、デジタルへの理解を日々アップデートしていくことは欠かせない。また、マーケティングそのものへの理解も同時にアップデートしていく必要がある。

インターネットが普及する以前、マスマーケティングがまだ有効だった時代には、商品開発がすなわちマーケティングだった。良い商品をつくり、低価格で売る。それが成果を出す方程式のほぼすべてだった。しかし、現在は「いくら商品が良くても、それだけでは売れない時代になった」と西井氏。

ユーザーのフィードバックをそれぞれの製品に反映し、いかに顧客の価値観に寄り添えるかが勝負となるのだ。言い換えれば、コミュニケーションの量と質が重要であり、「売れ続けるための仕組みづくり=顧客を理解し続けるための仕組みづくり」が競争力の源泉になると西井氏は指摘する。その仕組みづくりのためには、デジタルの力は欠かすことができない。

「化粧品は競合も多く、薬事法などの関係もあり、成分そのものだけでは大きく差別化して訴求することは難しい。顧客の価値観を正しく把握し応えていけるか否かで、業績がシビアに問われる業種になっていくだろう」。西井氏が、マーケティングすなわち、顧客を理解し続けるための仕組みづくりが非常に大事になってくるとするゆえんである。

コラーニングの導入金額は月額10万円から(1社10人までの基本料金、人数追加は従量課金)だ。現在、8~9社が利用しており導入予約待ちの状況となっている。西井氏は、フィードバックとコンテンツの中身の精査が整い次第、順次販売を拡大していくとしている。デジタルマーケティングへの間違った知識や偏見は、予算を浪費させてしまうだけでなく、大きな機会損失を招く要因にもなる。コラーニングなどのような、現場の能力を効率的に高めていく方法を模索することが求められている。

Text: 河鐘基(Jonggi HA)
画像提供:株式会社シンクロ
Top image: Hal Gatewood via Unsplash

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