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AmazonがARバーチャルメイク導入、ライブモードも。美容に注力する理由を聞く

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大手化粧品メーカーやコスメECサイトが、ウェブサイト、アプリ、店頭などに、ARによるバーチャルメイクトライアルを続々導入しているなか、ついに、Amazonもバーチャルメイク機能の実装を開始した。レディー・ガガが立ち上げた新コスメラインの独占販売を発表するなど、美容分野へのAmazonの攻勢が目立ってきている。

米中に比べてEC化率が低いとされる日本。2019年4月に発表された経済産業省の調査結果によれば、2018年の化粧品・医薬品カテゴリーのEC化率は5.80%、EC市場規模は6,136億円とされている。だが、世界最大級の総合オンラインストア・Amazonは日本国内のパーソナルケア関連商品の売上は確実に伸びていると自信をみせ、コスメなどビューティー分野の販売にさらに力を入れていく方針だ。事業担当者に最新のAmazonのコスメ戦略を聞いた。

アマゾンジャパン消費財事業本部
ヘルス&パーソナルケア事業部/
ビューティケア事業部 宮本貴臣本部長

顧客の利便性を高めるのがバーチャルメイクの目的

2019年6月、総合オンラインストア・Amazon(日本)のモバイルサイトとショッピングアプリ上にAR・AI技術を活用したバーチャルメイク機能が米国と足並みを揃えて実装された。これにより、ユーザーは購入に先立ち、実際にメイクした際の仕上がり具合や雰囲気をデジタル上でお試しすることができるようになった。この技術を提供するのは、同分野のリーディングカンパニーのひとつであるロレアル傘下のモディフェイス(ModiFace)だ。アマゾンジャパン消費財事業本部の宮本貴臣本部長は言う。

「モディフェイスは、バーチャルメイクアップの分野では先駆けの企業で、100以上のブランドと提携した実績を持つ。写真に撮ったかのようなリアルな仕上がりや、色の再現性の完成度は他に類をみない。具体的な数字は公表できないが、日本で機能実装し約1ヶ月が経過した現在、想像以上の反響をいただいている。事業担当部署としても好感触だ」(宮本氏)。

実装されたバーチャルメイクには、「写真撮影ORモデルを選ぶモード」と「ライブモード」(iOSのショッピングアプリでは未対応)がある。前者は自撮りした自分の顔写真をアップロードするか、モデルの顔上でトライするもので、後者はカメラを通じてリアルタイムでメイクを試すことができる。対象となるのは、リップカテゴリーの商品群で、日本ロレアル、資生堂、カネボウ、コーセー、花王の5社180ブランド、合計890点以上のリップカラーである。

Amazonのバーチャルメイクの
使い方解説

画像提供:アマゾンジャパン

宮本氏は「国内・海外を問わず多くのメーカー、ブランドの商品をバーチャルメイクで試せるようにしていきたい。またリップだけでなく、アイシャドウ、ファンデーション、ヘアカラーなど他の商品群をデジタル上でトライできるよう、グローバルと足並みを合わせて順次対応していく計画だ」と今後について明かす。

今回、Amazonがバーチャルメイクを実装した最も大きな理由は、「お客様にとっての利便性の向上」だと宮本氏は語る。Amazonの強みは「品揃え」、「価格」、そして当日配送などプライム会員向けサービスに象徴される「利便性」にある。ただこれまで、顧客がコスメをECで買う際、商品が本当に自分に合うのか事前にイメージしにくかった。そこで、気に入った商品をオンラインで試してからそのままシームレスに購入し、スピーディな配送ですぐに手元に届くという、Amazonらしい購買体験をより豊かにするために、バーチャルメイクの導入に踏み切った。

Amazonの現場では、ここ数年で、顧客の購買行動は確実に変化を遂げていることを実感しているという。たとえば10年前であれば、店頭で販売スタッフから推奨された商品を実際に手に取り、説明を受けて中身を納得した上で買うという方法がマジョリティーだった。ただ現在では、自分がフォローしているインフルエンサーがSNS上で勧めているものや、口コミで人気になっている商品を、試用せずにそのまま買うことに抵抗を持たない人々がメジャーになってきている。ある意味、ネットでコスメやビューティー関連商品を買ってもらえる環境が整ってきたとも分析できるが、それでも顧客の本心としては、どのような仕上がりになるかを事前にチェックできればより良いはずだ。同時にEC側には返品率が下がるという利点も見込める。

実際のところ、Amazonの日本国内のビューティー事業(化粧品、スキンケア、ボディケア、ヘアケア、シャンプーなど商品を含む)は、大きく伸長しているという。宮本氏は「同事業の2018年の売上は2013年比の5年間で5倍の規模。年平均にして40%増だ。特に化粧品の売上規模の伸びが顕著」と明らかにする。これを受け、Amazonとしては今後、バーチャルメイクの導入をきっかけに化粧品を購入する顧客を増やし、その結果としてさらなる売上拡大に繋がるようなサイクルをつくっていきたいとする。

プライムデーの記者会見の様子

レディー・ガガの新コスメブランドを独占販売

Amazonは、プライム会員のためのビッグセール「プライムデー2019」を記念して、東京・大阪・新潟の3都市同時開催で「プライムのある暮らし」体験イベントを開催した。7月13~15日の3日間にわたり、スカイツリータウンに設けられた東京会場をはじめとする各会場では、「フューチャーショールーム」ブースを設営。スマートスピーカーのAmazon Echoに実際に自分の声で話しかける体験や、現実世界に家具や家電を実寸大で3D表示する「ARビュー」体験のかたわら、「バーチャルメイク」の実体験も提供し、新しい購買スタイルをアピールした。

イベントに先立つ記者会見では、レディー・ガガが発表した新ビューティブランド「HAUS LABORATORIES(ハウスラボラトリーズ)」のグローバルリテーラーとしてAmazonが独占契約を結び、日本国内ではAmazon限定でプライムデーから予約販売を開始することを発表した。レディー・ガガは、商品開発はもとより、デザインやモデルの選定など、HAUS LABORATORIESのマーケティング全般にも関わっているとされ、Amazonとエクスクルーシブな販売契約を結んだ、初めてのメジャーなプレステージコスメブランドとなる。

Amazonが日本国内で独占販売する
レディー・ガガの
新ブランドHAUS LABORATORIES

レディー・ガガはBusiness of Fashionとのインタビュー のなかで、セフォラやアルタビューティなどのリテーラーではなく、Amazonをパートナーに選んだ理由に、「多くの企業は私のやり方、物の見方や考え方が、彼らとそぐわないとなると、一部を変更してくれないかと言ってくる。でも私の答えはノー。ノーチェンジ、ノーディール。でも、Amazonは違った。“ぜひ、やりましょう。みんなの美しさで世界を変えましょう”という感じだった」と答えている。Amazonがレディー・ガガのコンセプトや選んだイメージに全く口を出さずに、自由を約束したのが決め手だったようだ。ニュートラルなチャネルとして、セレブのブランドから新興スタートアップ、さらにはPB(プライベートブランド)のBelei まで、さまざまに異なるブランドをそのまま棚に並べていくAmazonのオープンな姿勢がしのばれて興味深い。

テクノロジーで顧客体験を変える次の施策は?

海外では、英Amazonが小規模なD2Cブランドの育成を掲げて、英国各都市のショッピングストリートに、こうした無名の新興ブランドが期間限定で実店舗を出せるポップアップ・プログラムを開始したとのニュース もある。グローバルな巨大リテーラーの日本での次の一手が、今後の国内の美容ECビジネスの流れを占う鍵となることが期待される。

Text: 河 鐘基(Jonggi HA)

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