化粧品業界のマーケティングにおける課題を共有、Cosme Summit 2019
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多様化し続けるメディアや市場トレンドを正確に捉え、広告を設計することは容易ではない。化粧品業界のマーケティングにおいて、各社はどのような取り組みをしているのか。クリアすべき課題は何か。「Cosme Summit 2019 」での多角的なパネルディスカッションから、今後進むべき方向性を探る。
2019年7月3日、アライドアーキテクツ主催により、化粧品業界に特化したマーケティングサミットとしてCosme Summit 2019が開催された。予想を大きく上回る参加申込みがあり、急きょ300名収容可能な会場に場所を移したにもかかわらず抽選となり、関心の高さがうかがわれる。
冒頭、アライドアーキテクツの村岡弥真人CPO(Chief Product Officer)は、ソーシャルテクノロジーによる生活者マーケティングの実現を支援する同社の立場から「市場の変化に企業が追いつけていない」現状を取り上げ、「マーケティングにおける課題を共有することで、よりよい未来を創出する」という今回のサミットの目的を述べた。
では、彼らのいう“変化”とは具体的に何なのか。それはひとことでいうなら、デジタルの世界では「広告が嫌われる」世の中になったということだ。ダイレクトに製品の良さをうたっても消費者は懐疑的で、広告よりも、家族や友人など自分が信じている人の紹介や、感性が似ている人のクチコミを信用する。また、情報がありすぎるソーシャルメディア上では、欲しい情報にだけアクセスしたい欲求も強い。いらない情報に追いかけられるのは迷惑なのだ。あわせて、嫌うというよりむしろ、興味のない広告はそもそも見ていない、覚えていないという層が大多数という指摘もされた。
左から、モデレーターの村岡弥真人氏、
アテニアの新海喜顕氏、
カネボウの中根志功氏、
そしてサンスターの兒嶋仁視氏
UGCを活用しユーザーコメントを狙って広告
そんな状況下で、「コスメブランドが直面する広告のリアル」をタイトルに、企業の施策をひもとくパネルセッション1で、ユーザー生成コンテンツ(UGC)を活用したマーケティングを行なっていると明かしたのが、登壇者の1人であるサンスター ・ダイレクト営業部デジタルグループ長代行 兒嶋仁視氏だ。新規獲得目的の広告を一度既存顧客に配信し、「自分が使っている商品の広告がタイムラインに現れるとリアクションしたくなる」顧客心理を利用してエンゲージメントを貯めた。こうした“いいね”やコメント、シェアなどのエンゲージメントが貯まったクリエイティブは、広告ロジック上、良いクリエイティブと判断されて広告が出やすくなり、広告費以上のリーチが実現可能だ。通常とは逆に、媒体計測よりも、実データベースでの購入件数が多くなるともいう。
また同社は、社内において「クリエイティブ選手権」を開催している。これは、同社のスキンケアライン「エクイタンス」を素材に「自分がSNSにアップするなら」と題して1枚画像のクリエイティブ案を募集するもので、集まった全クリエイティブを出稿したところ、かなりの反響を呼んだものがいくつかあったという。よい意味で「素人っぽい」突き抜けた作品が出てきて、パートナー企業に任せがちなクリエイティブを再考する意味で、多くの気づきが得られたとする。「社員が一番のユーザーである」という兒嶋氏の言葉は参加者にも説得力があったようだ。
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