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中国でのネイル需要増、MissCandyなど人気ブランドやAIネイルプリンターも登場

◆ English version: Nailing it in China: Spike in demand for apps and DIY devices for beauty at one’s fingertips
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中国のネイル市場は約3年で倍以上の伸びを示し、このコロナ禍では自宅で自分でネイルをするユーザーも増えた。中国の現地ブランドやネイルサロン、スクール、さまざまなアプリ、さらには1本40秒で完了するAIネイルプリンターなども登場。活況を帯びる市場を俯瞰する。

中国の調査会社iResearchによると、中国のネイル市場は2014年の580億元(約8,990億円)から2017年には2倍以上の1,200億元(約1兆9,000億円)にまで拡大した。事業セグメントは顧客サービス(サロン)、プロダクト、スクールの3つに分けられるが、最もボリュームが大きいのは顧客サービスで950億元(約1兆5,000億円)。以下、製品の153億元(約2,300億円)、スクールの97億元(約1,500億円)と続く。

顧客サービスについては、2017年時点で中国のネイルサロンの数は27万軒を超える。ネイルの施術は広いスペースを必要としないため、開業のハードルが低いことが背景にある。チェーン展開しているサロンも存在するが、フランチャイズ方式が多い。中国大手ネイルサロンチェーンの「進巍美甲」は約1,000店舗を展開しているが、ほとんどがフランチャイズだという。

プロダクトに関しては、米国の人気ネイルブランドO・P・Iやアモーレパシフィック傘下のイニスフリーなど海外ブランドが多数入ってきているものの、中国ブランドも少なくない。なかでも豊富なカラーバリエーションで人気なのは「MissCandy(糖果小姐)」だ。

杭州莱凡網絡科技が2014年にローンチした同ブランドは、デジタルマーケティングに力を入れ、Weiboのフォロワー数は22万以上、SNS型ECアプリ「RED(小紅書)」のフォロワー数は19万以上、TikTokの本家中国版「Douyin(抖音)」のフォロワー数は39万弱を誇る。特にREDでの投稿はユーザーからの反応がよく、淡黄色のマニキュアに貝殻と金箔をあしらい春の日差しをイメージしたという投稿には、1万近い「いいね」が付いている。

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RED上にある「MissCandy」のページ
出典:RED

同ブランドはECにも積極的で、REDやDouyinで販売しているほか、アリババグループのTmall(天猫)でも販売。一番の売れ筋商品である有害物資を不使用とうたう無臭マニキュアは、販売数が累計53万セットを超えている。

出張ネイルから始まったO2Oアプリ「HELIJIA」

中国では、前述した3つのセグメントの市場ニーズに合わせたさまざまなアプリが存在する。特にユーザー数が多いのはマッチングアプリの「HELIJIA(河狸家)」とSNS型ECアプリの「美甲帮」だ。

HELIJIAは北京河狸家信息技術が2014年にローンチした、ネイリストと自宅での施術を望む顧客を繋ぐマッチングアプリだ。宅配サービスの利用が普及している中国では、ネイルの出張サービスも盛んで、iResearchによると、実店舗の有無を問わずネイル施術サービスを提供する事業者の24%が出張サービスを行っている。こうした市場環境がHELIJIAを生んだといえる。

同アプリを立ち上げると、まず施術のコース名、価格、ネイリストが、ネイルのデザイン見本画像とともに、わかりやすくリスト化されて表示される。コースを選択すると、ほかのユーザーによるコースの評価やネイリストに対する星評価、予約可能時間などを閲覧でき、ネイリストが所属する店舗のページを見ることもできる。気に入ったコースを見つけたらユーザーは日時を予約し、アプリ上で支払いまで済ませる仕組みだ。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染予防のため、同アプリでは現在、オンラインで検索や予約が完結するのに加え、ネイリストは訪問先の顧客に対して自分の体温を申告し、マスク、手袋を着用したうえで施術することなどを標準サービスとしている。

同社は2015年2月、シリーズCラウンドで5,000万ドル(約55億円)を調達すると、次々とサービス対象ジャンルを広げ、HELIJIAの機能も拡張した。現在ではネイルはもとより、メイク、ヘアスタイリング、プチ整形、フィットネスなどカテゴリーは多岐にわたり、出張だけでなく店舗でのサービスの予約も扱い、EC機能も実装している。同社の公式Webサイトによると、2018年3月時点で施術者の登録者数は2万人にのぼり、ユーザー数は1,000万に達する。

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衛生管理を強調するHELIJIA(左)。
ネイリスト情報とメニューを
コンパクトに表示(右)
出典:HELIJIAアプリ

HELIJIAは実店舗の展開にも進出。2019年5月から、アリババグループが運営するスーパー「盒馬鮮生(Hema Fresh、フーマー)」内に出店した。注文や支払い、商品検索においてECと店舗がシームレスに連携し、OMOを標榜する盒馬鮮生はHELIJIAにとって親和性が高いとみえ、出店数はすでに約100店舗に達している。11月には、同スーパーの広東省深圳市の店舗内に旗艦店をオープン。ここではネイルだけでなく、高級美顔器トライポーラなどによる施術も提供している。

業界従事者のためのSNS型ECアプリ「美甲帮」

一方、広州牧雲網絡科技が2013年にローンチした美甲帮はSNS型ECアプリだ。ユーザーはネイルサロン経営者やネイリストで、エンドユーザーがネイルスクールの生徒や一般ユーザーといったB2B2Cビジネスモデルだ。iResearchの調べでは、ネイル業界従事者の26.5%が同アプリを通じてネイル関連用品を調達しているという。

ECでは、マニキュアやシール、ジェルネイル用ライトなど各種ネイル用品のカテゴリーに加え、まつ毛メイクアイテムも加えられている。中国で人気の「日本スタイル」のネイルを意識した表記もあり、たとえば「パーツ/シール」のカテゴリーに入ると、項目名に「トレンド新商品」「ダイヤモンド飾り」などの日本語が併記されている。また、同アプリはライブコマース機能も実装している。

同アプリのSNSでも「ネイル交流」「画像投稿」「店舗経営」などのカテゴリー分けがされ、多くのユーザーが自分の作品やオンライン授業の告知などを投稿。また求人、求職情報を発信する場にもなっている。

同社はまた「美甲帮研習社」というネイルスクールを中国各地で運営している。アプリのメニューには「ハウツー動画」があり、有名講師のレッスン動画を無料あるいは課金にて視聴できるほか、自社スクールの紹介ページへ誘導する仕組みも設けている。紹介されているカリキュラムには「日式」を冠し、日本スタイルのネイルが学べることをアピール。バナー広告によると「全国最大の日式学校」だという。

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美甲帮研習社のカリキュラムや
商品の多くは「日本」を意識した内容
出典:美甲帮アプリ


同社は2016年6月、シリーズBラウンドで1,000万ドル(約11億円)を調達した。同社の公式Webサイトによれば、登録ユーザー数は約1,000万で、MAU(月間アクティブユーザー数)は約150万に達する。

こうしたネイル専門アプリに限らず、ネイルがテーマのコミュニケーションはネット上で拡大している。特に盛り上がっているのは「90后(1990年以降生まれ)」のユーザーが多いREDだ。最近では、ハッシュタグ「#清新美甲(すがすがしいネイル)」がバイラルし、夏にぴったりの涼しげなデザインのネイルの画像や動画の投稿が急増した。同ハッシュタグの閲覧数は5億5,000万回を超えている。

わずか40秒でプリントするAIネイルマシン

一方で、テクノロジーがネイルの施術そのものも変えつつある。

SUNVALLEY傘下の深圳市丹芽科技は2019年5月、「美甲涂涂(ANJOUNAILS)」ブランドからAIネイルプリンターを店舗向けに発売した。開発をスタートしたのはその2年前で4,700万元(約7億3,000万円)以上の開発費を投入。50以上の特許を申請中だという。回折格子(グレーティング・種々の波長が混ざった光を波長ごとに分ける技術)とアルゴリズムによる位置決めで、既存製品よりも精度の高い、より正確に爪にフィットするネイルプリントを実現したとする。

同マシンのターゲットは店舗であるため、施術時間短縮につながる高速プリンティングにこだわっている。AIが爪の輪郭を識別し、指1本のネイルが完了するまでにかかる時間はわずか40秒だ。

同時に開発されたアプリでは、ガイドラインに従い手の甲を撮影すると、自爪の上でさまざまなネイルパターンをARで再現が可能。デフォルトのデザインパターンだけではなく、自分で用意したパターンでもバーチャルネイルができ、仕上がりの印象を確認できる。アプリ上でどのネイルにするかを決定したら、そのまますぐにプリントする仕組みだ。

タオバオ(淘宝)では、同マシンが4,580元(約7万1,000円)で店舗向けに販売されており、発売から半年に満たない時点で1,000台以上を販売。創業者の林鎮清氏は2019年10月の現地メディアの取材で、2020年5月に一般ユーザー向けの機種を発売すると述べているが、COVID-19の影響のためか、遅れているとみられる。

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美甲涂涂AIネイルプリンター 
出典:Weibo

親会社のSUNVALLEYはヘッドホンなどのデジタルガジェットを海外で販売しており、日本国内にも法人を有する。中国でこうした個人向けマシンがヒットすれば、日本に上陸する可能性もありそうだ。

中国でCOVID-19の感染拡大がピークに達した2~3月、多くのネイルサロンが長期間の休業を余儀なくされた。その影響で、自宅で自らネイルケアをする人が増えた結果、タオバオで検索すると、ジェルネイル用ライトのように、1ヶ月で3~4万個売れた商品カテゴリーも見受けられる。また、KANTARによるとTmall(天猫)での2月のマニキュア製品の売上は前年同月比179%増を記録した。

アプリの機能拡充に加え、こうしたネイルマシンが小型化、低価格化し、操作が簡単な家電化がさらに進めば、家で楽しむネイル需要は今後、ますます拡大すると見込まれる。

Text: チーム・ロボティア(Team Roboteer)
Top image:  marigo20 via shutterstock

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