蜂・ヘビ・ヒアリまで…美容・健康製品に期待される次なる毒は?
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あるものは神経系の障害を引き起こし、あるものは血液中の赤血球を破壊し、死に至らしめる場合もある。自然界に存在する毒は古くから人々を恐れさせてきたが、一方で毒がもたらす体への作用を活かし、美容・健康製品に活用されてきた局面も持つ。毒にアプローチしてきた美容・ヘルス業界の歴史を振り返り、今後期待されている新たな「毒」について紹介する。
古代エジプト時代の蜂毒活用「アピセラピー」
毒を活用した世界最古の美容・健康法と考えられるのが、西洋ミツバチの蜂針を利用した「アピセラピー」と呼ばれるものだ。ミツバチから毒針を抜き、それを体に刺し蜂毒を注入させ、抗炎症因子を誘発しリウマチなど患部の痛みを和らげるという療法だ。
アピセラピーは、紀元前2000年ごろの古代エジプト人の時代から行われていたと言われ、針を皮膚に刺す深さを調整するなどして、症状や体調にあわせて注入する蜂毒の量もコントロールしている。現代でも、女優のグウィネス・パルトロウが支持するなど世界中で行われているが、アピセラピーを繰り返し行いアナフィラキシーショックを引き起こし死亡した事例もあり、これまでのところは、民間療法や代替医療の域を出てはいない。
ただし、蜂毒(ビーベノム)を使ったコスメは、イギリス・キャサリン妃をはじめ各国のセレブたちが愛用していることから注目度は高く、Heaven Skincare(英国)、A.c. care(韓国)など、世界中のコスメメーカーが化粧品に利用している。
Image: Kai19 via shutterstock
美容・医療界で幅広く活用されている「ボトックス治療」の登場
1990年代後半から2000年にかけて、厚生労働省に効果を認められた毒の治療が登場した。それが、ボツリヌス菌を利用した「ボトックス(ボツリヌス)治療」だ。現在、美容業界だけでなく医療現場まで、世界中で利用されている。
しわ改善などの美容目的におけるボトックス治療は、アメリカでは2002年にFDA(米国食品医薬品局)の認可が、日本では2009年に厚生労働省の認可がおりている。アピセラピーのような民間療法ではなく、公的機関が効果を認め、さらに美容から医療まで幅広い分野で活用されているという点で、このボトックス治療は毒を利用した画期的な美容・健康法と言えるだろう。
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