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CHOOZE COFFEEは健康や美容ニーズで「カフェイン量を選べる」新コンセプト、その誕生背景

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欧米では健康志向からも、通常のコーヒーからカフェインを除去したデカフェコーヒーが浸透しているが、デカフェコーヒーの加工プロセスには課題も多い。その課題を解決し、サステナブルで高品質、かつリーズナブルな価格で消費者がカフェイン量を選べる仕組みをつくりたいと研究・技術開発を続けるスタートアップがストーリーライン株式会社だ。実験店舗として東京・日本橋にCHOOZE COFFEEをオープンし、検証を行いながら美容や健康ニーズからの「スペシャルティデカフェコーヒー」の需要を掘り起こすための取組みについて、同社代表取締役 CEO/CDO 岩井順子氏に話を聞いた。


世界4位のコーヒー消費国の日本で、デカフェ市場は0.6%

現在、世界のコーヒー市場は約10兆円規模で、そのうちスペシャルティコーヒー協会(Specialty Coffee Association)が認める高品質なスペシャリティコーヒー市場は約4兆円となっている。また、デカフェ市場は年平均成長率7%で成長しており、2027年までに28億ドル(約3,872億円)に達する見込みである。世界4位のコーヒー消費国である日本においては、デカフェ輸入量は全体のわずか0.6%と小さいものの、過去15年で約6倍に増大しており、さらなる成長が見込まれている。

ただし、デカフェコーヒーの生産プロセスや品質には、実は多くの課題がある。その課題に正面から向き合い、解決を図ろうとしているのがストーリーライン株式会社だ。同社は2018年に東京都で創業したデカフェコーヒーの製造およびコーヒーの輸入販売を行うスタートアップで、東北大学内にラボを設け、安全で高品質なカフェイン除去技術の共同研究開発を行っている。

ストーリーライン株式会社 代表取締役 CEO/CDO 岩井順子氏は、サードウェーブコーヒー(米国でのコーヒーブームの第3波)の牽引地とされる米国オレゴン州ポートランド駐在時に、コーヒーの美味しさに目覚めたという。ポートランドでは、近年の働き方の変化や健康意識の向上もあり、カフェやレストランはもちろん、スーパーでも良質なデカフェを入手できるのが当たり前なほど普及している。

ところが、岩井氏は帰国後、「娘の妊娠をきっかけに日本でデカフェコーヒーを探したところ、高価なのに品質が悪く、良質なものが増えているレギュラーコーヒー市場とはかけ離れた現状を知った」という。そして「なぜ、デカフェが美味しくなくて高価なのか」という原因を調べるなかで、いわば「スペシャルティデカフェ」市場に大きなビジネスチャンスがあることに気がついた。つまり、味や香りなど決められた評価基準を満たし、コーヒー豆の生産体制・加工工程・品質管理が徹底された品質の高いコーヒー豆を使用するといった、通常のスペシャルティコーヒーのデカフェ版があまりにも少ないのだ。

ストーリーライン株式会社 代表取締役 CEO/CDO 岩井順子氏
プロフィール/海外の戦略デザインファームにてビジネスデザインコンサルティングに従事。米国在住中にスペシャルティコーヒーと出会う。娘の妊娠を機にデカフェコーヒーについて疑問を持ち、自らコーヒービジネスの課題解決に挑む。ストーリーラインでは、サービスデザインと会社全体のマネジメントを担当

デカフェの生産・流通が抱える2つの課題とその解決策

岩井氏によれば、一般的に日本で流通されているデカフェが他国に比べて高価で味わいも劣る原因は、「流通の仕組み」と「古い加工技術」にあるという。

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