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香りの価値を再定義、CODE Meeeのヘルスケア文脈のフレグランスソリューション

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日本におけるフレグランス市場は、パンデミックを経て、ヘルスケアやパーソナライズなど新たなアプローチとともに、家の中での需要増など変革の時を迎えようとしている。「香りとITの力で、世の中をアップデートする」というミッションでフレグランスビジネス最前線を切り拓くスタートアップ、株式会社コードミーは、コロナ禍だからこその需要で前年比400%の伸びをみせた。その背景と同社の戦略をひもとく。

前年比400%伸張、ヘルスケア文脈でフレグランス市場を後押しするCODE Meee

パンデミックで打撃を受ける化粧品業界だが、香水・フレグランスはメイクアップ製品などに比べると2020年10月以降、波はあるものの復調の動きをみせている。香水・オーデコロンの2021年1月の販売金額は、前年同月と比べ13%増だった(「経済産業省生産動態統計」より、2021年3月17日時点で加工して算出)。

2020年はヒット曲からドルチェ&ガッパーナの香水が話題になるなどのトレンド、天然成分を中心としたSHIROのフレグランス系アイテムが人気となるほか、在宅時間が長くなり、香りにこだわる人が増えていることが背景にあるだろう。

そこで注目を浴びているのが、パーソナライズした香りの提案だ。IBMとAI技術で協業し、日本産の精油をベースにしたパーソナライズアロマ「CODE Meee ONE」は、2020年は売上ベースで前年比約400%の成長を記録した。同ブランドを運営する株式会社コードミー 代表取締役CEO 太田賢司氏は、その理由をこう話す。

コードミーワン

パーソナライズアロマの
CODE Meee ONE

「香りの力でコロナ禍での課題を解決できるかもしれないと考え、2020年4月の段階でマスクに吹き付けるアロマスプレーを商品化した。マスク装着時の快適度を向上させると同時に、脳波解析を用いた感性値の計測結果から、ストレス値を下げる機能性を科学的根拠にもとづき示したことが好評だった。このアロマスプレーを入り口として、自身のコンディションにパーソナライズされたアロマが欲しいという顧客層がCODE Meee ONEにも興味・関心を持ち、流入してくれているという状況だ」

太田氏は、日本の大手香料会社でエバリュエーターとして10年の経験を積んだ香りのプロフェッショナルだ。香りを開発する専門職・研究職は、調香師やアプリケーターなどさまざまだが、そのなかでエバリュエーターは、香りそのものと「評価」をメイン領域として扱う。どんな香りが世の中に受け入れられるかを調査し、クライアント企業に提案しながら、実際に香りをつくりあげていく専門職である。香料・フレグランス業界において、研究開発とマーケターの両方を併せ持つ立ち位置ともいえる。

太田さん調香中

株式会社コードミー
代表取締役CEO 太田賢司氏

「コロナ禍のなかで、消費者は自分の体調をいたわることに強く意識を向けはじめており、香りに関しても、ファッションやライフスタイル的要素だけでなく、ヘルスケア文脈で利用されるシーンが増えている。我々が開発したマスクスプレーやパーソナライズアロマの売上が順調に伸びている理由も、香りをヘルスケア用途で利用したい消費者層の需要にマッチしているからだ」(太田氏)

太田氏はまた、パーソナライズされた香りや関連製品が、コロナ禍の閉塞感や孤独感を埋める機能として注目されていると分析。後述するが、香りから“自分以外の誰か”を感じることで、精神的な安定を求める消費者が徐々に増えはじめているとする。「ヘルスケアとしての香り」を求める消費者層の姿が、その分析からも浮かび上がる。

「VTuberとコラボした『HOLO AROMA!』のパーソナライズマスクスプレーも商品化したが、こちらは『ホロライブ』のファンの方々から好評を得ることができた。インフルエンサーが好む香りを共有することで、各消費者の孤独感が減少し、気持ちがハッピーになる効果があったのではないかと推察している」(太田氏)

マスクスプレーやCODE Meee ONEの利用者層の男女比は4:6といい、女性が若干多いものの、一般的なアロマ製品に比べれば男性からの支持も得ることができている。太田氏は「データを使ってパーソナライズするという差別化されたアプローチが、男性にも支持される要因のひとつだと考えている」と分析する。

オフィス空間や、医療施設へのソリューション・フレグランス事業への期待

CODE Meeeは香り×ヘルスケア文脈として、企業向けの「ソリューション・フレグランス事業」も展開しており、D2C事業と同様に伸びをみせているという。同事業では、オフィスやイベント向けに香りをデザインし、人々の「コンディションを最大化」することを目的として提供されるサービスだ。電通サイエンスジャムと協業し、脳波センサーを使って感性値を計測。リラックス効果や集中力向上、作品をより楽しめるよう覚醒を促進する効果など、クライアント企業の要望に沿って香りをカスタマイズし提供している。

脳波測定

脳波センサーを使った
香りの機能性解析

「空間の香りをデザインする企業はほかにもあるが、我々は独自の科学的根拠を示していくことで差別化を図っている。コロナ禍でリモートワークが普及し、需要低下を心配していたが、むしろ大手不動産会社やコワーキングスペース、外資コンサルティングファームなどからの依頼が増加している状況だ。スタッフのコンディションを最大化する健康経営という文脈で、企業も香りの力に改めて着目していると実感している」(太田氏)

また、今後は、医療機関や介護施設などでのソリューション・フレグランス事業にも力を入れていくという。2020年2月には、地域の中核病院としてがん治療や先端医療に力を入れる東京都江戸川区の江戸川病院と、緩和ケア領域への香りのテスト導入で臨床研究をスタートしたことを発表した。

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出典:コードミー プレスリリース

新しいコンセプトや利用シーンの提案など変革期を迎えるフレグランス市場

復調の兆しがあるとはいえ、2020年はフレグランス市場全体にとっては試練の年であったと太田氏は振り返る。2020年の市場規模は約380億円で、これは「対前年比で8割ほどに落ち込んだ数字」(太田氏)だという。

「香水の販売のメインチャンネルは百貨店だが、緊急事態宣言下で休業を余儀なくされ、大手ブランドは世界観を演出するイベントなどのプロモーションも展開できなかった。消費者側も外出機会が減り全体的に香水の需要が減少した」(太田氏)

消費者の嗜好性としては、パンデミック前後での変化はそれほど見られなかったと太田氏はいう。ライトで爽やかな香りを好む日本人の嗜好性もそれほど変わっていない。たとえば、シャネルのチャンス オー タンドゥル、ジョー マローン ロンドンのイングリッシュ ペアー & フリージアなどロングセラー品は、2020年もトップランキング入りした。フローラルベースでフレッシュな香りの人気は根強く、加えて柑橘系やソーピー(石鹸っぽい)な香りも引き続き好まれているという。

「ユニークだと感じたのは、紅茶をコンセプトにした香りが登場してきたことだ。SHIROからは、『アールグレイ オードパルファン』というEコマース限定商品が発売され、サボンは『オー ドゥ サボン ローズティー』というローズティの香りの商品をリリースした。コロナ禍では香水もEC販売が伸びている。紅茶は香りをイメージしやすいこともあり、関連商品が増えてきたのではないか」(太田氏)

ブランド側からは、紅茶のような新しい香り提案のほか、新たな利用シーンの提案も今後増えてくるだろうと太田氏は指摘する。シャネル ココ マドモアゼル ロー プリヴェのように、就寝時に使う「ナイトフレグランス」というコンセプトの香りも登場した。

「フレグランス業界では、主に外出時のファッション要素として香水を訴求してきたが、コロナ禍のなかで、家の中での需要に応えるようシフトしてきている。シャネル ココ マドモアゼル ロー プリヴェは、就寝前に髪やベットリネンに使うという生活シーン提案だ。月間の販売ランキングの20~30位以内に着実に入ってきている」(太田氏)

日本の香水市場自体は、横ばいか縮小傾向にあるものの、ルームフレグランスやアロマ、入浴剤などのライフスタイル系の香り関連商品は好調で、香りのマーケット全体としては潜在的な需要がこれからも増えそうだ。太田氏は、コロナ禍の渦中にあった2020年は「香りの価値が再定義された1年」と結論づける。

ナイトフレグランスなど新しいコンセプト、ルームフレグランス需要の拡大、かつSHIROのフレグランスのように「自然な香り」のほか、コードミーが掲げる「ヘルスケアのための香り」や「パーソナライズされた香り」といったトレンドは今後も続きそうだ。

「今後、フレグランス領域では、ビジネスモデルや消費者へのアプローチが異なるブランドやサービスが続々と登場してくると思う。CODE Meeeブランドとしては、精油を使ったアロマだけでなく、パーソナライズされた香水・フレグランスの展開も構想している。これまでにないフレグランスの価値を提供して市場を広げていきたい」(太田氏)

Text: 河鐘基(Jonggi HA)
Top image & photo: 株式会社コードミー

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