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新しい発想や素材で海外バイヤーの目を引く日本ブース。コスモプロフ・アジア2018

◆ English version: Japanese firms captivate overseas buyers with new materials and ideas
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毎年香港で開催され、世界各地から3,000社以上が出展し、来場者は8万7,000人を超える世界最大級のビューティ見本市コスモプロフ・アジア。ジェトロが主導する日本ブースには、高い技術力と独自のアイディアでユニークな製品を開発する企業が集まった。

ジェトロ(日本貿易振興機構)では、輸出に不慣れな日本の中小企業が海外進出を目指す支援として、コスモプロフ・アジアにジェトロ・ジャパンブースを設けている。ジェトロものづくり産業部生活関連産業課の春田麻里沙氏は、「ジェトロ・ジャパンブースへの出展は、主催者審査などを経て、上位20社が参加できるという仕組みになっている。その意味では海外で展開できる体勢が整った、厳選された参加企業が揃っている」という。

「今年のジェトロのブースでは特定のトレンドというよりも、長年他業種で培ってきた技術やノウハウを化粧品に生かして、世界中探しても他には作りようがない、ユニークな高品質製品を開発製造している企業がいくつもある」という春田氏の言葉どおりの日本ブランドをいくつか紹介しよう。

ジェトロものづくり産業部生活関連産業課の春田麻里沙氏 

目的別3Dフェイスマスク

1970年創業のニチエイは、近年の世界的マスクブームを陰で支える立役者である。顔の各パーツにぴったりと密着する3Dマスクの特許を取得したトップメーカーとして、世界中のブランドのOEM生産を行っている。

2020年に創業40周年を迎えるのを記念して、海外向けに自社ブランド「日本マスク本舗」を起ち上げ、保湿、毛穴引き締め、くすみの除去、リフトアップの4つの目的別マスクを2018年9月に発表した。今回のコスモプロフ・アジアは、新製品を世界へ披露する初の場である。

それぞれのタイプに必要な美容成分の処方に対して、もっとも機能的に相性が良い不織布素材を20種類以上あるレンジから選んで組み合わせており、マスクのプロフェッショナルならではのこだわりを発揮した自信作という。その完成度の高さで、会場では世界中からの来場者を唸らせていた。

酒粕パワーの美肌ファンデーション

一方、エントリーしたコスモプロフ・アジア出展企業のなかから、ヘア、メイクアップ、ネイル、ナチュラル、スキンケアの各部門で、1社に授与されるコスモプロフ・アジア・アワードのメイクアップ製品部門で受賞に輝いたのが、イザヴェルの「蔵元の雫 クリームファンデーション」である。

「蔵元の雫」シリーズは、175年続く京都の酒蔵「都鶴」から取り寄せる酒粕エキスを使用したスキンケアライン。日々酒を扱う杜人の手が白くすべすべの美肌であることに着目して開発された。

都鶴では、通常の2倍の酒粕を残すことにより、酒の味をよりまろやかにする製法を採用しているため、酒粕に含まれるビタミンCなどの美容成分が一般の酒粕に比べて濃厚だという。今回受賞したクリームファンデーションは、「美肌効果もあり、ライスオイルを含んでいるため滑るようになめらかで、下地が必要ないほど」とイザヴェル代表取締役の友國三枝氏は話す。12gで3,800円と価格も手頃な設定になっている。

日本では通販などにて販売中だが、海外進出を検討しており、コスモプロフ・アジアをきっかけに知名度の向上を狙っている。

マシュマロ泡でクレンジング

酒粕の次は「マシュマロ泡」だ。バイオテクノロジーとITの融合により、多彩な分野で事業展開するGEホールディングスのウェルネス事業の一環として、スキンケアラインやサプリメントなどの幅広いラインナップを扱っているGEウェルネスのブースを訪れた。

今回のコスモプロフ・アジアでは、土に含まれる植物性乳酸菌と酵母を配合した独自成分「BiProGe®乳酸菌」を使った石鹸、「陽鄙(ひなたひな)」を出品。ハチミツやオリーブオイルなど天然由来の保湿成分が溶け込んだ泡は、まるでマシュマロのようだ。界面活性剤不使用ながら泡立ちの良さが特徴だ。

この製品は、手荒れに悩んでいたバイオテクノロジー研究者が、「BiProGe®乳酸菌」研究中は肌が明るくきめ細やかになることに着目して誕生したという。海外向けにEDOBIOというブランド名を立ち上げ、浮世絵を使ったパッケージで日本らしさをアピールしている。

「ウーマンズ・ウェルビーイング」を推進

今回コスモプロフ・アジアに初出展し、来場者からも大きな反響を得ていたのが、女性のデリケートゾーンケアに特化したブランド、トレスマリアである。

元SUQQUの海外事業担当というキャリアを持つバルドゥッチ淳子氏は、それぞれの専門分野を持つ元同僚とともに「女性にしかできない事業をやりたい」と2017年7月トレスマリアをスタートした。「皮膚には詳しいつもりだったが粘膜については知らないことも多く、婦人科の医師と協力して製品開発をした」とバルドゥッチ氏。

シャクヤクエキス、乳酸菌、セラミドなどの7成分を複合させた「シャクヤクコンプレックス」、ザクロや薔薇エキス、ビタミンEなどの美容成分を使用し、合成着色料、パラベン、シリコン、石油系界面活性剤などはすべて無添加と、敏感な部位にも安心して使用できる品質にこだわった。

デリケートゾーンのケアは、日本ではこれまでタブー視されていたトピックでもあるため、製品開発や販売と同時に、女性にとって必要な知識と正しいケア方法を伝える啓蒙活動も大きな役割の1つになっている。

当初は30歳前後の女性がターゲットになると考えていたが、販売をスタートしてみると更年期を迎えた50代からの関心が非常に高かったという。日本とは異なり、デリケートゾーンのケアが20年ほど前から女性にとって常識となっている中国本土では、高品質な日本製品への期待が強く、「北京や上海の婦人科の医師がサンプルをまとめ買いするなどして、検討してくれている」と、中国マーケットからの手応えを感じている。

加熱もOKの美容酵素飲料

40年以上にわたる医療容器メーカーとしてのノウハウと、製薬会社などとの密なつながりから、独自の技術を生かした健康食品、化粧品、美容用品を次々と開発しているのがシントー化学だ。

たとえば同社の美容酵素飲料「エルゴチオネ 」は、強い抗酸化作用を持ち、かつ90~100℃に熱したり加工したりしても栄養成分が壊れないエルゴチオネインと、姫マツタケ・アガリクスなど、茸由来の成分を配合。100種類以上の果物と野菜にこれらを加えて仕込み、3年間発酵・熟成させて作られる。免疫力強化、シミやしわの抑制などのアンチエイジング効果が期待でき、ヨーグルトにかけたり、ジュースや炭酸で割って飲んだり、鍋に入れて加熱しても摂取できる。

また、同社は美容液成分をフリーズドライ化する技術の紹介もしている。フリーズドライにすれば防腐剤などの添加物が不要になるため、安全性と品質を向上しつつ、輸送コストの大幅な削減が可能だ。

海洋深層水を独自技術で活用

今年が3回目のジェトロでの出展という五洲薬品も、本社を構える富山という土地が持つ素材に加え、長年培った独自技術を活かした製品を開発製造している。

その素材とは、富山湾の300m以深にある深層水だ。光合成に必要な太陽光が届かずに無菌状態のまま低温で保たれているため、多彩なミネラルや栄養分などの天然成分が溶け込んでおり、人間の体液の成分にきわめて類似した水である。これを、独自開発した多段式海水分離技術によって、淡水、ミネラル濃色水、濃塩水に分離。それをさらに化粧水なら淡水とミネラル濃縮水、入浴剤ならミネラル濃縮水、濃塩水、塩など、用途に合わせて最適な組み合わせで再融合する技術も使用している。

海洋深層水から抽出した海塩をベースにしたミネラルバスソルト、スクワランオイルやツバキ油などを加えたボディスクラブ、ミストタイプの化粧水、アロマオイルを加えたバスアロマエッセンスなどの、深層水を駆使した「富山クオリティ」製品が来場者の注目を集めていた。

健康美容関連の幅広いジャンルの製品が並び、トップバイヤーが集うコスモプロフ・アジアの広大な会場のなかでは、新たなトレンドを生み出す出会いがそこかしこで起きている。

次回のレポートでは、会期中に開催された、世界の美容業界の最先端トレンドを学べるセミナーCOSMO TALKSからピックアップした講演内容を紹介したい。

Text&Photo: 甲斐美也子(Miyako Kai)

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