海外のメンズコスメトレンドを俯瞰すると若い世代のジェンダーレス意識がみえる
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男性用化粧品が日常になりつつある、そんなことを予感させた2018年のトレンドだが、その背景をデータからひもといてみたい。また、いままでのように男性はよりマッチョに、女性はよりフェミニンにというステレオタイプなアプローチよりも、若い世代はジェンダーレスなブランドに共感しはじめている。
「あのシャネルが、94年の歴史で初めて、男性用メイクアップラインを開始する」。これまですでに多くのメンズコスメが誕生しているが、老舗高級ブランドがついにメンズコスメマーケット参入に踏み切ったこの2018年のビッグニュースは、化粧品業界における、ひとつの象徴的な出来事だった。年々拡大する世界の男性用化粧品市場は、日本のみならず世界でもめざましい発展をとげ、2017年には総売上げ577億ドル(約6兆3470億円)に到達。2017年から2023年の年平均成長率は5.3%と予測され、2023年には786億ドル(約8兆6460億円)にのぼるとみられている。
2016年にはカバーガールが、2017年にはメイベリンが広告に男性モデルを起用。2018年9月にはアクロがFIVEISM × THREEとして、男性用メイクアップラインの発売を開始したほか、2019年春にもある大手ブランドがメンズラインを発表すると予想されており、男性用化粧品市場はグローバル規模で美容業界全体に大きな流れをもたらすことは間違いない。
その急速なマーケット拡大の背景にあるのは、欧米を中心とする海外の男性たちの間で起きたライフスタイルや思想の変化だ。男性用化粧品が次々と誕生する中で、直面しつつある問題とは一体何なのか、迫ってみたい。
男性化粧品市場を拡大させた3つの背景
世界的に男性化粧品市場がこれほど拡大している理由として、大きく3つが挙げられる。
1つ目は、容姿を気にする男性の増大だ。18~65歳の1万2,000人のアメリカ人に、人生に対する満足感をもたらす要素について聞いた調査によると、女性の回答で最も多かったのは「経済状況」と「パートナー」で、「容姿」については3番目に多い回答だった。しかし、男性で最も多かった回答は「経済状況」で、それに次ぐ2番目に「容姿」が挙げられたのだ。
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