化粧品業界の次なるSDGsトレンドは「アップサイクル」 で循環型社会へ。海外の9事例
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本来は廃棄されるはずの素材に、手を加えることで付加価値を与え、新しい材料や製品に変換する「アップサイクル」。化粧品業界では、SDGs文脈におけるリサイクルの次の段階として、この試みが広がりつつある。パンデミックをきっかけに、注目度が高まっているアップサイクル原料について、海外ブランドや原料企業各社の取り組みの9つの事例を紹介する。
従来ゴミとしていたものに付加価値づけし原料などにアップグレード
「アップサイクル」とは、廃棄物や不要になったものや、生産工程で出る副産物などをゴミとして捨てるのではなく、アイディアや手を加えて、そのモノの価値を高め、新たな需要を生み出すサステナブルな循環システムを指す。
「リサイクル」は、廃棄されていたものを再生利用するという意味では、アップサイクルの持つ意味に近いが、リサイクルでは廃棄物を一旦、資源の状態にまで戻してから再商品化する。たとえば回収した使用済みPETボトルを再生処理して、フレーク化、ペレット化したプラスチック原料にするなどが一例だ。それに対して、不要品の素材や特徴をそのまま活かし、かつ価値をアップグレードするのがアップサイクルで、リサイクルに比べて再生処理にかかる手間やコストが比較的少ないのも特徴だ。
欧米を中心に、化粧品業界では大手、スタートアップを問わず、アップサイクルの試みに着手する企業が増えている。なかでも、世界的な課題となっているフードロスに着目し、廃棄される食材や食品製造の過程で生じる副産物をアップサイクルすることで化粧品原料に変換している事例が多い。
アップサイクル原料の使用は、クリーンビューティやヴィーガンコスメとの親和性が高く、2019年頃より、ザ・ボディショップやラッシュなどのグローバルブランドも商品化をスタートさせている。そして2020年からのパンデミックに伴い、原料の調達や生産、販売までのサプライチェーンが、多くの業界で打撃を受けたのをきっかけに、アップサイクル原料による、地域内での循環社会の構築に注目が集まるようになってきた。
アマゾン傘下の大手オーガニックスーパー、ホールフーズ・マーケットでは、「2021年ビューティトレンドTOP5」の1つに、アップサイクルを挙げている。「新型コロナウイルスの影響で、消費者の生活や意識に大きな変化が生まれた。消費者は、アップサイクルや水の使用量を抑えた原料など、環境負荷が小さく自分の価値観にあったブランドを求めている」と、同社のレポートに記述されている。
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