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スマートスピーカーの美容コンテンツのいま。スキマ時間にいかに注目してもらうかが勝負

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スマートスピーカーと呼ばれる、AI(人工知能)を搭載したスピーカー。米国で先頭を走り続けてきたAmazonのEchoシリーズが2017年11月に日本にも上陸し、日本で先行していたLINEの音声アシスタントClova搭載の「Clova WAVE」やGoogleの「Google Home」に加えて一層盛り上がりを見せている。美容業界はスマートスピーカーをどう活用すべきか。すでにコンテンツを提供し始めている米国と日本企業の事例から、スマートスピーカー×美容業界のこれからを考えてみる。

声で美容に関するアドバイスを提供

米大手出版社「HEARST」(本社米国ニューヨーク)は2017年11月1日、Amazon Echoを通じて美容アドバイスを提供するサービス「MY BEAUTY CHAT」を開始した。最新の美容トレンドや革新的な商品の紹介、美容に関する座談会や、女性消費者に向けたアドバイスを1日2回、音声で発信する。これらのアドバイスを送るのは、ハースト傘下の「HARPAR'S BAZAAR」「COSMOPOLITAN」「ELLE」「MARIE CLAIRE」などの編集者たちだ。WWDの記事によると、スポンサーにはロレアル(本社フランス)がついているという。

同サービスについて、前述のWWDは、「ストレスだらけの一日のうち、一人でいられるほんの10分のスキマ時間を狙っている。」とHEARSTのチーフ・ビューティー・ディレクターのLeah Wyar (リア・ワイアー)氏の声を紹介している。

ある日のMY BEAUTY CHATはこんな感じだ。ヘアケアについて3人の女性が自身の習慣や体験を元に笑いを交えながら話していて、まるで友人同士の会話を聞いているような感覚になる。メイクしながら、あるいは料理をしながら、仕事から帰って着替えている間など、ちょっとした時間に美容情報を聞ける。

米HEARST社はMY BEAUTY CHATを皮切りに、「今後1年でMY STYLE CHATや、MY HOME CHATなど、Amazonの音声アシスタント「アレクサ(Alexa)」を使用した関連サービスを提供していくつもりだという。米HEARST社に、現在準備中というそれら2つの新サービスの概要や、MY BEAUTY CHATの展望及び数値的な目標などを問い合わせてみたが、残念ながら回答は得られなかった。現在のところ日本でのサービス展開は予定していないという。

資生堂は、毎朝、天気予報+美肌ケアをセットで提供

日本の美容業界では、資生堂(本社東京)がいち早くAmazon Echoの活用に乗り出した。米HEARST社同様、企業や個人が独自にコンテンツを開発できる「Amazon Alexa Skill」を通じ、気象情報に応じた美容面の注意点や、気になる肌悩みをカバーする方法を音声で提供する。

Amazon Alexa(著者撮影)

開発に携わった資生堂ジャパン株式会社 EC事業推進部 コンテンツコミュニケーショングループ グループマネージャー(※2018年1月1日より同肩書)吉川 拓伸氏に、同サービスにおいてこだわった点を聞いてみた。以下2点だという。

・音声/ハンズフリーでやり取りする意味、意義。
・生活者にとって有益かつ便利であること。

具体的にはどういうことだろうか。吉川氏は、「スマートフォンやPCでキーワード検索する方が便利で有益な情報が得られるのならば、わざわざ音声でやり取りする必要はなく、いずれ使われなくなる。どんな生活シーンで、このサービス(スキル)を使うか? について、チームで何度も議論した結果、2つの機能を開発した。」と説明する。

資生堂が提供する2つのサービスの概要はこうだ。一つ目の「美容天気予報」の機能は、ユーザーが住む地域のその日の気象情報(天気、最高気温、降水確率)と、美容面の注意点およびアドバイスを伝える。注意点とアドバイスは気象情報を基に、「肌の乾燥」「紫外線」「べたつき」「肌の冷え」の中からその日もっとも注意すべき情報を選択し、それに関連した有益な情報を声で紹介する。情報選択ロジックは特許出願中だ。吉川氏によると主な利用シーンは、朝の身支度中を想定しているという。

「ベースメイクのアドバイス」機能は、Alexaに気になる肌悩みを伝えると、その肌悩みをベースメイクでカバーする方法を伝えてくれる。肌悩みは、「乾燥」「シミ・そばかす」「毛穴」「しわ」「ほうれい線」「たるみ」「くすみ」「くま」「赤み」「にきび」の10種類に対応。毛穴については、原因が「皮脂の場合」と「たるみの場合」によって異なるアドバイスを紹介してくれる。こちらは主に「メイク前や洗顔後など、自分の肌に向き合っているとき」の利用を想定する。ハウツーは音声でも理解できるよう、「シンプルで簡単なものに編集している」(吉川氏)。

今後の展望として吉川氏は、「現状では、商品を特定しない一般的な美容情報を提供していくが、今後は、おすすめの化粧品やそれが購入できるECサイトを紹介することも検討している。スマートスピーカー自体が日本に導入されたばかりということもあり、今後どのように生活に浸透し、使われていくのか? を注視しながら、現スキルのブラッシュアップ、新しい機能の追加等を検討していきたい。」と説明する。Google Homeなど、他のスマートスピーカーへの対応も検討中だ。

英国の美容ブランド、Wunder2 の試み

出典:wunder2.com

米国では12月より、Wunder2(販売会社KF Beatuty: 本社イギリス)がAlexa Skillを通じて、メークアップ方法やオススメ製品の紹介、また声を通じて直接Amazonで商品を購入できるチャンネル「Beauty Tips」を開始した。

Wunder2の主力商品であるアイブロウジェル「WUNDERBLOW」は、2017年初旬、Amazonが取り扱う美容品中、何度か第一位に輝いた実績を持つ超人気商品だ。ある日のチャンネルでは、「どんなパーティーでも黄金の女神に見えるティップス」と題して、アイメイクやスキンケアなどの方法を紹介。

Glossyの記事によると、近いうちに携帯やPC、TVに対応した、ティップスを紹介するビデオも追加予定とのこと。また、Wunder2チームは、ユーザーがビデオを視聴の有無にかかわらずAlexa経由の売上を追跡できると指摘。美容企業のなかでも、データ&テクノロジードリブンで知られる同社が、次にどんな仕掛けを展開するかは非常に興味深いところだ。

今後美容コンテンツでも期待される、映像の活用

スマートスピーカーは、これまで手が離しにくかった家事や身支度の最中など、厳密にはスキマ時間とは呼べなかった時間を、「ながら時間」に変えることに成功した。何かをしながらでも、耳だけを音声に傾ければいいからだ。そういう意味では、従来「時間が取れない」という理由で、リーチできなかった層にも美容情報を届けることは可能になる。美容業界は、この「ちょっとしたスキマ時間を狙っていかに音声で有益な情報を届けられるか」にスマートスピーカーの活かしどころがありそうだ。

しかし「美容」という面においては、音声だけでは一歩物足りないと感じるユーザーも多いのではないか。YouTubeでメイクのハウツー動画が人気を博しているとおり、音声だけでは具体的にどうしたらいいのかイメージしにくいこともあるからだ。特にメイクアップのようなコツを必要とするものは、映像があるからこそ、どうするべきなのかが一目瞭然で、自分の目で確認できるという意味ではるかに利便性が高い。

そこで注目したいのが、モニター付きの「Echo Show」と、12月にリリースされたばかりの「Echo Spot」(※Echo Sowよりも小型でモニター付きの円形のデバイス)だ。

両方ともAmazon Echo同様、音声で起動したり情報検索をしたりできるが、モニター付きなので、リサーチ結果は音声のほか、画面上の文字や映像でも確認できる。実際、Amazonは料理のレシピ動画を配信し、「Alexa、チキンを使ったレシピを教えて。」のように食材からレシピを検索できたり、直接料理名を伝えて作り方を動画でチェックできたりする。料理の他、Amazonビデオを通じた映画等の配信も行っている。

今のところメイク動画も検索対象になってはいるようだが、VimeoやDailymotionなど外部のサービスを経由したメイク方法を指南する内容が中心のようである。映像で紹介されていた商品を購入したいというニーズに応えるにも、購入と結びつける方法を考えたいところだ。

日本でのAmazon Echoの普及率にもよるかもしれないが、Echo ShowやEcho Spotが日本に上陸するのは時間の問題だろう。美容関連コンテンツでは、音声だけでなく、映像も活用することでより面白く魅力的なサービスを提供できるはずだ。コンテンツが話題になれば、ハードの普及も進むはずである。先手を打つのは、パブリッシャーか、ネットメディアか、はたまたブランド側か。ブランドとメディアがタイアップしてのコンテンツ配信も面白そうだ。

Text&Photo: 公文紫都(Shidu Kumon)

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