VivaTech初のフェムテックコーナーから、ラグジュアリーブランドとの関係を強める中国アリババまで【VivaTech 2023(3)】
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2023年6月14日〜17日にパリで開催された欧州最大のテックイベント第7回「Viva Technology (VivaTech)」をレポート。第1回は業界トップのロレアル、第2回はラグジュアリー業界をリードするLVMHグループの展示内容を紹介した。第3回は、VivaTechで初めて特設されたフェムテックコーナーや、そのほかの美容企業のイノベーション、中国アリババの展開にスポットをあてる。
初のフェムテックコーナー、課題である認知拡大がその背景
フェムテックとは、女性の心と体の健康に関わるすべてのテクノロジーが対象となり、乳がん、子宮内膜症、不妊など医療分野の技術から、月経、避妊、メンタルヘルス、更年期関連、そして、セックストイまで多岐にわたる。VivaTechのプレスリリースによれば、世界のフェムテック市場は2022年に300億ドル(約4兆3,500億円)を記録。人口の半数を占める女性の健康課題を解決に導くことは大きなビジネスチャンスを意味するため、フェムテックは勢いを増しており、2032年には1,350億ドル(約19兆5,600億円)まで成長するとみられている。
同プレスリリースでは、乳がんは女性の9人に1人が罹患し、その40%が乳房を切除していると指摘する。また、子宮内膜症は診断されるまでに平均7年かかり、その間は適切な医療を受けられていないという。一方、世界保健機関(WHO)によると、不妊症は全世界で4,800万組のカップル、1億8,600万人が罹患していると推定され、5人に1人が生殖補助医療に関心を持ち、数年に及ぶ医療を受けるものの、80%は妊娠に至っていない。こうした現状から、フェムテックの強化は急務であり、各国でイノベーションが加速している。
しかし、「フェムテック」という用語・概念が比較的新しいこともあり、フェムテック関連のサービスが一般に浸透しているかというと道半ばといわざるをえない。電動の搾乳器を開発するElvieがシリーズCで総額9,700万ドル(約140億円)の資金調達をしたり、妊娠や月経などの情報提供プラットフォームFloがシリーズBで5,000万ドル(約72億円)に達するなど、一部の企業は大規模な資金調達に成功している反面、知名度の低い企業、また女性のみで創業した企業は投資家を見つけるのが困難で、ジェンダーの偏見、規制のハードル、資金不足がフェムテックの発展を妨げる可能性があるとされている。
このような背景を受け、今回のVivaTechでは改めてフェムテックの重要性を喚起し、投資家の注目を集めるべく、初めてフェムテックコーナーを設置した。フランスのフェムテック支援団体FemTech Franceと協働し、さまざまな領域のフェムテック企業を日替わりで6〜8社ずつ展示し、24社のイノベーションを紹介した。
第7回目を迎えたVivaTech自体は、AI関連はもちろん、エネルギーや気候変動対策、インクルージョンや多様性、フェムテックに光を当てたジェンダー平等の促進など、社会課題を解決するイノベーションが多く発表された。欧州の70%の人々は、フェムテックが男女間の平等に貢献すると考えており、女性の健康状態をサポートするイノベーションに期待がかかる。今回はVivaTechに出展したフェムテック企業のなかから、いくつかの注目スタートアップを取り上げる。
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