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ミクシィのココサイズなど、テクノロジー活用で低価格&高品質な健康サービス続々登場

◆ English version: Tech-savvy health and beauty care spots in Tokyo that easy and affordable to use
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AIを使ったコンディショニングジム、マシンが使い放題のセルフエステなど、短時間かつ手軽な定額制の女性特化型リアル店舗サービスが相次いで登場している。いずれも、テクノロジーの活用や無駄を省いたコンセプトで人的リソースを節約し、手頃な価格設定を実現するとともに、人間は本来注力すべきところに集中できるというモデルが共通している。

ココサイズのコンディショニングの様子

サザエさんの街として有名な東京都世田谷区桜新町。2019年1月末、落ち着いた雰囲気が漂うその街に、ミクシィ子会社・スマートヘルスが新たな店舗型ヘルスケアビジネスをローンチした。女性専用のコンディショニングスタジオ「ココサイズ」だ。

ココサイズでは機能が衰えている(Dysfunction)部分を健康(Function)な状態にすることを目的としたアプローチをとっており「身体の柔軟性、筋力、そしてバランスを整えることを目標としてデザインされたエクササイズと身体の動作法」をコンディショニングと独自に定義している。

コンディショニングという言葉は使用していないものの、それに近いコンセプトでサービスをすでに提供している有名フィットネスチェーンとしては、1992年に米国人ゲイリー・ヘイヴィン氏によって創業され、2005年に日本に上陸した「カーブス」がある。女性限定、1回30分の「体操教室」をコンセプトに2018年10月、カーブスの日本国内の会員数は85万人を突破。そのうち60歳代以上が63%(50歳代を含めると87%)と、「健康=病気の予防」と美しさの両方を求める中高齢女性を中心に好評だ。

一方でココサイズの新しさは、人工知能(AI)を使った分析システムだ。FMS(ファンクショナルムーブメントスクリーン)という最新の身体評価手法と、有名スポーツトレーナー・齋藤邦秀氏のノウハウを融合。独自のアルゴリズムを構築し、ユーザーの身体の状態を効率的かつ細部までもれなく可視化できるようにした。

株式会社ミクシィ 執行役員で、スマートヘルス代表・荻野泰弘氏は、ココサイズのローンチの背景について次のように説明する。

「高齢化が進む日本では社会保障費が増大し続け、人々の健康寿命と平均寿命がどんどん乖離(かいり)している。我々としては、その課題解決に取り組みたいと考えた。健康寿命の引き上げ、言い換えれば病気を抱えて生きる期間を限りなくゼロにしていくのが目標だ。健康寿命の引き上げのためには、未病(発病する一歩手前)状態から健康状態へ自己改善を促すことが大事なアプローチ。そのため、コンディショニングという領域に注目した」。

厚生労働省の調査によれば、接骨院や鍼灸院は過去10年間で約2倍に増加しており、すでにコンビニエンスストアの数を上回っていると荻野氏はいう。それらは痛みが出たあとに行く場所であるが、一方で、痛みの症状や自覚が出る前に自己改善をできる場所が少ない。そのため、コンディショニング領域にはまだまだ多くの潜在的需要が眠っていると荻野氏は指摘する。

「ただしコンディショニングはプロスポーツ選手などが中心となり利用してきたサービスであり、まだ一般的に根付いておらず値段も高いという課題がある。また、優秀なトレーナーによる目視や手技に依存するという属人的な特徴もある。そこで、AIなどテクノロジーを使うことで価格を下げつつ自動化・効率化するアプローチを取った」。

女性の健康寿命に課題&商機あり

AIで解析した身体各部位の分析の結果

ココサイズのコンディショニングは、まず現在の身体の状態をAIでチェックするところからはじまる。利用者は、姿勢や身体の動かし方、歩行時の動きなどを3台のカメラで囲まれたスペースで撮影していく。その画像や動画をAIが分析。わずか数分で肩・胸椎・腰椎・股関節・膝・足などの状態が可視化されるという仕組みである。

また、今回オープンした桜新町の1号店は女性限定の施設である。これまでも「同性だけのほうが通いやすい」という理由から女性限定にしたフィットネス施設は多いが、ココサイズの意図はどこにあるのか。

「女性のみとしてサービスをローンチしたのは、健康寿命の延伸という視点では女性の方が健康寿命と平均寿命の乖離が大きく、悩みを多く抱えているからだ。女性は出産、育児、閉経など、各ライフステージによって身体的な課題が加速度的に増えていく。仕事や家事に追われ自分の身体と向き合う時間がとりにくい人も多く、シニアになる頃には膝の調子が悪い、肩が痛い、腰が重いなどの症状やロコモティブシンドローム(運動器症候群)に悩まされる。そのため、ココサイズではまず女性向けサービスを優先することにした」(荻野氏)。

まずは通ってもらうということを念頭に、リアル店舗へのこだわりもある。

「健康寿命の延伸の柱は大きく3つの要素に分けられる。運動、栄養、そして社会交流だ。そのうちどれかひとつでも欠けてしまうと健康寿命が尽きやすい。実店舗にこだわった理由は、人と人が交流できる場所を提供したかったからだ。AIで解析した分析結果をアプリなどデジタルで伝えて、自宅でエクササイズできるようにするスタイルだと、その社会交流という要素が達成できない。また、正しくコンディショニングができているかのチェックが重要でもあり、それが実店舗やオフラインにこだわった理由だ」(荻野氏)。

ココサイズの計画について
説明する荻野氏

ココサイズはリアル店舗に来る価値を見出してもらうため、月額7,000円で通い放題と比較的リーズナブルな価格設定を行っている。価格を抑えられた理由のひとつに、AIによるパーソナルトレーナーの代替・自動化がある。人間のスタッフは、本来の価値を感じてもらうサービスに集中できる仕組みだ。

こういった、手頃な料金で通い放題という施設は、今後もいくつか登場しそうだ。2019年3月25日には、欧州を中心に9か国・550店舗に導入実績のあるAI機能搭載フィットネスマシンを装備した女性専用スタジオ「ファディー」が、東京都世田谷区千歳烏山に1号店オープンを控えている。1年契約の場合、通い放題で月額6,980円という価格設定だ。

サービス内容や利用方法といった説明はタブレットなどで代替して、スタッフを極力減らすとともに、高級エステサロンにあるような高機能の美容マシンを顧客自身がセルフで使用することで低価格を実現した「じぶんdeエステ」など、定額でエステに通い放題のリアル店舗サービスも登場した。

Photo by じぶんdeエステHP

共通するのは「人間のリソースをなるべく減らしたリアル店舗ビジネス」もしくは「属人的な能力を自動化したリアル店舗ビジネス」という点だ。社会的な交流やスタッフとのコミュニケーション、実際の製品に触れる機会など、リアル店舗にはリアル店舗にしかない良さがある。その反面、運営する側にとっての大きな課題のひとつが人材だ。スタッフの人件費、採用や育成のコストや定着率など、ビジネスを成功させるうえで解決すべきことは多い。美容や健康関連業界にとって、プロのノウハウをAIや機械に任せ、リアル店舗の自動化や省人化を、価格の “お得感”として反映させて、ユーザーに受け入れてもらうのもひとつの方法であろう。

Text: 河 鐘基(Jonggi HA)

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