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ノインが伊藤忠などと提携、Z世代向けのラグジュアリー文脈の確立とOMO化支援へ

◆ English version: Cosmetics e-commerce app Noin helps luxury brands get the yes in Japan
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10~20代から大きな支持を集める化粧品ECアプリ「NOIN」を展開するノイン株式会社が、ポストコロナの不確実な状況に、柔軟かつ確実な成果に向けたソリューション提供を進めている。商社との提携による新しいビジネス、データに基づくマーケティング支援、さらに、小売企業に対するOMO支援だ。

伊藤忠商事と連携、海外ラグジュアリーブランドをプロデュース

ノイン株式会社(以下会社名はノイン、アプリ名はNOINと表記)はいま、強力なパートナーとともに新しいステージを迎えようとしている。

2020年上半期、ノインにとって大きな節目となったのが、伊藤忠商事と丸紅CVCの丸紅ベンチャーズからの出資が決まったことだ。過去にもCoral Capitalなどベンチャーキャピタルからの資金調達に成功してきたが、今回の伊藤忠商事との連携は、事業上のシナジーに重きが置かれているという点でこれまでとは違った意味を持つ。

この連携でノインは、PB(プライベートブランド)事業の取り組みの延長として、化粧品プロダクトを持たない海外有名ブランドのライセンス権を取得し、化粧品の商品企画から販売までを手掛けるほか、日本未上陸の海外ブランドに対し、データマーケティングや販売支援などを行い、日本参入に向けたプロデュースをしていく予定だと、ノイン株式会社 代表取締役CEO渡部賢氏は説明する。

大手商社がなぜ、ノインと組むことを決断したのか。その理由について渡部氏はこう話す。

「発信力があり、これからの美容市場を牽引するZ世代をコアターゲットとするECプラットフォームを持っていること、商品開発もできるプロデュース力があることなどが評価されたが、最終的には、現時点で日本においてどれだけスケールしているかよりも、それぞれのブランドとしっかり向き合い、一緒に育てていけるパートナーになれるかどうかという点を彼らは重視したと聞いている」

ノイン側にとってもメリットは大きい。日本で未発売の海外ラグジュアリーブランドの商品開発、そして、その取扱いが増えれば、ほかの化粧品ECサイトとの差別化を図ることができる。Z世代に向けて「ラグジュアリーブランド」のコミュニケーションを強化できるのに加え、それによって顧客の裾野が広がり、NOINという化粧品プラットフォームとしての地位がより強固なものになる。

一方で、考えなくてはならない課題もある。前回の記事で紹介したように、NOINは、発送物に手書きのメッセージを添えたり、オリジナルの商品説明書を加えるなど「中の人」との人間味のあるコミュニケーション手法が、ユーザーからの支持が高い理由のひとつだが、クリエイティブコントロールの厳しい海外ラグジュアリーブランドを取り扱う場合にはプラットフォームとしての世界観とブランドの世界観の両立が必要になる。

その課題に対し、渡部氏は「ハートウォーミングなNOINらしさは海外ラグジュアリーブランドからも好意的に受け止められているが、そのラグジュアリーな世界観を担保できるようなコミュニケーション手法のトライアルもすでに始めている」と話す。

それが、ビジュアル(クリエイティブ)から、商品の良さを伝えることをコンセプトとした「LOOKBOOK」だ。広告業界で活躍する新鋭クリエイターとともに、10~20代に人気のモデルを起用、これを見たNOINユーザーが、“少し背伸びして真似たくなる”コンテンツをWebサイトInstagramで毎日発信している。

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「LOOKBOOK」は
Instagramでも展開中
出典:NOIN公式Instagram

「NOINには、初めてECで買い物をするという10~20代のユーザーが多い。ユーザーの購入体験として、商品が届いた瞬間のときめきや安心感が非常に大事で、それは包装やデザインだけで伝わるような単純なものではないことを我々は知っている。ラグジュアリーブランドであっても、あくまでその商品やストーリーを伝えるのはNOINであり、良い商品を私たちが厳選してレコメンドするというこれまでの姿勢は変えないつもりだ」(渡部氏)

ハイセンスで質の高い商品を見い出すと同時に、コミュニケーションはフレンドリーでユーザーに絶対的に寄り添うという顧客中心主義を貫く構えだ。

データドリブンなマーケティング支援を展開

2つめは、これまでも取り組んできたブランドやメーカーに対するデータソリューション事業だ。今後力を入れていく日本未上陸ブランドのプロデュースや新ブランドに対しても、ノインのプラットフォームを使うことの入り口となる。

プランには2つあり、各社の悩みや要望にあわせてコンサルティングする「データマーケティング支援プラン」と、メディア運営で培った広告ノウハウをベースにアプリ/Webタイアップ、サンプリング、モニター、動画制作などのサービスを提供する「オンライン販売支援プラン」がある。

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オンライン販売支援プランの概要
出典:ノイン

たとえば、ノインのデータマーケティングの支援を受けるあるブランドでは、対象とするターゲット層に、用意したクリエイティブがしっかりと刺さるのかを知るためのテストマーケティングに利用しているという。

「ブランドのターゲットとなるユーザーを抽出し、その母集団に対して複数のクリエイティブを出し分け、どのキャッチコピーやクリエイティブが最も効果的なのか、いわばABテスト的に検証している。見ている指標はその時々によるが、クリエイティブがどのくらい見られたかというPV、CTR(クリック率)とその後のCV(コンバージョン)が基本になる。リーチをとれるクリエイティブと、コンバージョンが取れるクリエイティブの差も分析している」(渡部氏)

クリック数は高くリーチは広くとれるが、購入に至らず「お気に入り」に留まるケース、逆に、CTRはさほどではないが、そのなかでのコンバージョン率が高いなど、このテストからユーザー傾向が浮彫りになる。認知を取りたいのか、コンバージョンを取りたいのかといった目的に応じて、クリエイティブの使い分けを提案することもある。

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データソリューション事業は、
自社PB事業で培ったノウハウも提供
提供:ノイン

いわゆる、認知、検討、購入、リピート、ロイヤルカスタマー化といった、マーケティングパネルを提示したうえで、そのすべてのソリューションを一気通貫して提案できるのが、ノインのデータソリューション事業の強みである。現在もマーケティングツールとしてのダッシュボード化はせずに、個別の企業にそれぞれ寄り添う形をとっている。

トライアルとして低価格でクライアントの要望にそったテストを行い、それに基づいて長期プランを作成することで、クライアントと伴走する体制を整えている。

小売りと協業しOMOソリューションを構築中

3つめは、ユーザーの購買行動のデータを、ECのみならずオフラインとつなげ、小売企業のOMO化を推進するソリューション提供だ。

ユーザーの購買行動に関する保有データの拡充が事業の鍵を握るなかで、ノインは、広告配信プラットフォームや小売企業との連携により、NOIN以外の場所で、オンライン、オフラインを含めてユーザーがどのような行動をしているのか、データ蓄積に乗り出している。自前で店舗出店はせずに、全国にネットワークを持つ企業と協業し、一気にオフラインの接点拡大を目指す戦略だ。

たとえば小売店が抱える課題のひとつに、化粧品の品揃えが競合と横並び傾向にあるなかで、店舗集客を値引きクーポンなどの価格訴求に頼らざるをえない面がある。こうした課題に対し、ノインは、EC事業で培った商品ネットワークやコンテンツ、さらにはGPSなどの技術で得られるユーザーの行動データを活用しながら、売り場作りの提案を行うことができる。この座組みにより、小売企業がそれまで店舗では取り扱いができなかった新商品の配架や他社との差別化が可能になり、またその商品を小売店のECなどでも購入できるようにすることで、店頭でもネットで決済できる仕組み、つまりOMO化をノインが支援できるようにする予定だ。

「DX(デジタルトランスフォーメーション)における課題や悩みをもつ小売店に寄り添いながら、各社にあった解決策を提案したい」と渡部氏はその構想について語る。小売りへのソリューションは、同時にNOINブランドにとってもメリットがある。オフラインでのタッチポイントを短期間で増やすことは、NOINのコアなユーザーだけでなく、新たな層にもNOINの魅力を伝えるきっかけになるからだ。

不確実性に耐えるアジャイルで最適解を導く手法

新型コロナウイルス感染症が流行した影響で、ブランド側からは、デジタルでどのように商品を売るのか、顧客とのエンゲージメントをどう作っていくのかといった問いが大きくふくらんでいる。渡部氏はこの状況をふまえて「アジャイルな取り組みが必要だ」という。

「オンライン上では、すべてのデータは取れるというのが前提にある。ブランド側にしてみれば、アプローチしたいユーザーにアプローチできるわけだ。そのなかで最適なコミュニケーションとは何か、オンラインとオフラインのシームレスなUXがどうあるべきなのかが問われるようになっている。この不確実な状況下で我々がやっているのは、ステージを区切って、フィージビリティスタディ(実現可能性調査)を丁寧に実施していることだ。各ステージで検証すべきことを明確にし、確実にとれるところからスケールさせ、データを見ながらプランを柔軟に提案するアジャイルな取り組みだ」(渡部氏)。

プチプラコスメからラグジュアリー文脈まで対応し、ターゲットの機微を捉えたクリエイティブや、寄り添い方、その全体を総合したプロデュース力がノインの強みだ。そこにアジャイルな手法でデータにもとづくプロモーションを組み立てられる。ノインのソリューションが一目置かれている理由はまさにそこにある。

Text: 清水美奈(Mina Shimizu)
Top image: Glow Repose via Unsplash

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