資生堂も拠点を持つ中国美容産業集積地「オリエンタルビューティバレー」の全容
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中国政府の肝入りで「化粧品産業のシリコンバレー」を目指している産業特区エリアがある。中国・上海市の南に位置する奉賢区の「The Oriental Beauty Valley(オリエンタルビューティバレー=東方美谷)」だ。同地域の概要や狙いについて紹介する。
国営企業が運営する美容・健康産業特区オリエンタルビューティバレー
上海市奉賢区、高層ビル群とは無縁の上海市郊外にある同区がいま、中国のコスメ集積地になっている。もともと農業地帯だったこの地区が産業開発区に指定され、バイオ産業を柱に、ヘルスケアなど近接領域の産業との連携や高度化を目指し、「上海奉賢経済開発区生物科技園区」が設立されたのが2001年。その後、奉賢区人民政府は2015年に、美容・健康産業特区として「オリエンタルビューティバレー(東方美谷)」を設立し、化粧品、食品、医薬品、バイオテクノロジーなど美容・健康関連産業の集積を図っている。中心エリアの広さは18.49平方キロメートルに及び、国有企業である東方美谷企業集団股份が運営して投資や企業誘致を行っている。
オリエンタルビューティバレーに入居しているのは、メーカー、ブランド、OEM/ODMメーカー、原料メーカーなど多岐にわたり、エコシステムを形成している。現地の報道によれば、3,000以上のブランドが集積しているとされ、2019年時点で上海にある化粧品企業253社のうち、70社が同エリアにあり、中国産のフェイスマスクの4枚に1枚がここで生産されているともいわれる。
資生堂やロレアルも拠点を設立し、現地企業との交流を活発化
このエリアには、早い段階から化粧品製造工場が集まっており、中国の大手化粧品企業であるJALA(伽藍)はとくに同エリアと関係が深い。JALAの鄭春影董事長は、2001年にこの地で事業を興し、「CHANDO(自然堂)」など数々のブランドを立ち上げた。いまでも奉賢区は同社にとって一大生産拠点であり、2021年にはカラーメイク製品の新工場が操業を開始した。
一方、老舗ブランド「PECHOIN(百雀羚)」も工場と研究開発施設を有し、同ブランドにとっても重要な拠点となっている。
こうしたなか、グローバルブランドもオリエンタルビューティバレーに足場を築いている。資生堂は、研究開発拠点「資生堂(中国)研究開発中心」の上海奉賢分公司(支社)を開設し、2021年に稼働を開始。同社が中長期経営戦略「WIN 2023 and Beyond」に掲げる主要戦略のひとつ「他社との協業によるイノベーション強化」を推進するのが狙いで、同地区に集う他企業と連携して最先端の化粧品製造関連技術や有用性評価法の研究開発を行い、ビューティにかかわる新分野を開拓するとしている。
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