米国VS中国、そして日本。AI技術覇権争いと美容分野への応用について俯瞰する
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IoTからチャットボット、AR/VR、生体認証まで、AI(人工知能)ベースの技術やサービスは枚挙にいとまがない。抜きん出る米国、猛追する中国、そして日本は。各国のAI開発状況を俯瞰してみるとともに、美容業界への応用にも視点を広げてみよう。
近年、AI市場がまれにみる成長を遂げているのは、驚くには値しないだろう。実際、2010年から2017年まで、対前年比の成長率はおよそ60%増を記録している。こうした地球規模で進むデジタル化に向けた怒涛の潮流は、すでに各所でインパクトを起こしており、ロシアのプーチン大統領は演説のなかで「AIは未来だ。ロシアだけではない。人類にとっての未来である」と異例のコメントを発し、UAEは初のAI担当大臣を任命した。AIの革新は各国政府が国家単位で取り組むプロジェクトになっているのだ。
テクノロジーの分野で、「どの国が一番進んでいるのか」を測定するのは難しい。だが、指標となるものはある。人材と支援度だ。つまり、AIを前進させる専門家や技術者をどのくらい抱えているのか(自国民である必要はない)、そして、研究開発や特許に対してどの程度の投資や環境整備を行っているのかという点である。この観点を心に留めて、海外メディアの分析を参考にしながら、2強の米国と中国の動向、そして日本の状況をみていこう。
Image: Kevin Bhagat via Unsplash
蓄積された技術基盤と人材、実用化の面でも首位にたつ米国
アマゾン、グーグル、マイクロソフト、フェイスブックほか有数の巨大企業を擁し、シリコンバレーを中心に培ってきた強力な技術基盤と、AIプロフェッショナルが85万人超とされる豊富な人材を持つ米国。さらには、ベンチャーキャピタルが100億ドル(約1兆1,000億円)をAI関連事業に注入するこの国は、やはり世界のトップランナーといえるだろう。2035年までには、米国のAI市場価値は8兆3,000億ドル(約918兆円)に達するとの試算もある。
美容業界においても、AIの活用で先んじているのは米国だ。数多くのスタートアップが、AIの解析技術を駆使し、一人ひとりにあわせてパーソナライズ化したスキンケアやメイクアップ製品を競い合っているほか、ECでのシームレスな買い物体験の構築にもAIは活かされており、セフォラやメーシーなど大手小売りも顔認証機能を備えたARショップで、化粧品のバーチャルなお試しやショッピングをすでに実用化している。次の段階では、チャットボットによるカスタマーサービスやアドバイザー機能が、人々の暮らしに当たり前のものとして一般化するとの予想もある。
AI開発で世界の中心となることを目指し追い上げる中国
米国を猛追しているのが中国。2011年〜2015年の間に発表されたAIについての研究論文は米国の2倍近い4万1,000本で(Times Higher Education調べ)、AI関連の特許の取得件数はここ5年で190%増加している。中国政府はAI分野を最重要産業と位置づけており、2030年までに「AI開発の世界的なハブ」となることを目指している。ECのアリババ、検索エンジンの百度(バイドゥ)、SNSのテンセントなど強大なテック企業がけん引する中国のAI市場価値は1兆ドル(約110兆円)ともいわれ、2035年には経済成長率を1.6%にまで押し上げることが期待されている。
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