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Glossier PlayにKylie Skin、人気ブランドが若年層に向けた「サブブランド戦略」考察

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欧米ではGlossierやKylie Cosmeticsなど、Z世代やミレニアル世代にカルトな人気を誇るブランドを中心に、サブブランドの発表が相次いでいる。その目的は、購買層やファンのさらなる拡大とともに、消費者を飽きさせないようブランドに新鮮さや深みを与えるところにある。具体的な事例を検証しながら、その裏側にある戦略を探る。

多様な民族・人種で構成されている米国は、美容市場に限らず日本より数多くのセグメントが存在する。そこで、各企業が細分化されたセグメントをターゲティングした結果、いくつものヒットブランドが誕生したが、一方で各ターゲットごとに人気のブランドが固定化する傾向が散見される。

米国の金融機関PiperJeffrayの調査によると、今、米国のティーンに人気のコスメブランドランキング10位以内に入る老舗ブランドはクリニークのみで、大手や歴史のあるブランドは、同世代に人気のモデルをアンバサダーに起用したり、若者に人気の野外音楽フェス、コーチェラ・フェスティバルなどでインスタフレンドリーなフォトブースを出したりと、いかにして若年層を顧客に取り込むかに工夫を重ね、苦心している。

意思決定も早く身軽な新興ブランドは、従来のターゲット層以外の消費者にリーチする施策の1つとして、サブブランドを展開するケースが相次いでいる。今回はそのトレンドと成功事例、そして抱える課題にも触れつつ、今後の美容業界が目指すべき方向について考察する。

Glossier Playがもくろむのは打倒Milk Makeup?

サブブランドの登場が最もファンを賑わせたのはGlossier Playだろう。母体となるGlossierは、Vogueのファッションアシスタントとして働いていたエミリー・ワイス氏が、2010年にはじめた美容をテーマにしたブログ「Into The Gloss」から誕生したコスメブランドだ。2014年の創業以来、アイテムはもちろん、「自社社員が最初の顧客」との姿勢からも伝わる徹底的な顧客主義、そしてソーシャルメディアを通したファンとの信頼関係構築が、米国のZ世代・ミレ二アル世代の心をがっちり掴み、Glossierは今や世界規模でカルト的な人気を誇るブランドに成長した。今年2019年5月にはウォールストリートジャーナル誌がその企業価値評価を120億ドル(約1兆3,000億円)と報じている

これまでGlossierは「スキンケア・ファースト。メイクアップ・セカンド」を理念としたアイテムラインナップが大きな支持を得てきたが、同社が2019年3月にローンチしたサブブランドGlossier Playからは、大粒のグリッターやカラフルなライナーといった、ポイントメイクに活躍しそうな“キラキラした”アイテムが登場し、方向性の違いを示して大きな話題を呼んだ。

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