ブロックチェーンプラットフォームで個人がデータ販売の未来、美容業界にも
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医療業界では、個人が主体となり、ゲノム(全遺伝情報)や健康データを企業に販売するブロックチェーンプラットフォームの構想が着々と形になりつつある。企業の占有物だった「人体のビックデータ」が民主化され、データを個人が管理し主体的に販売するというコンセプトだ。美容業界でもその兆候があり、BeautyBlocという企業は美容分野でユーザーの利用データを使用し、改ざんできない信用評価モデルをつくるとしている。業界を横断する、「データに裏打ちされた健全な取引システム」を構築するのが狙いだ。新たなデータ経済が美容業界にもたらすものとは。
医療業界でまずはスタートした、個人データ販売のスキーム化
2018年初旬、米スタートアップ・Nebula Genomicsが発表したアイデアは、世界中から大きな注目を浴びた。そのアイデアとは、ブロックチェーン技術を使って、ゲノム解析データの安全な売買取引を可能にするプラットフォームを構築するというものだ。
ブロックチェーンは、取引履歴を中央もしくは一ヶ所ではなく、複数のデータベースで分散的に管理する「分散型台帳技術」のひとつだ。ここ数年話題となって久しいビットコインなど仮想通貨の基幹技術としてはすでに広く知られているが、データの改ざんを困難にさせる(高セキュリティー)、また信頼性の高い安定したシステムを比較的安価で構築できる(低コスト)などの特徴から、医療、エネルギー問題、食品および農業、選挙分野への応用が期待されている。
Nebula Genomicsは、ゲノム解析の権威であるハーバード大学のジョージ・チャーチら研究チームが設立した企業であり、ブロックチェーン技術の専門家集団ではない。ただ彼らは、ゲノム解析市場、ひいては医療市場の発展においてブロックチェーンなど分散型台帳技術がキーテクノロジーになると予想し、同技術を中核に添えた新たなプラットフォームのアイデアを取りまとめた。
医療の世界では、人間のビックデータともいえるゲノムを、マシンラーニングなど人工知能技術で解析し、これまで治せなかった難病の治療や、各個人にパーソナライズされた医療手段(精密医療)の確立に繋げようという動きが活発化しつつある。
データ不足とプライバシー、企業によるデータ販売の寡占を乗り越える
問題は、ゲノムデータの総量が足りていないことだ。また、全体と個人を比較できるような「ゲノムの地図=大規模なデータベース」が完成・共有されていない。そのため現段階では、個人がゲノム解析を受けたとしても、自身の健康を管理していく上でちょっとした参考程度の気づきを得ることしかできないという限界がある。
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