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美容×ARサービス最新事情、RevieveやMeituの存在感と各国スタートアップ動向

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美容分野におけるARやAI技術を活用したサービスプロバイダーとしては、YouCamで知られる台湾のPerfect Corp.やロレアル傘下のModiFaceが業界をリードしている。新型コロナウイルス感染症(COVID-2019)の感染拡大に伴い、非接触やリモート対応への需要が急増するなかで、この2社を追うようにフィンランド発のRevieve、中国のMeituをはじめインドや英国のスタートアップが新たなサービスを提供し、ARサービスが自宅や店頭、アプリでもユーザーにとってさらに身近になってきている。その最新トレンドを紹介する。

2016年創業のRevieveはフィンランド・ヘルシンキと米シカゴに本社を構え、肌診断機能「The AI Skincare Advisor」とバーチャルメイク「The AR Makeup Advisor」をECサイトや店舗に提供している。同社のWebサイトによれば、サスムンや資生堂、フィリップスなどが採用しており、大手ブランドとの提携を深めている。

1月には、医薬品のほかデルモコスメティックブランドのアベンヌなどを持つ仏ピエール ファーブルグループが、Revieveと仏Baracodaグループ傘下のCareOSと共同で肌診断のコネクテッドミラーをローンチしたと発表した。3社は2019年5月からパートナーシップを結び、開発を進めてきたという。

同年末にピエール ファーブルグループは、トゥールーズに同ミラーを設置した新しいコンセプトストアであるLAB(ラボ)をオープンした。ユーザーの顔写真を数千の画像データと比較し、5秒以内に肌の状態を分析。LABのアドバイザーが、それをもとに各自に適した商品を勧めてくれる。

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出典: ピエール ファーブル公式サイト

矢継ぎ早に新サービスを発表する「Revieve」

Revieveは、コロナ禍でも新たなサービスの開発に力を入れており、矢継ぎ早に発表している。6月にローンチした「The No-Touch Skin Tone Analysis Solution」は、ユーザーに合ったファンデーションをマッチングするために肌トーンを測定。同じく「The Live Video Selfie Analysis solution」は、ライブ動画フィードを通して肌に直接影響を及ぼしている健康や美容に関係する要因を特定することができる。また、7月に発表した「Digital Vitamin & Supplement Advisor」は、インカメラで自撮りをすると、肌の状態の解析をもとに、足りない成分を補う飲むべきサプリをレコメンドしてくれる。

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「The No-Touch Skin Tone Analysis Solution」
のアプリ上での使用イメージ
出典:Revieve公式サイト

同社会長のDean DeBiase氏によると、COVID-19のアウトブレイク後、同社のプラットフォームやパートナーであるブランドやECを通じ、消費者のサービス利用が急増しており、社会全体がオンラインにシフトしている状況が読み取れるという。

英POPLARとインドBoddess.com

2018年創業の英POPLARはARや3D技術の開発企業で、TikTokやFacebookなどのプラットフォーム向けにフィルターやレンズを提供しているほか、同社の技術はファッションや美容、飲食などさまざまな分野で活用されている。過去には、ロレアル パリのキャンペーンを手掛けたこともある。

同社は5月、Fuel Venturesがリードするシードラウンドで約210万ドル(約2億2,000万円)を調達し、注目を集めた。同社のバーチャルメイク「AR Makeup Virtual Try On Solutions」もコロナ禍を機に存在感を増している。

一方、インドでは美容グッズなどを展開するHouse of Beautyが、自社開発のAIやARを搭載した化粧品EC「Boddess.com」をローンチした。 取扱ブランドは多くないが、アプリ版でバーチャルメイクができるのが売りだ。男性と女性、何千人もの顔の撮影データを、水分量、シワ、シミ、肌年齢といった肌の状態でタグ付けし、さまざまな肌の色や年齢、人種のアルゴリズムを構築。ユーザーの肌を分析し、最適な商品をレコメンドする。

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「Boddess.com」が提供する
バーチャルメイクツール
出典:Boddess.com

同社CEOのリティカ・シャーマ(Ritika Sharma)氏によると、皮膚科医と協力し、数カ月間かけて肌タイプの機械学習データベースを構築してきたという。現在はリップ、アイメイク、ファンデーション、チークでの利用が可能だが、将来的にはアイブロウにも対応する。

中国で先頭を走るMeitu

中国でも近年、ARやAI活用の動きが活発になっているが、その筆頭はBeautyPlusなどの美顔修正アプリで知られるMeitu(美図)だ。

同社は、企業向けのオンラインARサービス「MEITUGENIUS(美図魔鏡)Online」を4月15日に開設。店舗向けのスマートミラーであるMEITUGENIUSは、メイクだけでなく、ヘアやイヤリング、サングラスのバーチャルトライオンにも対応している。Meituでは、同オンラインサービスを使用することで、店舗はさまざまなデバイスやプラットフォームからMEITUGENIUSにアクセスでき、また蓄積したビッグデータを活用することで、効率的にマーケティングをすることが可能になるとしている。

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コスメだけでなくアクセサリーや
サングラスにも対応する
出典:MEITUGENIUS公式サイト

Meituはブランドとの関係も深めている。同社はディオールと共同でAI肌診断を開発。ディオールの神経科学や皮膚科学、AI研究と、Meituの画像処理技術、美図影像実験室(MTlab)のAI皮膚測定技術を組み合わせた「ディオール・スキンID」を5月に完成させ、画像編集アプリ「Xiuxiu(美図秀秀 )」に搭載している。撮影した画像を通じて皮膚の微小な傷を正確に捉え、原因を分析。改善につながる商品をレコメンドする。

海外市場にも注力しているMeituは、インドのスキンケアブランド「MyGlamm」のアプリ向けにMEITUGENIUSのSDK(ソフトウェア開発キット)を提供している。報道によると、同社がSDKを外部に提供するのは初めてだという。MyGlammのアプリでは、400以上の商品をバーチャルで試すことができるとあって、ユーザーからも好評だ。

Meituはインドのモバイルメディア企業 Ventes Avenuesとも提携しており、インド有数のジュエリーブランド「Tanishq」にARフィルターを提供している。中印関係の悪化からインドでは中国アプリに対する規制が強まっているが、SDKのみの提供は規制されるリスクが低く、今後こうしたケースは増えていくかもしれない。

中国で相次ぐ新規参入

さらに中国では異業種からの参入も相次いでいる。AIを使った顔認証システムや防犯カメラシステムを手掛けるMEGVII(旷視科技)は4月、美容業界向けに「FaceStyle」を発表した。同社は2011年に北京で設立され、アリババグループも投資している。

FaceStyleは顔の属性分析、バーチャルメイク、肌診断の3つのモジュールからなる。属性分析では顔の部分ごとの長さや角度を細かく算出し、丸顔やうりざね顔など顔のタイプを判定する。バーチャルメイクは口紅、アイシャドウ、アイブロウ、全体的なメイクを、静止画だけでなく動画でもリアルタイムで試すことができるという。肌診断は、肌の色、質感、クマ、ニキビなどを分析して点数評価するものだ。

同システムはSaaS(Software as a Service)やアプリ、SDKなどさまざまな形での提供が可能で、美容ECアプリ「海豚家」などに実装されている。

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「FaceStyle」使用イメージ
出典: MEGVII FaceStyle 公式サイトより

一方、マッチングアプリ「MOMO(陌陌)」を運営するMomo Technology(陌陌科技)もバーチャルメイク機能を備えたSNSアプリ「Moxie(芒西)」をローンチした。同社もMEGVII と同じく2011年に北京で設立され、アリババグループの出資を受けている。

Moxieは、ユーザーがインカメラで自撮りするか、画像をアップロードすると、AIが自動的にバーチャルメイクを施す仕組みだ。仕上がりに満足できないときは、メイクの風合いなどを変えることもできる。また、バーチャルメイクした画像を投稿すると、SNSのようにほかのユーザーが評価やコメントを書き込むことも可能だ。ビジネスとしての成否はユーザー数をどれだけ増やせるかにかかっているが、拡散力が備われば化粧品ブランドとの親和性は高い。特定のブランドや、メイクアップアーティストのメイクをバーチャルで楽しむなどの使い方が想定される。

未来のARショッピングはどうなるか

最後に日本の動きについて触れておこう。資生堂は8月21日に、写真共有アプリ「Snapchat」を手掛ける米Snapと組み、同社のPC向けアプリ「Snap Camera(スナップカメラ)」で最新のマキアージュメイクを楽しめるARフィルターの提供を開始すると発表した。同フィルターは「マキアージュ ドラマティックスタイリングアイズ」を含む4パターンがあり、最新メイクの発色や質感、ニュアンスをモニター上で試すことができる。同機能はMicrosoft Teams、ZOOM、Skype、Google Hangoutsでも利用できるので、ビデオミーティングの際に実際のメイクをする手間を省くといった活用法が考えられる。

テレワークやリモート飲みなどオンライン上でのコミュニケーションが定着しつつあることを背景に、資生堂は他ブランドでのARフィルターの展開も視野に入れ、顧客接点の拡大を目指すとしている。

COVID-19の世界的感染拡大を受け、ARとAIは美容業界にとって、ユーザーと繋がるうえで欠かせないツールになっている。ベンダーが増え続けていることは、サービスの内容や価格に幅が生まれるわけで、中小規模のブランドや小売店、ECが導入しやすくなるのを意味する。こうした技術が当たり前となる未来の世界では、ユーザーエクスペリエンスはどうなっていくのだろうか。そのヒントは、日本のスタートアップが開発に取り組むサービスにある。

2017年設立のMESONが開発する「PORTAL with Nreal」は、ARグラス「Nreal Light」を使って「自分の部屋を、店舗以上に便利で楽しく買い物ができる空間にする」ARショッピング体験を提供するサービスだ。体験者は部屋の好きな位置にバーチャルなファッションモデルを配置し、洋服のディテールなどをさまざまな角度から立体的に確認できるとともに、ブランドの世界観を表現した没入的空間が楽しめる。また、気に入ったアイテムを壁に表示される仮想ショッピングカートに追加することで、シームレスに購入にも進める。

PORTAL with NrealはAWE2020にて開催される世界最大のAR/VRアワード「Auggie Awards」で、最も優れた広告キャンペーンに贈られるBest Campaign賞を受賞。ソフトウェアの受賞は日本企業で初だという。同サービスにバーチャルメイクや肌診断が組み込まれれば、ユーザーはブランドの世界観に浸りながら商品を体験することができるようになるだろう。しかも、それが実現する日は、そう遠くないかもしれない。

Text: チーム・ロボティア(Team Roboteer)
Top image: Zyabich via Shutterstock


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